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海洋堂の人にフィギュアの事を聞く
DEEokinawaではおなじみの南城市にあるテーマパーク「おきなわワールド」。そちらで3月23日からちょっと変わったイベントをやっているのをご存じでしょうか。
それがこちら「幻想アニコレ」。
展示ではドラゴンや妖精の名前を冠する実際の生きものを展示。
さらに化石しか残っていない古代生物や、未確認生物をリアルなフィギュアとして再現。こちらのフィギュア製作にはあの海洋堂が関わっているという本気っぷり。
沖縄で海洋堂の仕事として有名なのがサッポロビールのおまけでついていた「フィギュア版沖縄物産展」。
沖縄の生物や、シーサーや水牛車、海人やビールを手にした美女など沖縄をモチーフにしたフィギュアは当時めちゃめちゃ話題になりました。このフィギュアは形を変えて今でも「沖縄フィギュアみやげ」としてガチャガチャで販売されています。今では沖縄を題材にしたリアルなフィギュアのガチャガチャが結構ありますが、海洋堂のフィギュアがその先駆け的な存在だったと思います。
今回は展示の準備に来沖された株式会社海洋堂の塗装師・造形師の古田悟郎さんにお話を聞く機会を頂いたので色々と聞いてきました。
塗装師という仕事について
―― 本日はよろしくお願いします!まず肩書きの「塗装師・造形師」というお仕事についておうかがいしたいのですが。
本業はどちらかと言えば塗装師の方ですね。フィギュアってまず粘土で原型を作って、それを大量生産するんですけど塗装師はそこに塗る色を決める仕事です。もちろん仕事で造形をすることはあるんですけど、今回展示されているものは仕事が終わった後にどちらかと言えば趣味で作ったものですね。
―― こちらの作品はどちらかと言えば趣味ということですか?
そうですね(笑)。爬虫類雑誌の連載だったりを色々やっているうちに、博物館から声がかかったりして仕事になってきた感じですね。
―― 今回の展示されている生きものはすでに絶滅したり、未確認生物だったりするわけじゃないですか。どのように造形をしているのでしょうか?
化石種が多いので、骨から推測して「今の動物ならこれくらい」みたいな形で造形を作っていますね。色も水の中なら今いる動物を参考にこんな色、乾燥しているウロコならこんな色、みたいな想像をして彩色しています。
沖縄と海洋堂フィギュア
―― 海洋堂と言えば「フィギュア版沖縄物産展」のクオリティがすごくて驚きました。あれは企画から海洋堂が関わっているんですか?
そうですね。沖縄物産も他の物産なんかもそうですけど、ラインナップはうちの専務(宮脇センム)が関わっていて決めています。初期のラインナップにあった「海人」だったり、「海辺で生ビールを飲むお姉さん」なんかは専務が案出ししていましたね。結構専務の独断と偏見が入ってたんじゃないでしょうか(笑)。
―― 古田さんも塗装師として関わったんでしょうか
海洋堂には塗装師が3人しかいないんですよ。覚えているのだと「チラガー」だったり「市場に並ぶ魚」だったり、あと「水牛車」は僕がやったのを覚えていますね。
―― 他にも海洋堂で沖縄に関係するフィギュアってありますか?
あとは日本の動物コレクションというやつがありますね。動物ものでは色々沖縄のものが出ていると思います。僕も沖縄の動物は好きですよ。
―― 色を決める上で実物を見る、みたいなこともあるんでしょうか?
今だったらウェブで写真を探すようなことができますけど、チョコエッグとか最初の頃は本をいっぱい調べたり、実物を見たりしましたね。意外と写真だと分からない色もあるんです。甲殻類のブルーなんかは写真だと赤くなったりするので実物を持ってきたり、見に行ったりみたいなことはありました。
どんなものでもフィギュア化できるのか
―― 先ほど絶滅した生きものを化石から推測してフィギュアにするというお話がありました。どこまでの情報でフィギュアって作れるものなんでしょうか?例えば絵からは?
全然作れますよ。例えば美少女フィギュアなんかは二次元の絵からじゃないですか。もちろん髪型だったり立体化する上で難しい箇所はありますけどそういうのを工夫しながら立体化していくんです。
―― 奄美大島の本なんですけど幕末に名越左源太という人が書いた「南島雑話」という地誌があります。ここによく分からない生きものがいるんですが、それもフィギュアにできたりしますか?
面白いですね(笑)。できると思いますよ。絵を見るとちょっとアニメっぽい顔ですけどリアル系にするのもいいですし、どんな感じでもいけますよ。こういう系でいくと、青森県に南部藩のお殿様が持っているコレクションというのがあって、そこに人魚のミイラがあるんです。それを今度立体化しますよ。
―― すごいですね!じゃあもうひとつ…金城朝永という人が1931年に発表した「琉球妖怪変化種目」というものがあってこんな妖怪が出てきます。
人の姓。晩方、那覇と泊の間にある塩田潟原の「潮渡橋」の附近で「仲西ヘーイ」と呼ぶと出てくると云う。
―― この説明文だけで妖怪のフィギュアが作れたりするんでしょうか?
できます…けどこれは普通に仲西さんって人じゃないですか(笑)?妖怪っぽいというよりも普通の30代後半くらいのおじさんの方が面白いんじゃないでしょうか。
―― 南島雑話シリーズとか琉球妖怪シリーズのフィギュアが出たら絶対買いたいです…!本日はありがとうございました!
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というわけで最後の方は完全に趣味に走ってしまいましたが(南島雑話のフィギュアは本気で欲しい)、以上海洋堂の古田悟郎さんにお話をうかがいました。古田さんが手がけたフィギュアが見られる幻想アニコレはGW明けまでおきなわワールドで開催されているとのことなので興味のある方は是非足を運んでみてください。
幻想アニコレ
期日:~5/6(月)
場所:おきなわワールド特設会場
https://www.gyokusendo.co.jp/okinawaworld/animalcollection/
4/27(土)からは「幻想アニコレ続!」としてパワーアップ。“砂漠の天使”ともいわれる動物「フェネック」や珍獣「オポッサム」なども登場するそうです!