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おきみゅーのミュージアムショップのオリジナル商品がアツい!
沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)にある「ミュージアムショップゆいむい」。
ゆいむいには、沖縄伝統工芸品や、常設展・企画展の図録などが販売されていますが、その中には以前記事にした、測量野帳と復帰前の沖縄で使用されていた証明書(パスポート)が似ていることから作られた「パスポート野帳」やガチャガチャなどユニークなオリジナルグッズが溢れています。
いったい誰が、どんな風に企画しているのでしょうか。
沖縄県立博物館・美術館の指定管理者で(一財)沖縄美ら島財団の企画班学芸業務担当、渡久地さんに話を伺ってきました。
博物館がオリジナルグッズを作る理由
- ズバリ聞きたいんですが、展示物を見せる博物館でなぜオリジナルグッズを作っているんでしょうか?
それは博物館、美術館はお金がないからです。
- まさかのシビアすぎる答え...!
先日、国立科学博物館が500万点のコレクションを守ることを目標にクラウドファンディングに成功しましたが、苦しいのは全国の博物館、美術館同じです。
編集部注:)
国立科学博物館はコロナ禍や光熱費、原材料費の高騰による資金繰り悪化の改善のために、クラウドファンディングで1億円の支援を募集し、結果的に6億円以上集まった。
収蔵品の保管には維持費がかかります。特に空調費用は本当に高い。
- 家を3日空けていたら家中にカビが生えたとかよく聞きますもんね。家なら掃除すればいいですけど、収蔵品にカビがとか考えると怖いですね。
コロナ禍だったこともあり展覧会で稼ぐのも難しいうえ、最近は光熱費も上がっているのでダブルパンチです。
でも収蔵品の維持費をまかなうためには、オリジナルグッズの制作販売が欠かせないのです。焼け石に水かもしれませんが...。
すごく好きな商品
- わたし前から万國津梁の鐘の風鈴がめちゃくちゃ好きでいつか買おうと思ってるんです。
あれは初期からあるグッズで年で4〜5は個売れています。
使い道は困るかもしれませんが、音はめちゃくちゃ良いんですよ。
- 思ったより売れてないですね(笑)勢いで買うにはちょっと高いんですが、いつか買います!
売れている商品は?
最近はパスポート手帳が売れています。
もともとコクヨの測量野帳でなにか作りたいというアイデアがあったんですが、復帰後展のときに似てる!ってなって作りました。もう何回も発注を繰り返しています。本当は上部の切り抜きも再現したかったのですが費用的に断念しました。
県外にいる甥っ子にプレゼントであげたんですが、どこかに忘れたときに「身分証を忘れてますよ!」と慌てて電話がかかってきたそうです。ごめんなさい。手帳です!
- 身分証明書って書かれてあるから(笑)
現在開催中(2023年09月03日(日)まで)の進化展のグッズ「進化るた」と「港川人おじさんとめぐる38億年の"進化の道"カレンダーは」担当学芸員と作り上げた自信作です。
- "進化の道"カレンダー
- 進化るた
- あ!わたしどっちも買いました!進化るたは勉強にもなるし、面白いし、かわいいし最高です!
ありがとうございます(笑)
他に缶バッチも売れてます。
缶バッチは手軽に製作できるので全国の博物館・美術館でもオリジナル缶バッチはあると思います。
うちは職員が裏で作っているんです。
- え!職員さんが作っているんですか?
そうなんです。裏でチマチマ切ったり、袋に詰めたり。博物館・美術館っていろんな仕事があるんです(笑)
- ふれあい体験のキットも手作り
- 偏光板万華鏡制作キットも手作り
挑戦的なグッズ
- これまでに作った中で印象的なものってありますか?
はじめて企画展と連動して作ってみたのが2020年の『岩石展』。怖いぐらい石が好きな学芸員が岩石コースターを企画したんですが、ほぼ凶器でした(笑)
サイズは普通のコースターなんですが、厚みが1cmもあって、石材屋さんにもうちょっと薄くならないか交渉してもらったんですが、これ以上は割れるから無理って言われて。石だから硬いし重いし、家のテーブルが傷つきそうなので、念の為クッションシールも付けました。石の種類違いで6種類が25個ずつあったんですが、企画した学芸員以外は「売れないんじゃないか?」って不安で、「せめてロットナンバーを入れてプレミアム感を出そう!」ってことになりました。
でも予想に反して結構早くに完売しました!
- 石好き同志には通じるところがあったんでしょうね(笑)
あと怒られるかもとビクビクしながら作ったのは2022年の『首里城美術工芸品の現状とこれから展』での白澤之図シリーズです。
県指定有形文化財の《白澤之図》((一財)沖縄美ら島財団蔵)の図案からクリアファイルやふせんを作りたいと思って、関係部署に打診メールを送ったら誰からも返信が来なくて。もうやっちゃえと作って完成形に、解説をお願いしたら解説が返ってきたので「これはいいのか?」と思っておそるおそる販売しました。
- これまでの話を聞いていて思ったんですが、学芸員さんってみんな面白いもの好きですよね?
そうですね。基本的に好きが深いから、企画中に「それいい!」「それいい!!」って暴走してしまうと大変です。本当に買ってくれるのかな?ってだれかが冷静でないと(笑)
- 推し活のグッズを作る感覚みたいな(笑)
以前はグッズを作るには大量生産しないといけなかったんですが、いまは小ロットで作ってくれるところが多いので、挑戦はしやすくなっています。
悲願のマスキングテープ販売
最初の話に戻るんですが、博物館、美術館って全国どこも厳しい状態の中グッズ販売で活路を見出しています。
その中でいつも企画しては費用が高くなって断念していたものの中にマスキングテープがあるんですが、今年ついに販売できたんです。
- それはいかにして?
マスキングテープは1つの柄で800〜1000ロット作らないと赤字になる計算でした。どころが、北海道の足寄動物化石博物館の方が1箇所の発注では無理なロット数だけど柄は変えていいので一緒にみんなで数を発注しませんか?と全国の博物館に声をかけてくれたんです。それでいろんなところが「作りたい!」と手を挙げて。
全国9箇所の博物館・美術館から合計3,800個の発注があっという間に集まりました。
ありがとうございました
ということで沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)にある「ミュージアムショップゆいむい」にあるオリジナルグッズの製作秘話などを聞かせていただきました。
インタビュー中にもありましたが、学芸員さんって専門分野の造詣が深いのでオリジナルグッズが作りがもはや推し活グッズのようで、同志の人にはピンポイントで刺さまくるし、学術の普及に努めるという仕事柄、企画力があるのでよく知らない人にとっても興味深くて面白いグッズが多いんだろうなと思いました。
展覧会やイベントなどでおきみゅーを訪れた際は、ぜひぜひゆいむいにも足を運んでみてくださいね。
渡久地さんによると、お客様からお問い合わせも増えてきたのでオンラインショップのオープンに向けても準備中だそうです!