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首里城「木遣行列」とシャモット製作ボランティアに行ってきた
2019年10月31日に火災により首里城正殿等が消失して3年目。
首里城復元に向けて、県内外から多くの寄付金も集まり、各方面で検討委員会の設置や事業計画など様々な取組が進んできています。
火災前は例年文化の日に行われていた「首里城祭」は、「首里城復興祭」と改名され、様々なイベント等が開催されています。
その中、令和首里城復興イベントとして、「木曳式(こびきしき)」が行われると聞いて、行ってきました。
琉球王国時代、首里城造営に使われる木材は「御材木(おざいもく)」として、本島北部から船で泊港や与那原の港に運ばれていたそうです。
これを模して、首里城正殿の材料として使われるオキナワウラジロガシを、10月29日から伐採地である国頭村から那覇へと陸送する「木曳パレード」を皮切りに、首里城旧中山門から首里城内へ材木を運ぶ「木遣行列」を行い、正殿復元工事の無事を祈るというイベントです。
以下、木遣行列の様子をご紹介します。
11月3日の木遣行列
11月3日文化の日、朝9時頃、首里高校裏の沿道には、大勢の報道陣やカメラを構える人々、ご近所の方々が待ち構えていました。
赤田のミルク様や汀良町獅子舞などが、奉祝パレードでねり歩き。
玉城知事、城間那覇市長(当時)らを先頭に木遣行列が開始。
火矢の合図後、旗持ちや奉行、ホラ貝や太鼓を持ち装束を着た人々が歩いてくる中、材木を引く役の「曳手人衆」の出番です。
沖縄の代表的な労働歌である「国頭サバクイ」は、まさに国頭から材木を伐採・運搬する際に歌われた木やり歌です。国頭村奥間で民俗芸能として継承され各、地の豊年祭や琉球舞踊の創作演目で演じられることもあります。ちなみに、「サバクイ」とは役人のこと。
あれ?普通に歩いている。
と思っていたら、材木はトレーラーで運ばれてきました。
前回の平成の木曳式で撮られた写真では、人力のように見えたのですが、コロナ対策でしょうか。
できることなら、リアル「国頭サバクイ」が見たかった・・・。
しかし、そんな涙を呑んだ人に朗報です。国頭村奥間でのイベントの様子も含めて、以下のサイトから動画を見ることができます。
https://www.shurijo-fukkou.jp/kobiki/
「クエーナ」とは古謡の一つで、王府時代に建物の造営や旅の安全など、願いを込めて歌われていました。
御材木を載せたトレーラーが守礼門手前の交差点まで来て、行列は終了
その後、旗頭行列や、芝生広場でステージイベントが行われ、多くの観客で賑わっていました。
この木が、長く首里城を支えてくれることを願います。
首里城正殿は今
チケットが必要な有料エリアでは、正殿等の復元の様子を一般公開しています。
令和2年6月より正殿遺構を覆屋内部で公開していましたが、正殿工事着工のため、公開を5月で終了。
正殿部分はすっかり覆われ、木材倉庫が木材の保管や加工をする「木材倉庫・加工場」と、実物大の図面を描く「原寸場」が完成していました。
見学デッキも設置されて、首里や那覇が一望できます。
目線が内郭城壁よりも高くなるので、この眺めは工事中にしか見られないってことですね。
見学デッキに設置された大きな窓ガラス越しに、作業風景を見ることができます。内部はこの日は休日だったので誰も居ませんでしたが、平日は作業している様子も見学できるかもしれません。
工事用の仮囲いには、正殿復元工事の過程を紹介するイラストが描かれていて、心をくすぐられます。
シャモット製作ボランティア
さて、イベントを見ながら、てくてく首里城公園内を歩いていると、こんな看板を見つけました。
新しい首里城正殿の赤瓦に再利用するため、火災で破損した赤瓦を砕く作業のボランティアに参加できるとのこと。
「シャモット」って聞き慣れない単語ですが、粗割りした瓦をさらに粉末状にしたものを指すようです。
以前、2020年に、赤瓦の漆喰はがしボランティアに参加した記事をあげていますね。
実施期間は11月6日までの予定でしたが、11月30日(水)まで延長されていました。
もう実施期間は過ぎてしまいましたが、また何か催しがあるかもしれませんので首里城公園のホームページをチェックしてみてください。
どなたでも参加可能OKとのことですが、18歳未満の方は保護者等の同意、⼩学4年生以下は保護者同伴の条件があります。
早速私と小学生の娘はテントを探し、参加申し込みをしました。
受付で一人分の瓦の入ったバケツと、安全のためゴーグル、使い捨て手袋を受け取って、作業を開始します。
カラーコーンを改造したようなシャモットカバー(←勝手に命名)を上に被せて、
上の穴から鉄パイプをぶっ刺し、ひたすら突く!
ガンガンと鉄パイプで叩く音が響きます。
瓦がある程度割れたら、バスケット型ふるいにかけます。
この編み目を通る大きさまで破片を小さくしなければなりません。
鉄パイプの重さに加え、けっこうな勢いで叩きつけていますが、なかなか割れません。首里城の瓦って、思ったより堅い!
ふるいの残った破片を、更にコーンの中に入れ、砕くことを繰り返すこと数回。
最後に残ったしぶとい破片は、狙いを定めて一点集中で砕きます。
普段割ってはいけない物を思う存分壊せるって、背徳感も良きです。
こうして粗割りされた破損瓦はシャモットとなり、新しい正殿に使用される赤瓦の材料として生まれ変わります。
最後にシャモットをバケツに入れて、受付に提出。自分で砕いた破片を1個、記念に持ち帰ることができました。
瓦の中には、焼け焦げた痕がある物も。
貴重な体験ができ、首里城への思い入れが深まったようでした。
また余談ですが、破損瓦を活用した「首里城破損瓦ものづくり体験イベント」が、11月26日にコンベンションセンターで行われるみたいです。
一年ぶりに首里城に行きましたが、世誇殿の休憩スペースでは大型モニターで首里城ムービーを上映していたり、女官居室にできたミュージアムショップでは休憩することもできたり、観光客に向けた整備も更に充実していました。
2026(令和8)年には、正殿が完成する予定とのことなので、定期的に子ども達を連れて、また訪れたいと思います。