【ちむどんどん】カラキを練り込んだ沖縄そばはうまいのか

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最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。劇中でカラキ(オキナワニッケイ)を練り込んだ沖縄そばがでてきたが、本当においしいのだろうか。実際に作ってみた。

全国の「ちむどんどん」ファンの皆様、こんにちは。やんばるたろうです。

終わっちゃいましたね。NHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」。色々皆さん言いたいことはあるとは思いますが、仲間由紀恵さんの琉舞がめちゃめちゃうまくてビックリしました。あの琉舞の回だけでもドラマを見る価値はあったのではないかと思います。

ドラマは沖縄の山原村(やんばるそん)で生まれ育った主人公暢子が東京での修行を経て、故郷にUターン。沖縄の郷土料理を出す「やんばるちむどんどん」というお店を開くという話なんですが、すごく気になることがありました。

それは「やんばるちむどんどん」の名物の沖縄そば。話の中では試行錯誤の末、カラキという植物を練り込んだ麺を作っていました。


からぎ茶でおいしく温まりたい

カラキ(カラギ)とは沖縄北部に自生している「オキナワニッケイ」というシナモンの仲間。国頭村ではその葉っぱを使ったカラギ茶が販売されていたりします。お湯を注ぐと香りはシナモンそのものですが、お茶にするとスパイシーな中に甘みがあり、なかなか面白い味わいです。

最近ではカラキを使ったケーキを北部農林高校の生徒さんが開発したなんてニュースもありました。

…しかし!

まだカラキを使った沖縄そばというものが発売された、という話はついぞ聞いたことがありません。ドラマでは皆が絶賛していましたが、カラキを練り込んだ沖縄そばは本当においしいのでしょうか?

検証してみたいと思います。

 

オキナワニッケイを求めて

というわけで、まずは材料となるオキナワニッケイを探すわけなんですが、ほいほい生えているわけではないので全くの素人が探すのはほぼ不可能です。仮にあったとしても勝手に採るわけにもいきません。

そこでルートビアのニオイがする草だったり、アフリカマイマイを食べたり幻の料理、カニ豆腐を食べさせてもらったりした沖縄市郷土博物館の川副さん(大学時代の先輩)の個人的なツテでオキナワニッケイを探してもらいました。

そしてやってきたのは沖縄市の個人宅。写真の真ん中にそびえ立つのがオキナワニッケイの木なのだそうです。

この木はこの家の主、徳元さんがその昔やんばるから採ってきたもので庭に植えたところ、ここまで大きくなったのだそうです。

カラキの葉を分けてもらいました。市販のカラギ茶は乾燥したカラキの葉にお湯を注ぐ感じなのですが、このまま緑の葉っぱにお湯を注いでもよいのだそうです。

また、枝は細かく割って氷砂糖と泡盛と漬け込むことでカラギ酒がつくれるのだとか。

はじめてちゃんと生えてるオキナワニッケイを見たんですが、葉っぱをちょっと揉むとかなり強いシナモンの香り(というか生八つ橋の香り)がします。葉だけでなく、枝からもすごく香りがたっていてびっくりしました。植物って不思議ですね…!

 

カラキを使った沖縄そばづくり

それでは記憶の中のちむどんどんのシーンを参考に沖縄そばを作ってみたいと思います。「やんばるちむどんどん」オープン前日に製麺工場の機械が壊れて、総出でそばの麺を作るシーンがありました。

まずは村の人が採ってきたカラキの葉をハサミで切っているシーンがありました。ということで、軽く洗った葉をハサミで細かく切ります。もうこの段階でかなりシナモンの香りがすごくて、生八つ橋に囲まれている気分です。

ドラマでは細かく切ったカラキの葉を石臼でさらにすりつぶしていました。こちらは文明の力、フードカッターを使います。

ここでちょっとした誤算がありました。思ったよりもフードカッターが弱い、かつカラキの葉が固く、なかなか葉をすりつぶすことができません。

ドラマではボウルいっぱいに鮮やかな緑色の液体が入ってましたが、フードプロセッサーからもそこそこ緑色の液体がとれたので、こちらを使うことにします。

以降の麺作りはドラマで出てきてない(ひょっとしたら最初の頃にあった?)ので、我々がよく使う沖縄生麵共同組合のレシピ(https://oki-soba.jp/make/men/)を踏襲する形をとろうと思います。


卵を入れたら色が茶色になってしまった

強力粉にカラキの汁+塩+重曹+卵の打ち水を加えて練り込んでいきます。

さて、「ちむどんどん」を見ていた方はご存じかと思いますが、ドラマに出てきた麺は鮮やかな緑色に仕上がっていました。しかし、出来上がったのはノーマルに近い色。あれだけ香っていたカラキのシナモン臭も小麦のニオイに打ち消されてしまっています。

ちむどんどんでは「まくとぅそーけーなんくるないさ」という沖縄の金言が出てきていましたね。「正しいことをしていればなんとかなる」、日本語だと「人事を尽くして天命を待つ」が近い意味だと思います。

なんとかなる…と自分に言い聞かせてそのまま麺を切っていきます。


茹でて油をまぶします。

おおお…


そばだしは鰹タイプにしました。極太麺になってしまった。

ちむどんどんしてきた!

 

カラキを練り込んだ沖縄そばはうまいのか

さて、最後の方の行程を結構端折りましたが(ドラマでも40年くらい端折ってたから大丈夫ですよね)とりあえず完成しました。カラキを練り込んだ、沖縄そば。その味はどんな感じなのでしょうか。

いざ。

「…マーサンヤー」と呟きたいところなんですが、カラキの味がほぼ無くなってしまいました。いや、普通に沖縄そばとしては全然おいしいんですが、もっとガッツリカラキのニオイがしないとちょっとカラキがそばに合うのかが分かりません。

ちょっと奥の手でカラキの葉と一緒に食べてみました。

むむ。香りとしては合わないわけじゃあありません。八重山そばに薬味としてヒハツをかけたりしますが、あっさりした鰹だしにカラキの香りも悪くはないかと思います。

ただ、めちゃめちゃおいしい!という状態に持っていくには出汁とカラキのバランスを絶妙なラインに調整しないといけないような気がします。なんだかモヤモヤした結果になってしまいましたが、現時点では「うまいかもしれない」くらいの結論ですね。

 

ちむどんどん反省会

今回の反省点を挙げるとすれば、フードカッターで思ったよりもカラキの葉を細かくできなかった点に尽きると思います。葉を粉末にするくらいの細かさにできれば、ドラマのような緑色の麺、そしてもっとカラキの香りを活かした麺になったのではないかと思います。

ドラマにはありませんでしたが、葉を煮出した汁を使うなどまだまだ工夫のしどころはありそうです。

幸いまだまだ頂いたた葉っぱが沢山ありますので、また近日中にリベンジして結果はお伝えできればと思いますので第二段にご期待下さい。

沖縄を舞台にしたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。色々肩透かしだったことは否めませんが、放送に併走して沖縄の解説をしてくれるTwitterの方々もいて、新たに沖縄に興味を持ってくれる方も少なからずいたのではないかと思います。ドラマに関わった皆様お疲れ様でした!

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