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閉店した老舗ケーキ屋が蘇る!?アベニアの奇跡
老舗洋菓子店アベニア
アベニアは安里駅から徒歩5分ぐらいの住宅街にある洋菓子店。
このあたりの周囲のお店がわりとシャッターを閉めていることもあり、ものすごく目立つわけではないけれど、知る人には「沖縄で一番美味しい!」と言わしめる老舗の人気店でした。
「でした」と書いたのは2022年2月28日をもって閉店してしまったから。
お店の場所は知らなくても、このロゴに見覚えがある人は多いのではないでしょうか。
アベニアは店長の塩川さんが洋菓子学校や東京で修行したあとに、友人から引き継いだお店。
当初は東京の高い技術の洋菓子を並べていたそうですが、場所柄もあるのか全然客受けせず、次第に誰でも手に取りやすい安くてでも美味しいケーキやパンを販売し、地元のひとにとってはなくてはならないお店になりました。
店の前のパーマ屋のおばあちゃんなんかは30年間毎日買いに来てくれた超常連さんだったとか。
いつしか美味しさに魅せられたファンが遠方から通ってくれるようにもなっていたそうです。
アベニアが閉店するというニュースはケーブルテレビや沖縄タイムスでも取り上げられ、それからは多くの常連のお客さんが訪れたそうです。
- 閉店数日前に行ったときはお昼の時点ですでに完売
- 殺到しすぎて予約も受け付けられない状態に
そんな中、人気の三色パイをゲットしたわたし(予約停止前に注文してました)。
店内にいたのは10分ぐらいだったのに、商品を手にしているわたしを見て「え、買えるんですか?」と道行く人が3組ぐらいお店に入ってきて聞かれました。
人気すぎるぞ、アベニア!
老朽化で閉店という流れ
沖縄らしいお店ってどんなのかを考えたときに、わかりやすい赤瓦やシーサーだけでなく、その土地の風景や生活の中に溶け込んだお店の佇まいや長年の創意工夫みたいなの中にも沖縄らしさが色濃く出るんじゃないかと思って、DEEokinawaではそんなお店をことあるごとにとりあげてきました。
でもここ何年かで老朽化で閉店の流れが本当に多くなっていると感じます。
毎年年末にやっているこれですね。
2021年でなくなってしまったもの、なくなってしまうもの
こんなに人気のアベニアも閉店理由は建物の老朽化だそうです。
長年おつかれさまでした、としか言いようのない店内。
時代といえばそれだけですが、これは寂しくともよくある話。
ありがとうさようなら、となるのが通常の流れのはずです。
しかし、アベニアはそうではなかったのです。
移転への募金がはじまる
アベニアのファンがすぎて、スタッフとして入店してしまった落語イベンターの知花園子さんが、「こんな美味しいお店を閉店させてなるものか!」と移転募金箱を半ば強引に設置したのが閉店まで1ヶ月をきった2月5日。
クリスマス前から今日までたくさんの方に「お店閉まるんですか?移転とかないんでしょうか…アベニアなくなるなんて悲しいです。」と言ってもらい。悲しいよねえ。安くて美味しい街のケーキ屋さん。私も昨年アベニアを知り美味しさに感動して週4で通ってただけに泣きたい。
— 知花園子 (@zizizi666) January 8, 2022
アベニア移転計画中
— 知花園子 (@zizizi666) February 5, 2022
募金箱設置しました pic.twitter.com/RcT02s2ebb
知花さんのtwitterはファンが多いので、このツイートを見た人たちが、ぞくぞく募金に訪れます。
わたしも連日知花さんのツイートを追っていたのですが、洋菓子店は大型機械が多く、お店から搬出するだけで結構なお金が必要だそうです。移転にはいくら必要かはわかりませんが、この段ボール箱でいける...?
しかも1,000円募金してくれた人に、オーナーがお礼で800円のケーキを渡してしまったりして、そのお客さんへの気持ちがアベニアの良さだけど、今はやめてー!と釘を刺さないといけないこともあったそう。
2月7日には店舗だけではなく銀行口座振り込みでも移転費用を募ることに。
すると驚きの展開が始まります。
目が覚めたら…
— 知花園子 (@zizizi666) February 7, 2022
昨夜10万円寄付してくれたアンナさんから更に90万円が振り込まれていました!!計100万円!!
なにこの展開。遠い遠いスイス在住の方から沖縄の小さなケーキ屋さんに思いを寄せてくれ、寄付という形で存続を応援。「アベニアが永遠に続きますように。そんな気持ちで寄付しました」と涙 pic.twitter.com/DDYTb8pHu8
スイスから合計100万円の振り込みが。
知花さんに伺うと、振り込みをしてくれたスイス在住のぶいちゅーばーアンナさんは知花さんとはネットを介しての知り合いですが、アベニアには来たことがないそう。それでも100万円もの金額を振り込みしてくれた理由は、「いつも知花さんの美味しそうなアベニアの写真を見ていて、いつか沖縄に行ったときに絶対食べる!という夢があったから。こんな美味しそうなお店をつぶしてはいけないと思ったから」だとか。
すごすぎる。
このツイートが起爆剤にもなって、募金はどんどん増えたそうです。
募金箱を設置してからたくさんの方が募金してくれたり口座に振り込んでくれたりありがたい。「おじさーん!やめないでー!」「塩川さんこれからもがんばって続けてー!」「継続できますようにと願いを込め募金します!」と言ってもらえ。店主が「知花さんいったいどんな魔法使ったの?」て言ってた。
— 知花園子 (@zizizi666) February 12, 2022
募金名簿もお客さんへの移転期待メッセージで埋め尽くされます。
アベニアの未来
2022年2月28日アベニア閉店。
閉められたお店のシャッターにはオーナーの塩川さんのご友人が作ったメッセージボードが掲げてあります。
アベニアの奇跡を見た!
この場所では閉店しましたが、アベニアは移転します!
いまは知花さんが主体になって、那覇市内で地域に密着できるような、路地裏のような場所で、と店舗を探し中。
「そういう店が好きなんですよ」って知花さんが言ってました。わかるー!
店名の「アベニア」を日本語に訳すと「未来」。
閉店が決まったはずのお店が、お客さんに愛されすぎて未来に続いていくことになりそうです。
移転募金は振り込みでまだまだ募集中。
近い未来にまたアベニアで。本当に奇跡のような話です。
銀行振り込みでも移転費用を募りたいと思います。
— 知花園子 (@zizizi666) February 7, 2022
琉球銀行 県庁出張所
店番251
口座 普通191355
口座名義 シオカワマサル
※店舗にも募金箱を設置しています。店主が募金した方の名前を把握したいということで、差し支えなければお名前のご記入お願い致します。 pic.twitter.com/hgi5ywiVC8