2022.03.09

閉店した老舗ケーキ屋が蘇る!?アベニアの奇跡

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
那覇の壺屋にあったアベニアという老舗のパンと洋菓子のお店が建物の老朽化で惜しまれつつ閉店..と思ったら閉店の話を聞いた常連さんの愛で奇跡の復活予定だという

老舗洋菓子店アベニア

アベニアは安里駅から徒歩5分ぐらいの住宅街にある洋菓子店。
このあたりの周囲のお店がわりとシャッターを閉めていることもあり、ものすごく目立つわけではないけれど、知る人には「沖縄で一番美味しい!」と言わしめる老舗の人気店でした。

「でした」と書いたのは2022年2月28日をもって閉店してしまったから。


これは営業中の写真です

お店の場所は知らなくても、このロゴに見覚えがある人は多いのではないでしょうか。

アベニアは店長の塩川さんが洋菓子学校や東京で修行したあとに、友人から引き継いだお店。
当初は東京の高い技術の洋菓子を並べていたそうですが、場所柄もあるのか全然客受けせず、次第に誰でも手に取りやすい安くてでも美味しいケーキやパンを販売し、地元のひとにとってはなくてはならないお店になりました。
店の前のパーマ屋のおばあちゃんなんかは30年間毎日買いに来てくれた超常連さんだったとか。
いつしか美味しさに魅せられたファンが遠方から通ってくれるようにもなっていたそうです。

アベニアが閉店するというニュースはケーブルテレビや沖縄タイムスでも取り上げられ、それからは多くの常連のお客さんが訪れたそうです。

閉店数日前に行ったときはお昼の時点ですでに完売
殺到しすぎて予約も受け付けられない状態に


店内


潔いほど何もないショーケース


ケーキ以上に中毒性があるらしいパンも売り切れ

そんな中、人気の三色パイをゲットしたわたし(予約停止前に注文してました)。
店内にいたのは10分ぐらいだったのに、商品を手にしているわたしを見て「え、買えるんですか?」と道行く人が3組ぐらいお店に入ってきて聞かれました。

人気すぎるぞ、アベニア!

老朽化で閉店という流れ

沖縄らしいお店ってどんなのかを考えたときに、わかりやすい赤瓦やシーサーだけでなく、その土地の風景や生活の中に溶け込んだお店の佇まいや長年の創意工夫みたいなの中にも沖縄らしさが色濃く出るんじゃないかと思って、DEEokinawaではそんなお店をことあるごとにとりあげてきました。

でもここ何年かで老朽化で閉店の流れが本当に多くなっていると感じます。
毎年年末にやっているこれですね。
2021年でなくなってしまったもの、なくなってしまうもの

こんなに人気のアベニアも閉店理由は建物の老朽化だそうです。

長年おつかれさまでした、としか言いようのない店内。


お客さんからのお花

時代といえばそれだけですが、これは寂しくともよくある話。
ありがとうさようなら、となるのが通常の流れのはずです。

しかし、アベニアはそうではなかったのです。

 

移転への募金がはじまる

アベニアのファンがすぎて、スタッフとして入店してしまった落語イベンターの知花園子さんが、「こんな美味しいお店を閉店させてなるものか!」と移転募金箱を半ば強引に設置したのが閉店まで1ヶ月をきった2月5日。

知花さんのtwitterはファンが多いので、このツイートを見た人たちが、ぞくぞく募金に訪れます。
わたしも連日知花さんのツイートを追っていたのですが、洋菓子店は大型機械が多く、お店から搬出するだけで結構なお金が必要だそうです。移転にはいくら必要かはわかりませんが、この段ボール箱でいける...?

しかも1,000円募金してくれた人に、オーナーがお礼で800円のケーキを渡してしまったりして、そのお客さんへの気持ちがアベニアの良さだけど、今はやめてー!と釘を刺さないといけないこともあったそう。


募金だけではなくステッカーやストラップを作ってくれるアベニアファンも。愛されている

2月7日には店舗だけではなく銀行口座振り込みでも移転費用を募ることに。
すると驚きの展開が始まります。

スイスから合計100万円の振り込みが。
知花さんに伺うと、振り込みをしてくれたスイス在住のぶいちゅーばーアンナさんは知花さんとはネットを介しての知り合いですが、アベニアには来たことがないそう。それでも100万円もの金額を振り込みしてくれた理由は、「いつも知花さんの美味しそうなアベニアの写真を見ていて、いつか沖縄に行ったときに絶対食べる!という夢があったから。こんな美味しそうなお店をつぶしてはいけないと思ったから」だとか。

すごすぎる。
このツイートが起爆剤にもなって、募金はどんどん増えたそうです。

募金名簿もお客さんへの移転期待メッセージで埋め尽くされます。

 

アベニアの未来

2022年2月28日アベニア閉店。
閉められたお店のシャッターにはオーナーの塩川さんのご友人が作ったメッセージボードが掲げてあります。

アベニアの奇跡を見た!

この場所では閉店しましたが、アベニアは移転します!
いまは知花さんが主体になって、那覇市内で地域に密着できるような、路地裏のような場所で、と店舗を探し中。
「そういう店が好きなんですよ」って知花さんが言ってました。わかるー!

店名の「アベニア」を日本語に訳すと「未来」。
閉店が決まったはずのお店が、お客さんに愛されすぎて未来に続いていくことになりそうです。

移転募金は振り込みでまだまだ募集中。
近い未来にまたアベニアで。本当に奇跡のような話です。

関連する記事

フォローしたらいいことあるかもよ

DEEokinawaの新着記事や裏話、面白写真などが毎日届くかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright©DEEokinawa All Rights Reserved.
このウェブサイトに掲載のイラスト・写真・文章の無断転載を禁じます。すべての著作権はDEEokinawaに帰属します。

ページのトップへ