- DEEokinawaトップ
- 特集
- 那覇文化芸術劇場「なはーと」開館迫る!
那覇文化芸術劇場「なはーと」開館迫る!
那覇市久茂地の久茂地小学校跡地に、新たな劇場が完成しました。その名も「那覇文化芸術劇場なはーと」。10月31日の開館に先駆け、施設見学に参加しました。
那覇市民会館が老朽化により、惜しまれつつ2016年に休館したことは、記憶に新しいところです。最近は、建物解体の話や、シーサー行方不明事件なども話題に上っていましたね。その後約5年間那覇市には、1000人規模を収容できる劇場がなかったわけですが、那覇市民会館に代わる劇場が、久茂地小学校跡地に、ついに完成したというのです。
ゆいレールを乗っていて、美栄橋駅と県庁前駅の間、建物の隙間から一瞬だけ見える、建物が気になっていた方も多いはず。そう、あれです。
開館の約3カ月前、一般向けの施設見学会を開催すると知り、早速申し込んだのでした。ところが、時期は7月下旬。新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、緊急事態宣言が延長され、見学会は中止となってしまいました。
がっかりしていると、事務局の方から、マスコミ向けの施設公開&建設関係者への感謝状贈呈式があるので、そちらを取材されては?とのご連絡が来ました。折角なので、ありがたくお受けすることにし、今回の記事と相成りました。
開館前のなはーとへ潜入!
那覇市久茂地と言えば、県内でも代表的なオフィス街。企業や飲食店が入ったビルや、住居などが混在する街並みを歩いていると、突然、巨大な劇場の姿が現れます。
その外観は、DEEokinawaが大好きな、花ブロックが使われたコンクリート建造物!(読者の方よりご指摘がありましたが、これは花ブロックではなく、沖縄で開発されたHPC®︎(ハイブリッドプレストレストコンクリート)という新しい建材なのだそうです!)
写真映えする角度を探したんですが、私のカメラテクニック不足でこんな感じですが、実際はもっと迫力があります。 申し訳ない。
「那覇市文化芸術劇場なはーと」という名称は、約千点の応募から選ばれたそうで、「那覇市」「アート」「ハート」が掛かっています。那覇市の新たな文化拠点として、人々に親しまれ文化芸術が発展するようにという願いが込められているそうです。
設計のモチーフには、「スージグヮー」「アマハジ」など、沖縄っぽい要素が取り入れられています。
外観は、「首里織」がモチーフになっていて、建物を織物のような皮膜で柔らかく包み込んでいます。また、台風時の飛来物を防ぐ役割もあるそうです。
素敵な外観にわくわくしつつ、早速中に入ってみましょう。
エントランスから共有ロビーは、3層吹き抜けのと立体的な構造で、すごくかっこいいです。
しばし、私が独断でかっこいいと思ったポイントをご紹介します。
1階共用ロビーは、通り抜けできるようになっており、施設内でありながら屋外広場として「ウナー」(庭)として、施設利用者だけでなく、地域の人々が自由に通れるようにするのだとか。
今はガランしていますが、開場後は、芸術に親しむ人で賑わう空間になる予定。
案内していただいた担当者Yさんが、「天窓からちょうど光が差し込んで床に模様が映るんです。お昼頃この時間しかこの模様は見られないんです!」と、熱く推していただいた写真ポイントが、以下の写真。
Yさん、DEEの記事になりそうなネタを、一生懸命考えてくださり、お気遣いありがとうございました。これが見られる時間に来場した方はきっとラッキーです、きっと!
壁の至る所にある様々な花ブロックの模様も目を引きます。
1階には、小スタジオがあり、小劇場の舞台とほぼ同じ広さの約178平方センチメートル。通常の稽古はもちろん、小規模な公演もできる他、表の道路側の扉を開けることで、よりオープンな雰囲気でイベントを行うことも可能。
使い手次第で、面白いことができそうですね。
この時はまだ設置されていませんでしたが、コインロッカーや自販機、授乳スペースなど、来場者にうれしい設備も充実しそう。
続いて、2階へ移動しましょう。
小スタジオの上に、まるで宙に浮いているような大スタジオがあります。
写真右に見えるのは、練習室。小規模な練習室は4か所点在しています。
外から練習室やスタジオの稽古風景も見られたりします。(もちろん、カーテンを閉めることもできます)
大スタジオの内部。広さは約267平方センチメートルで、大劇場の舞台とほぼ同じ大きさだそうです。写真では赤みがかっていますが、照明の色も自由自在。左右の窓のカーテンみたいなものを下ろせば暗転もできます。
さぁ続いて、大劇場へ参りましょう。
ここでチケットをもぎるようです。ちょっと洞窟の入口っぽくて、わくわくしますね。
大劇場ホワイエから見る景色。ちょうどアマハジの上部分は、ちょっとした庭になっています。
いよいよ劇場客席をご覧いただきましょう。
広い!天井高い!思わず口が開いてしまいます。
デザインコンセプトは「沖縄の海」。座席シートや天井の模様がモザイクのように、微妙に色合いが混ざって、色とりどりのサンゴと魚に恵まれた沖縄の海が眼前に浮かびます。
客席は大きく3階、サイドのバルコニー席はその中間にあるので、計6階層になっております。
写真ではなかなか伝わりませんが、めっちゃ高いです。3階の最前列の前には、落下防止用の柵がありますが、ちょっとのぞき込むと足がむずむずします。
プロセニウム形式の舞台はセリや盆は見当たりませんでしたが、様々な分野の芸能や式典に対応できる基本性能を備えています。
舞台上では、建設工事に携わった方へ感謝状贈呈式が行われました。
最後は、1階から小劇場へ入ります。
こちらのデザインコンセプトは「首里城」だそうで、黄色い座席シートは、王府時代に首里の人々が着ていた着物のイメージなのだとか。
客席を後方に仕舞うことができるので、ワンフロアとしても利用できます。
客席への通路や壁も中国っぽくて、北京で観た京劇の劇場に雰囲気が似ていると感じました。
大劇場のような迫力はありませんが、個人的には小劇場の雰囲気が大好きです。「芝居小屋」って感じがして、ぜひここで演劇が観たいです。
今後のプログラムに期待!
県内の市町村で2000年前後から新しいホールが次々と造られていますが、全国的にも劇場機能を有する公的な文化施設は、地域のパブリックスペースとしての活用も求められています。
更に、単純な市民向けのイベントや施設の貸付事業だけではなく、積極的にホールが自主事業をする時代です。なはーとも「鑑賞」だけでなく「創造」「発信」「普及」「育成」「交流」といった事業展開を掲げています。
城間幹子那覇市長も「これから魂を吹き込みたい」と仰っていましたが、「なはーと」という立派なハコを活かし、芸術を楽しむ人々が集まって活気に満ちることを期待したいです。
令和3年10月31日の開館日には、那覇市市制100周年及び那覇文化芸術劇場なはーとの開館を祝賀する、劇場お披露目の公演開催が予定されています。その後も来年3月まで「こけら落としシリーズ」と題し、地域文化芸能公演や野村萬斎師「三番叟」野村萬斎師・嘉数道彦氏の共同演出による「唐人相撲〜なはーと編〜」、市民公募した演目、ロビーでは無料コンサートや展示など、様々な催しが予定されています。
余談ですが施設を借りる際は、那覇市民や通勤・通学している方は、使用料がちょっとお安くなるみだいですよ。
コロナでちょっと足が遠のいる方も多いと思いますが、那覇市民だけでなく、県内外の方も、機会があればぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
那覇文化芸術劇場 なはーとhttps://www.nahart.jp/