- DEEokinawaトップ
- 特集
- 首里劇場が名画座になって復活!
首里劇場が名画座になって復活!
これまでDEEokinawaで何度となくレポートしてきた首里劇場。
現存する沖縄の映画館では最古の映画館であり、コザ琉映が閉館してからは県内に唯一残る成人映画館でした。
そんな首里劇場が成人映画をやめたのが2021年1月。
「首里劇場、エロ辞めるってよ」。
それから3ヶ月ほどの休館期間を経て、ついに来る2021年5月1日に旧作映画を主体に上映する名画座として正式復活するらしいのです。
本日は路線変更至った理由について金城館長にインタビュー、そして久しぶりに首里劇場の裏側などを覗かせてもらいつつ復活前夜の様子をレポートいたします。
首里劇場
まずは改めて首里劇場のことを。
昭和25年に当時の首里市にはじめて建築されたのがこの首里劇場。
うちな~芝居(沖縄芝居)や時代劇に始まり邦画から洋画まで映画も上映されていました。
当時の楽屋では水は井戸からくみ上げ、かまどで調理をして、役者さん達の腹を満たしていました。
今後も古き良きものを残しながら皆さまに新しい娯楽を提供していきます。
(首里劇場公式サイト より)
昭和25年に建設ということは西暦で1950年。今から71年前に建てられたということになります。
外側の以前は大人の映画ポスターがあったポスター掲示板には、館長直筆の次回映画の告知が貼ってありました。館長の味のある字が首里劇場に合っていてとてもいい。
成人映画時代には一律800円表示だった入場料金ですが、名画座になるので女性やこども料金も堂々と設定したとのこと(以前から値段は設定されていたとか)。ちなみに男性よりも女性が安い理由はトイレが使いにくいからだそうです。
でも今後トイレは工事をする予定があるのだとか。でも工事後もやっぱり女性は使いにくいだろうとのことです。気になる方は公共の施設で済ましてからどうぞ。
館内入り口には健全な映画のチラシが置かれていました。
首里劇場のチラシもありました。
5月は吉永小百合主演の「あゝひめゆりの塔」とマリリンモンローの「ナイアガラ」が上映されるようです。
壁の端っこには唯一、エロの痕跡も。総選挙大会が106回開催されたとあります。
写真に写っている手前が金城館長と、奥に広報担当でありシネマラボ 突貫小僧の平良竜次さん。
復活までのあれこれを忙しそうに準備されておられました。
平良さんには前回に引き続き今回も取材を取り次いでいただいたことを、ここでお礼申し上げます。
お話を伺いました
成人映画からどうして名画座に路線を変更するのか、金城館長にお話を伺いました。
- 約50年続けてきた成人映画をやめようと思われたのはなぜですか?
ニーズに合わなくなってきたというのが大きいですね。ビデオテープが出始めてからだんだんお客さんは少なくなりました。今まではTVで見られないのを映画館で見ていたけど、TVで見られるようになったから。
- なぜ名画座に?
第一は自分がやりたかったから。成人映画でも人は来ないんだから。
1日15人程度で密集しない、建物が古くてすきま風、接客もしないからNO密だよ。
- 第一弾が「あゝひめゆりの塔」の理由は?
「あゝ」と思って。
- え?
(笑)
やっぱりクラシックで沖縄の映画ということもあっていいかなと。
ひめゆりが最初に上映はされたときは他の映画館では上映されたけれど、首里劇場ではやっていないと思う。
でも前もタイトルはエロおじさんたちを惹きつけようとして過激だったけど、成人映画は成人映画でストーリーも内容もちゃんとしていてよかったんだよ。
- 今まで首里劇場に興味があっても成人映画館だったから来られなかった人も楽しみにしていると思います
旧作を流した時に思ったんだよ。映画館と映画が一緒だって。
だから張り出しているけど
「ようこそ昭和の時代へ / 昭和の匂いがする劇場で / 昭和の映画観て / 昭和にタイムスリップ / 昭和を旅しよう」
がキャッチコピーになった。
旅しているようなもんだなと。昭和の匂いもするし、昭和の映画を見ながら昭和を感じられたらいいでしょう。
だから建物は修繕する必要はないなと。
雨が降れば傘をさして映画を観たらいいじゃない(笑)
- 今後が楽しみですね
まだ蓋を開けていないからどうなるかはわからないよ。1週間で潰れるかも!
- いやいやいや!!
劇場内や裏側に入らせてもらった
首里劇場内。コンクリートをひいたままの床に、古い跳ね上げ式の座席と比較的新しいベンチ席がずらりと並んでいます。
もちろん痛みや汚れはありますが、ゴミや埃などはありません。
毎日金城館長が汲み上げ式の井戸水で!掃除をされているそうです。
名画座になることで新しく導入された消火設備
水が来ていないからスプリンクラーなどはつけられず、めっちゃ大きな消火器の様なものになったそう。
非常灯。
スクリーン奥の舞台裏。
フィルム映画時代のフィルム巻き上げ装置だそうです。
よく見ると「千秋楽 千鳥節」と書いてあります。
これはかつて映画上映と並行して沖縄芝居や琉球舞踊の公演をやっていた時代のもの。
どんちょう。はっきりしませんが、この色合いや首里劇場が完成した時代背景から鑑みて、もしかすると元は米軍テントなどだったのかもしれません。
- 年代物の広告
- ニュース専門の映画館があったのでは、という話
まさに現役の沖縄の歴史博物館。
見る人が見たら、興奮しきりでしょう。
首里劇場へ
こうして改めて見てみる首里劇場の歴史的、文化的価値ってやっぱりすごいです。
2010年にDEEokinawaが開設して10年と少し。その間に、久茂地公民館も農連市場も牧志公設市場も旧那覇バスターミナルも那覇タワーも島袋琉映もコザ琉映も、数え切れないぐらいいろんなお店や施設が取り壊されるのをわたしたちは見てきました。
中にはどうにか残そうという運動があった場所も多いです。でも残すのはものすごく大変で、みんな実現せずに取り壊されてしまいました。
でも首里劇場はなくならない。むしろ全然なくなりそうではない。
以前の取材時も「俺の命ある限り上映を続ける!」とおっしゃっていました。
何が金城館長を突き動かしているのでしょうか。
「広島のコイやね!」
....
.......え?恋?来い?鯉?
本当に私としても「なるほど!」と大きな声で言いたかったのですが、申し訳ないけれど全然わかりませんでした。
平良さんから補足が入り、金城館長は休館中に映画『鯉のはなシアター』を観たそうで、経営難で閉館しそうな映画館をアイデアと努力で復興させる物語に、首里劇場と同じものを感じたのではないかということでした。
いや、それってつまり首里劇場は映画と同じことを現実でやっているということですよね。
こんな簡単な言葉で言っていいのかわからないですが、もう、やっぱりすごいわ。
名画座になって、首里劇場が抱えていたもっとも大きかった「青少年の健全な育成に悪影響」という問題はなくなりました。
さすがに傘をさしながらというのは冗談ですが、外の雨音を聞きながら、うちわを仰ぎながら、沖縄の古い映画館で古い映画を見るのってすごくいいやんと思うのです。
正式復活は今週の土曜日。人工ではない「昭和にタイムスリップ」しに、首里劇場へ来い!