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あなたの知らないオキナワ明太子の世界
ご存じですか?沖縄やまや
先日、コンビニで辛子明太子おにぎりを買ったんです。
その時に気になったのが、おにぎりのパッケージに書かれていた
「沖縄やまや」のロゴと、辛子明太子(シークヮーサー風味)の文字。
「やまや」って、福岡で辛子めんたいこを売ってる、あの「やまや」?
沖縄にも「やまや」があるの??
シークヮーサー風味って???
と、色々と気になってネット検索してみたら、沖縄やまやが運営する食堂を発見しました!!
忠孝酒造の敷地内にある「沖縄やまや」の食堂
気になって仕方ないので、さっそく「沖縄やまや」の食堂に行ってきました。
場所は豊見城市の名嘉地交差点近くで、忠孝酒造の敷地内にあります。
1000円のランチで「辛子めんたいこ」と「辛子高菜」が食べ放題!
店頭の黒板に書かれたランチの中から、今回は「豚焼肉&アジフライ」定食を選びました。
あれ?あまり辛くないぞ??
辛子めんたいこと言えば、辛さが魅力。
唐辛子の辛さが舌にピリリと刺激を与え、
どんどんゴハンが欲しくなる、アレである。
だけど、思ってたより辛くない気がする。
そして、柑橘系の香りも強い気が・・・。
そのおかげ?で、辛子めんたいこを10切れも食べることが出来ました(笑)
ひょっとして、私の知っている辛子めんたいこと、味付けが違うのではないか?
そんなことを思ったので、株式会社沖縄やまや(以下、沖縄やまや)の山脇社長
にインタビューを申し込みました。
沖縄やまやの山脇社長にインタビュー
-まずは、山脇社長のプロフィールからご紹介いただけますか?
ボクは43年間、福岡の「やまやコミュニケーションズ」(以下、やまや)にいました。
やまやの現名誉会長の山本秀雄(以下、山本会長)とは、学生時代からの知り合いでした。
山本会長が当時やまやを立ち上げて、その数年後にボクが入社して、二人三脚で会社を大きくしていきました。
やまやのめんたいこ工場は、ほとんどボクが立ち上げましたよ。
会社がどんどん大きくなっていくうちに、山本会長(当時は社長)はなかなか外に出れないので、ボクが外で動きまわりました。
-工場は、どんな場所に立ち上げたのですか?
東北や山梨に工場を作ったり、そのあとは海外にも進出しました。
韓国に30,000坪の土地に5,000坪ぐらいの工場を作って、社員も500人ぐらいいてね。
そして私も韓国に20年ぐらい住んでいました。
次に中国で14年、その次がベトナム。
ベトナムでは、今もやまやの工場が稼働しています
-その後、会社を退職されて、沖縄に来られたのですか?
仕事をしていた時に行くのは北の方ばかりで、仕事上は寒いところに行くことが多い。
それで、(やまやを)退職してからは、暖かいところへ行こうと思って。
-それで沖縄に来られたと。
それまでも、出張とかで沖縄には来ていたんですよ。
で、退職したので本格的に沖縄に住もうかなと。
最初はね、宮古島に移住するつもりだったんです。
ところが、あまりにヒマで、朝食を食べて散歩して、ホテルに帰ってきたらゴルフしかすることがない。
夕方になったら、またゴハン食べて酒を飲むしか、することがない。
-それはそれで楽しそうですけどね(笑)
そんな時に、宮古島で山本会長と二人で「あまりにヒマだから商売でもしようかね」という話になって。 最初は宮古島でやろうとしたんですよ。
ただ、色々と考えていくと、宮古島は人口が少ないし、商売に向いていない。
どうせやるなら沖縄本島だろうという話になってきて。
-南の方に住もうという話が、宮古島で商売しようという話になり、最後には沖縄本島で商売をする話になったということですね。面白いですね。
何の商売をするかを考えたら、辛子めんたいこなら一度やってるから大丈夫だろうと。
そして本格的に市場調査をやってみたら、失礼な言い方かも知れないけど、沖縄には本当においしい「辛子めんたいこ」がないことが分かったんです。
沖縄やまやを設立
-会社の設立はいつ頃ですか?
2020年2月に、今の場所に「株式会社沖縄やまや」(以下、沖縄やまや)を設立しました。
本当はもっと早く立ち上げる予定でしたが、コロナで延期になりました。
-コロナはもう仕方ないですね。
浦添市のサンエーパルコシティーに、やまやの食堂があるでしょ。
あそこには沖縄で作った辛子めんたいこを卸しています。
だから、あそこが開業した時(注:2019年6月)に、同時に「沖縄やまや」も立ち上げる予定でした。
でもあの時は、沖縄の建設バブルの影響をモロに受けてしまい・・・。
資材はない、人件費は高騰する、あらゆる許可関係がおりないなど、もうめちゃくちゃでした。
色々あって、なんとか開業できたのが、2020年2月1日。
1月末に審査や検査関係の許可が一気におりてきたので、その時期になりました。
そして、沖縄について色々と調べたら、沖縄県は日本で一番めんたいこの消費量が少ない県なんですよ。
それならば、逆に伸びる可能性が一番あるんじゃないかと、こう考えたわけです。
-そんなにめんたいこの消費量が少ないとは驚きです!
ましてや、当時の沖縄はインバウンド需要が高まっていて、韓国・台湾・中国の観光客が多い。
これらの国は、めんたいこを生で食べる食習慣があるんですね。中国内陸部はダメですけど、
沿海部の都市では生で食べます。
と考えれば、沖縄県民向けにもチャンス、インバウンド客向けにもチャンス、ということです。
-なるほど、沖縄は伸びしろが多いということですね。
実は、やまやでは、台湾に4軒、韓国にも4軒ほど、すでにお店があるんです。
めんたいこ加工製造の部分でも、最初は韓国で工場を立ち上げ、次は中国に行って、今はベトナムなんですよ。
どんどん人件費が上がっちゃうから。
そういうのもあって、(沖縄やまやでは)アジアを商圏に考えています。
本土は、やまやが(商売を)やっているので、そことはかぶらないように。
-やまやとは競合しないように、ということですね。
そうです。とにかく、まずは沖縄の地盤を固める。
余裕が出来てきたらアジアで勝負しよう、そんな感じです。
最初はここ(沖縄)で頑張らないといけません。
-沖縄の次にアジア進出を狙うわけですね。
そうですね。
韓国には20年ぐらい住んでましたので、韓国には知ってる人間がいっぱいいて商売はやりやすい。
将来的には、そこまで見据えています。
沖縄県民の辛子めんたいこ事情
-では、話を戻します。先ほどもおっしゃっていた沖縄が日本で一番めんたいこの消費量が少ないという件ですが、理由は何だと思われますか?
理由は、先ほども言った通り、美味しい辛子めんたいこが無いっていうことだと思います。
沖縄では、めんたいこを買って食べるという人がほとんどいなかったんじゃないですかね。
誰かが博多に出張なんかで行って、おみやげにめんたいこを買ってきて、それを食べる。
そういうことはあったと思いますが、沖縄でめんたいこをスーパーで買って食べる人は、
本当に少なかったと思います。
沖縄では、美味しいめんたいこがあまり流通していなかったんです。
-私も沖縄に住んでもう10年ぐらいになるんですけど、たしかに「ここのめんたいこが美味しい」という話はしたことがないですね。
いままでの沖縄の商流では、めんたいこはスーパーなどにちょっと置かれている程度の扱いでした。
「まあ売れた分だけ発注しとくか」というぐらいで、棚を増やすわけでもない。
だからこそ、ウチはめんたいこで勝負する、ということです。
いままで沖縄になかった、それがメリットなんです。
沖縄で売られているめんたいこは、どこで製造されて、どういう作り方をされているかまで、すべて分かりますから。
それに負けない味で、価格を同じ程度までおさえたら、十分に勝算はあると考えています。
やまやでは、辛子めんたいこの材料に、日本酒とゆずを使っているんですね。
でも、沖縄やまやでは、酒の代わりに泡盛、ゆずの代わりにシークヮーサーを使おうというのは、
ある程度決めていました。
その中で長い時間をかけて試行錯誤して、絞り込んでいって、
泡盛はここ、シークヮーサーはここ、と決めました。
具体的に言うと、最終的に使用しているのは、
泡盛は、忠孝酒造の「夢航海」。
色んな泡盛を試しましたが、「夢航海」のフルーティーな味がめんたいこに合うので、これを使うことにしました。
その縁で、沖縄やまやは忠孝酒造さんの敷地をお借りしています(笑)
シークヮーサーは、名護産。
青いものから完熟まで、さまざまな熟し方で試してみました。
ただ、青いのを使うと、苦みが出るんです。これが不味い。
完熟のものが一番あうので、これを沖縄やまや専用の畑で作ってもらっています。
沖縄やまやのめんたいこは、それらをベースに味付けしています。
沖縄県民は、唐辛子と塩辛さが苦手!?
-同じ辛子めんたいこと言っても、材料が微妙に違うわけですね!本土と沖縄の辛子めんたいこの味の違いは?
本土の方が、塩辛い。塩分が強いです。そして、唐辛子が強い。
事前に調査したら、沖縄の人は、唐辛子の辛さがダメ。塩辛いのもダメ。なので、唐辛子の辛さをおさえています。
本土の唐辛子の辛さを100とするなら、沖縄の辛さは70ぐらいです。
塩分も沖縄の方が、1~1.5%低いです。塩分が口に残らないようにしました。
-なるほど。沖縄県民の好みにあわせて、唐辛子と塩分を抑えているんですね!!
本土のに比べ、さっぱり、マイルドな味の辛子めんたいこになりました。
沖縄県民の舌にあうように作ったつもりです。
沖縄やまやの今後の展望
-今後の展望を教えて下さい。
大手スーパーなどへの卸、コンビニのおにぎりでの使用など、販路は多岐に渡ります。これはこれからも拡大していきたい。
ただ、正直に言いますと、今後のことはあまり考えていないんですよ。社員と一緒に、ああいうことがしたいね、こういうこともしたいね、と話し合っている状態です。
その中でも、通販、ネット販売は、やる方向でいま考えています。
ここ沖縄にしかないものを、ゆっくり育てていきたい。
辛子めんたいこでは、本土に(勝負に)行けない。それ以外の沖縄の味を、逆に本土に届けたいですね、
そのために、沖縄の皆さんと色々とコラボレーションできればと考えています。
結論:沖縄の辛子めんたいこは、やっぱり材料から違った!
材料に泡盛とシークヮーサーを使い、沖縄県民の好みにあうよう、塩分と唐辛子の割合まで変えていたとは驚きました!
私が食堂で辛子めんたいこを食べた時の「辛くない」という直感は、どうやら当たっていたようです(笑)
沖縄県民の舌にあうように作られた、辛子めんたいこ。みなさんもぜひ食べてみてくださいね!!