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吉原は今どうなっているのか
以前、DEEokinawaで「新町は今どうなっているのか」という記事を出したことがあります。
宜野湾市の真栄原にかつてあった「真栄原社交街(通称:新町)」。いわゆる「ちょんの間」がたち並ぶ歓楽街でしたが、2010年の夏の浄化作戦でほぼ壊滅状態に。
長らくゴーストタウンのようになっていましたが、近年はアートギャラリーができたり(残念ながら火災で燃えてしまったけれど)と少しずつ新しい試みが行われているようです。
そしてすこし遅れて浄化作戦が行われた沖縄市の「吉原(よしわら)」をご存じでしょうか。
吉原は戦後、沖縄市に新たにできた集落で沖縄市史には以下のように書かれています。
吉原は、照屋の特飲街で営業していた一部業者がコザ十字路北東にある手つかずの高台を開発してできた集落である。一九五○年代初期、照屋が「黒人中心」の街になるのを嫌っての動きであった。五二(昭和二七)年七月、美里区自治会から同高台への特飲街設置が承認され、同年九月に開発が始まる。翌一○月には十数件の家が建ち並んで街の体裁が整えられ、五三年一月には「吉原風俗営業組合」が設立。五七年七月には美里区から分離独立し一行政区として発足した。「吉原」の名の由来は、日本の地名の中でも親しまれ、遊興街としてふさわしいことが理由で、その名は県下に知れわたることになる。設立当初は白人相手の歓楽街を目的としていたが、一九五四年にオフリミッツが発令されたことをきっかけに日本人相手の歓楽街となった。最盛期は一九五六〜六五年頃で、客は多く毎晩遅くまでにぎわっていたという。
復帰後、センター通りや照屋黒人街など、外国人相手の歓楽街が次々と消えていくなかで、吉原は歓楽街として存続している。
『沖縄市史 第三巻 民俗編』
日本人相手の歓楽街で、前出の資料には「スナックやカフェなどの約100の風俗営業店が軒を連ね、公民館は社交業組合事務所を兼ねる。地元民は少なく余所から移住した人々が多い。店舗だけでなく一般住宅もあるが、老人世帯と夫婦二人世帯といった家族構成が殆どで、人口も世帯も年々減少傾向にあるという。」とも書かれています。
僕ははるか昔、会社員をしていた頃(2004年~2007年くらい)は会社で飲み会があると、元気な人はタクシーに乗って吉原まで繰り出したりしていたものですが、今はどんな感じなのでしょうか。足を運んでみました。
すっかり廃墟になったちょんの間跡
大通りから吉原に入っていくと、特徴的な建物が並びます。新町でもよく見るこの建物、いわゆるちょんの間のつくりですよね。
ガラス張りから見える店内はがらんとしていて、長らく使われていない様子。
ちょんの間的なお店は全て閉店しているように見えますが、浄化作戦が始まってしばらくは表向きは閉店しているけど、通行人を装った客引きがこっそり客を入れたりということがあったという話も聞いたことがあります。
何年か前に写真を撮りに行った知人が、明らかに堅気じゃない男性に絡まれたという話も聞いていて、ちょっとドキドキしていたのですが、人通りもなく閑散としています(時間が朝方だったのもあるのかもしれません)。
建物は平屋でセメント瓦の建物が結構あって、趣を感じます。天水タンクもいい感じですね。
こちらはコンクリート造の1階に木造の2階が乗ったもの。1階が店舗、2階は住居でしょうか。
結構高い建物もありました。1階はそば屋の看板がありましたが、貸しの張り紙がされていたので閉店してしまったよう。
吉原区自治会、社交業組合の建物。めちゃめちゃ年季が入っていて、中が気になります。吉原区自治会は他の場所にも看板があったので、こちらは古い建物なのだと思います。
これまた年季の入った加盟店のステッカーもありました。
入居者募集ののぼりがたっている建物も。
中を覗いてみるとこんな感じ。どれくらいの家賃で借りられるのでしょうか。
バイクショップになっている建物もありました。しかし中が見えるわけでもなく、入るにはハードルが高すぎる…!
吉原はゴーストタウンなのか
さて、すっかり寂れた様子をお届けしたのですが、それでは吉原はゴーストタウンになってしまったのでしょうか?
ちょんの間的なお店は息をしてなさそうですが、スナックが建ち並ぶエリアがあり、そこはまだ健在のようです。沖縄県の要請による営業時間短縮のお知らせが張り出されていました。
宜野湾真栄原の新町はスナックを営む感じのお店はほとんどなかったように思えます。なので浄化作戦後はほぼ廃墟になってしまいましたが、吉原の一角のスナックはまだまだ元気に営業を続けているようです。
ここはやってるか分からなかったですけど、なんか格好いいカフェー。
余談ですが、沖縄のホステス募集は結構な割合で「募集」じゃなくて「採用」なのは沖縄らしいのではないかと思うのですがどうでしょうか(内地の事例を知らないのでなんともいえないのだけど)。
吉原、ワンダーランド
というわけで、沖縄市の吉原について本日はお届けしました。
歩いたのが午前中だったので、夜はまた様子がことなるのではないかと思います。特にスナックはまだまだ健在そうなので、コロナが落ち着いたらどなたか一緒に行きませんか(一人は怖い)。
夜でなくても、歴史を感じるなかなか他ではない集落だと思います。気になった方は是非歩いてみてはいかがでしょうか。
ちなみに沖縄の歓楽街の話はノンフィクションライターの藤井誠二さんがまとめた『沖縄アンダーグラウンド』『琉球アンダーグラウンド』(すみません!書名を間違ってました!)という本に詳しいです。本書では吉原をシマにしていた(元)ヤクザにインタビューされていたりして、そのあたりの話もすごく面白いので、気になる方は読んでみるとよいと思います。