2020.08.05

クジラを掘りに東村へ

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東村でクジラの骨を掘り起こすと聞いて、取材してきました。

6月某日、ダンナから、唐突に「クジラの骨、堀りに行くけど」とお誘いがありました。何かよくわからないけど、これはぜひ行かねば!というわけで、休日の午前9時ごろ、家族で東村に着きました。

沖縄本島北部ではクジラはピートゥと呼ばれ、昔から食されてきました。今でもたまに、海岸に死体が打ち上げられて、ニュースになることがあります。

さて、件のクジラの骨ですが、「東村立山と水の生活博物館」の学芸員の方が2年前の冬に、近くの砂浜に打ちあげられたクジラの死体を埋めていて、そろそろ掘り出すことになったそう。現場には声をかけた人たちが集まっていました。

まずは試し掘りから

砂浜には、もうショベルカーがスタンバっています。


けっこう大きな工事みたいです

「見つかる可能性は5割ぐらいかな?」とダンナは言っていましたが、意外とあっさり見つかりました。埋められた場所を探し当てたのは、名護博物館の村田さん。専門は魚ですが、クジラにも詳しい人でした。さすがピートゥの本場の学芸員さんです。


予想されるクジラの位置を説明する名護博物館の村田さん

埋まっているクジラはザトウクジラの子供で、体の大きさは8mぐらいだそうです。骨自体がもろいので、壊さないよう気を遣って作業していました。


試し掘りが始まりました

そしてついに、村田さんがクジラの骨を掘り当てました!


ちなみにこれは手(ヒレ)の骨です

すごくうれしそう。


お昼ご飯を食べるみなさん。お弁当は東村の皆さんが用意してくれました

クジラの骨を掘りに集まった人たちは東村の方だけではなく、沖縄市や北谷町、名護市などの博物館の自然担当の学芸員や某大学の学長(!)、樹木のプロ(?)、「沖縄生物倶楽部」という沖縄の自然好きに有名なブロガーの方が集まっていました。この人たちは「面白そう」と思ったら、損得関係なしで力を貸してくれる人たちで、ダンナも相当お世話になっているそうです。

 

いよいよ本格的に骨を掘り出す

午後から、本格的に骨を取り出す作業が始まりました。

掘り進めるにつれ、すごい臭いが漂ってきました。私が子供のころ、肥料工場や牛舎の側で嗅いだ臭いを思い出しました。表現できなくて申し訳ないですが、まぁ、とにかく臭い。


ハエがどこからか大量に飛んできていました

砂が黒くなっているのは、クジラの肉が腐って、溶けているからだそうです。死体のにおいが充満しています。ダンナが捨ててもいいボロ服で来たのも納得です。

だいぶ、全体が見えてきました。


手前側の灰色の部分は海水と腐った油と肉汁が混ざった液体

クジラは右に頭、左が尻尾で、バンザイをした状態で埋まっていました。


頭の部分

クジラは、砂を2m掘って埋められていました。掘り出す時には、砂をどけ、作業している人が生き埋めにならないようにします。

砂浜は崩れやすいので、浅いすり鉢状に周りを掘っています。


左側が掘り出された砂の山。かなりの大工事です


海の水で洗ったクジラの手の骨


細かい骨は失くさないようにネットに入れておきます

午後2時ごろ、クジラの頭の骨がトラックに積み込まれました。

頭の骨はかなり大きく、砂の中で運ぶのが大変なので、ショベルカーで吊り下げて移動しています。


村田さんが骨のバランスをとってロープで縛ります


トラックの荷台へ乗せる


女性は東村の博物館学芸員のトクヤマさん。ダンナ曰く「学芸員には珍しく、『友達の優しいお母さん』って感じがする人」だそうです。

私たちはここで退散しましたが、夕方にはほとんどの骨を掘り出せたそうです。

 

取り出した骨はいずれ展示に

取り出した骨は、これから東村の皆さんが掃除や修理をして、東村の博物館で展示するそうです。

たくさんの大人が損得なしで集まって、クジラを掘り出している姿は、とても楽しそうに見えました。

東村の博物館で展示されているクジラを見かけたら、楽しそうに掘り起こしていた人たちのことも、思い出してくださいね。

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