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クジラを掘りに東村へ
6月某日、ダンナから、唐突に「クジラの骨、堀りに行くけど」とお誘いがありました。何かよくわからないけど、これはぜひ行かねば!というわけで、休日の午前9時ごろ、家族で東村に着きました。
沖縄本島北部ではクジラはピートゥと呼ばれ、昔から食されてきました。今でもたまに、海岸に死体が打ち上げられて、ニュースになることがあります。
さて、件のクジラの骨ですが、「東村立山と水の生活博物館」の学芸員の方が2年前の冬に、近くの砂浜に打ちあげられたクジラの死体を埋めていて、そろそろ掘り出すことになったそう。現場には声をかけた人たちが集まっていました。
まずは試し掘りから
砂浜には、もうショベルカーがスタンバっています。
「見つかる可能性は5割ぐらいかな?」とダンナは言っていましたが、意外とあっさり見つかりました。埋められた場所を探し当てたのは、名護博物館の村田さん。専門は魚ですが、クジラにも詳しい人でした。さすがピートゥの本場の学芸員さんです。
埋まっているクジラはザトウクジラの子供で、体の大きさは8mぐらいだそうです。骨自体がもろいので、壊さないよう気を遣って作業していました。
そしてついに、村田さんがクジラの骨を掘り当てました!
すごくうれしそう。
クジラの骨を掘りに集まった人たちは東村の方だけではなく、沖縄市や北谷町、名護市などの博物館の自然担当の学芸員や某大学の学長(!)、樹木のプロ(?)、「沖縄生物倶楽部」という沖縄の自然好きに有名なブロガーの方が集まっていました。この人たちは「面白そう」と思ったら、損得関係なしで力を貸してくれる人たちで、ダンナも相当お世話になっているそうです。
いよいよ本格的に骨を掘り出す
午後から、本格的に骨を取り出す作業が始まりました。
掘り進めるにつれ、すごい臭いが漂ってきました。私が子供のころ、肥料工場や牛舎の側で嗅いだ臭いを思い出しました。表現できなくて申し訳ないですが、まぁ、とにかく臭い。
砂が黒くなっているのは、クジラの肉が腐って、溶けているからだそうです。死体のにおいが充満しています。ダンナが捨ててもいいボロ服で来たのも納得です。
だいぶ、全体が見えてきました。
クジラは右に頭、左が尻尾で、バンザイをした状態で埋まっていました。
クジラは、砂を2m掘って埋められていました。掘り出す時には、砂をどけ、作業している人が生き埋めにならないようにします。
砂浜は崩れやすいので、浅いすり鉢状に周りを掘っています。
午後2時ごろ、クジラの頭の骨がトラックに積み込まれました。
頭の骨はかなり大きく、砂の中で運ぶのが大変なので、ショベルカーで吊り下げて移動しています。
私たちはここで退散しましたが、夕方にはほとんどの骨を掘り出せたそうです。
取り出した骨はいずれ展示に
取り出した骨は、これから東村の皆さんが掃除や修理をして、東村の博物館で展示するそうです。
たくさんの大人が損得なしで集まって、クジラを掘り出している姿は、とても楽しそうに見えました。
東村の博物館で展示されているクジラを見かけたら、楽しそうに掘り起こしていた人たちのことも、思い出してくださいね。