2019.08.28

450年余りの伝統!西原町の我謝大綱曳

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与那原にかつて大綱の作り方を指導したと言われている、西原町我謝の大綱曳。450年余りの伝統を誇る行事を見に行ってきた。

与那原に綱の編み方を伝えた我謝の大綱曳

那覇大綱挽、糸満大綱引と並ぶ沖縄三大綱引きのひとつ、与那原大綱曳。
440年余りの歴史があり、毎年たくさんの人出で賑わう有名な豊作祈願の神事です。
約20,000人もの参加者が東西に分かれ、全長約90メートル、重さ約5トンの綱を引っ張り合う様子は熱気ムンムン迫力満点。
与那原町の一大行事となっています。

そんな与那原に、かつて綱の作り方を伝えたと言われているのが、お隣にある西原町の我謝(がじゃ)集落。
以前の特集『綱引きがアツすぎる』でも、ちらっとご紹介しています。


横断幕などには「450年の伝統」とありますが、480年という説も...

とても小さな集落ですが、毎年旧暦6月25日もしくはその次の日曜日に大綱曳が行われています。
令和元年の今年は、8月11日(日)に開催されました。

時刻は午後6時からということだったので5時半頃に会場の我謝公民館に到着してみると、旗頭が掲げられ人々が集まり始めているところでした。

通行止めにされた公民館前の道路では、トン、トントン、と臼太鼓(ウスデーク)の小気味良い音を響かせながら、女性たちが手踊りをしながら歌っているところでした。大鼓の音と唱えのような歌声が夕暮れの集落に静かに響き、とても素朴で美しい光景です。

公民館の1Fにある倉庫の扉が開いていたので覗いてみると、ここで大綱作りが行われていたのでしょうか、稲藁がたくさん積みあげられていました。大綱は夕方から雌綱と雌綱に分かれてそれぞれ集落内を道じゅねーを行っており、いま公民館に向かってところとのことでした。

公民館の中では若者衆が休憩したり衣装の着付けを行ったり。和やかなムード。

公民館裏の芝生広場には、たこ焼きや焼き鳥、かき氷、ドリンク類の屋台も。
浴衣や甚平を着た子どもたちが芝生広場を走りまわったりして、和やかな地域のおまつりといった雰囲気です。

そうこうしているうちに旗頭が始まりました。向かって右側は子ども旗頭。中学生ぐらいの子どもたちが、メインの旗頭の3分の2ぐらいの大きさの旗頭を持ち上げています。頼もしい!
 

いよいよ大綱が登場!

遠くから「ぶおおーーーー」という低い法螺(ボラ)の音と「コンコン!」という鉦鼓(しょうこ)の甲高い音がだんだん近づいてきて、ついに大綱が姿を現しました。

旗頭合戦(ガーエー)もいっそう盛り上がります。旗頭のいちばん上、トゥールーと呼ばれる部分には仏壇にお供えするコーグヮーシーみたいな花のモチーフがのっています。これらの意味などもそのうち調べてみたいところ。

こちらは雄綱(おづな)。綱の頭の部分は『我謝巻き』と呼ばれる特別な技法で編みあげられており、県内各地で見られる綱の中でも最も美しい綱と言われています。通常、東(アガリ)と西(イリ)に分かれて引き合うことが多い大綱曳ですが、西原町我謝では上割(上区、リンゴー)下割(下区、ウフカー)に分かれます。大綱の長さは約15間(27メートル)と大綱のなかでは比較的短め。

大綱の上には「支度(したく)」と呼ばれる武者役の子どもたちが乗っています。足元を大人たちに支えられながら必死に立っている様子がなんともかわいい...。化粧もして暑くて大変だと思いますが、とても誇らしい気持ちでしょうね。

綱を高く掲げたままの状態で男綱と女綱が合体、横からカヌチ棒が差し込まれます。

その瞬間。

ワッという歓声とともに大綱が地面に落とされ、激しい綱の引き合いが始まりました。与那原大綱曳と同様、開始の合図などは無くカヌチが通った瞬間に一斉に引き合いが始まるのです。一気に会場のボルテージは最高潮に!

綱の上にのっていた支度役の子どもたちがどうなったかというと、抱きかかえられちゃんと群衆の外に連れ出されていました。あの中でもみくちゃになってなくてよかった...。

3分ほどの引き合いの末、初戦は青のはちまきを巻いた上割(リンゴー)側が勝利。
旗頭と手踊りで勝利を喜びます。

綱引きは合計で二回行われますが、本番である一回戦で勝利した側が二回戦では勝ちを譲り、どちらも1勝1敗で終わるのが伝統のようです。やさしい世界。

二回戦までの休憩の間に、綱を近くで見せてもらいました。これが雌綱側の「我謝巻き」。とても美しく頑丈に編み込まれていることがわかります。

10分ほどの休憩の後、二回戦が始まりました。
またカヌチを入れるところから始まり、今回は赤いはちまきの下割(ウフカー)の勝利。
 

小さな集落の、伝統ある素晴らしい伝統行事

旗頭に取り付けられた金属の筒のようなところから紙吹雪が出てくる仕掛けになっており、とても華やか。
綱を引き終えた人々は、みな晴れやかないい表情をしています。

沖縄三大綱引きのような華やかな大綱曳まつりもいいですが、こういった小さな集落の綱引きもまた素晴らしいもの。
この伝統がしっかり次の世代へと引き継がれ、500年、600年といつまでも続いていくことを願ってやみません。

さいごに、我謝公民館の近くにあった珍しい石敢當で本日の記事を締めたいと思います。
『泰山石敢當』の表記は時折見かけますが、『泰魁石當』にはどんな意味があるのでしょうね。

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