- DEEokinawaトップ
- 特集
- リフォームした古民家で見つかった空き瓶を愛でる会
リフォームした古民家で見つかった空き瓶を愛でる会
僕の知り合いにSさんという人がいます。普通に会社員なのですが、ある時唐突に「古民家を買った」という話を聞きました。
上がSさんが購入した古民家。古民家の定義がよくわからないのですが、昭和39年に建てられたものでなかなかいい味出してます。聞けばもう誰も住んでいない古民家を買って、その風合いを活かしつつリフォーム。オフィスとして企業に貸し出すという計画を立てられているのだとか。
なるほど、それは素敵ですねみたいな話をして、しばらく忘れていたのですがSさんから「ちょっと気になるものを見つけた」という連絡をもらいました。
古民家のリフォーム中に屋敷を囲うブロック塀を解体していたらしいのですが
ブロックに使われているブロックの穴に大量の瓶が差し込まれていたらしいのです。確かにブロック塀の穴って何かを入れたくなりますが、外側に露出した穴だけでなく壁内部のブロックにも瓶が差し込まれていたのだそうです。
そんな謎の瓶がこちら。見ればかなりの数だし、中には見たこともないようなビンもあります。これは面白そう!ということで後日見せてもらうことにしました。
リフォームの古民家で空き瓶を愛でる
それからしばらくしたある日、ちょうど古民家のリフォームもほぼ完了したということで、せっかくなのでそれも見せてもらいながら見つかった瓶の鑑賞会を行うことになりました。
まずはリフォームの様子を見てみましょう。リフォームといっても建物自体は古民家のものをそのまま使っており、風合いはそのままです。
かつて、セメント瓦や屋上物干しなんかの記事を書いた身としてはこういう沖縄っぽさはそのまま残されているの、いいなぁと思います。
屋敷裏にある四角いセメントは天水タンク。あえてそのまま残したのだとか。
中はどうなっているのかといえば、ぐっとモダンな感じになっています。
普通に事務所として借りたい…。こういう古民家ってだいたいは取り壊して新しい建物が建てられちゃったりするわけなのですが、あえて古民家をそのまま使ってリフォームするというのも全然アリだな、と思いました。セメント瓦とか天水タンクとか、いずれなくなってしまうものがこうやって活かされているのは意義深いことだと思うのです。
と、リフォームの話になってしまいましたが、この話の本題は空き瓶です。古民家のブロック塀から見つかった空き瓶、ひとつずつ愛でていこうではないですか。
空き瓶を愛でる
発見された空き瓶をとりあえず洗って並べてみました。どんなものがあるのでしょうか。
ボンジュース/ボンコーラ/ボンソーダ
まず最も数が多かったのはこちら。ボンジュース/ボンコーラ/ボンソーダです。
さて、世には空き瓶コレクターという人々が居てネットでも情報が載っていたりします。その中で沖縄のビンを集めている人がいるのですが(ビンの博物館)、そちらの情報ではボンジュースは「1955年3月10日、那覇市松川区4班にて創業を開始。時としては結構メジャーな飲み物だったらしく、当時の雑誌広告などが残っている。」と記されています。ビンによっては会社名(合資会社大洋加工所)が入ってるものもありました。
ベストソーダ
こちらも比較的メジャーな「ベストソーダ」。今でもレトロ居酒屋的なところで広告が貼られていたりします。創業は1953年で最盛期には全琉のシェア20%を誇っていたそうです。
前に今は無き沖縄バヤリースの展示会が開かれたのですがそこでも広告が展示されていました。
ベストソーダは復帰後しばらくして廃業してしまうのですが、沖縄バヤリースでは味を引き継ぐ形でサンサンというクリームソーダを販売していました。
ダブルコーラ
こちらはダブルコーラ。
販売は先に出てきたベストソーダ社とのこと。なんだよダブルってと思っていたのですが当時6.5オンス(190ml)が一般的だった中、ダブルコーラは10オンス詰めなので「ダブル」らしいです。
ミッションコーラ
これも名前はたまに聞きます。先出の「ビンの博物館」によれば「沖縄での販売は1953年8月那覇市5区17組に本社を設立、名護市許田に工場をつくり、製造販売を開始」とあります。
日本本土でも輸入されていたという話が見つかったりするので、外資系企業だったのだと思われます。
ミスターコーラ
ミスターコーラ。これもかなりメジャーだった模様。それにしてもビンの情報量が多いですね。
販売会社は合資会社グラペット、会社の住所は那覇市繁多川となっています。ビンにはさらに「コノ飲物ハ アメリカ・アーカンサス カムデン・グラペット本社ノ指示ニヨリ製造サレタ最高級品デス」と書かれていて、こちらも外資系企業だったことが分かります。最高級品とかビンに書いてるところにも歴史を感じますね。
反対側の面は英語表記になっています。
ロイヤルクラウンコーラ
ロイヤルクラウンコーラ。RCコーラとも略されていたそうで、先述の「ビンの博物館」では「沖縄での創業は1966年5月23日ロイヤルクラウン株式会社が那覇市首里寒川町で製造販売を開始した」とのこと。
裏側は「RC」の文字。それにしてもコーラの種類の多さよ。
キープ
「KEEP」。ジュースっぽい名称ですがどうなんでしょうか。
那覇市の繁多川にある三栄鉱泉社というところが発売していたようです。コーラっぽくはないのでこちらはジュースでしょうか。
セブンアップ
今でも生き残ってますね。セブンアップです。
これまでのものはだいたい190ml~210mlだったのですが、セブンアップは335ml入り。
コカコーラ
王道、コカコーラもありました。沖縄では1951年に民間に向けて販売が始まったそうです。
コカコーラは500ml入りのビンもあって
そちらには「ホームサイズ」の文字が。現代で考えると大人数でシェアする時は1.5リットルペットボトルが一般的ではないかと思います。500mlでホームサイズを名乗っていた時代、みんなどうやって分け合ってたんでしょうか。
ペプシコーラ
こちらも王道、ペプシコーラ。ロゴが現在のものとは異なっています。
ペプシが沖縄の民間で販売されたのは1954年のこと。ビンの首には「RYUKYU ISLANDS」の文字が。
ちなみにペプシコーラにも500mlのビンがあって、こちらは「ファミリーサイズ」と書かれていました。
ミリンダ
同じくペプシで販売されたジュース、ミリンダ。
PEPSI-COLA COMPANYの文字が入ってました。
ゲンキ牛乳
続いて牛乳瓶です。こちらはゲンキ乳業のもの。二種類あったのですが、左のパチモノ感すごくないですか?
裏には「1級」と書かれています。ちなみにマスコットキャラクターのゲンキ君?ですが、実は八重山と宮古島でも同じキャラクターで展開がされていました。
マルサン牛乳
こちらはマルサン牛乳。このキャラクターの適当に書いた感、嫌いじゃありません。ビンには「マルサン商会」の文字が書かれており、掠れてますが、上之屋に会社があったようです。
ワイパア
こちらはビンにワイパアと書かれたもの。
よく見るとキャップに鷲のマークがあしらわれており、大正製薬から発売されていた模様。
大正製薬がドリンクを販売していたというのは初耳です。これものすごい貴重なものなんじゃ…と思って調べてみたのですが「ワイパア」は蛆殺しの殺虫剤らしいです。
他にもコカコーラのコップだったり、よく分からないビールビンっぽいやつだったりもあったのですが、取り急ぎ紹介できそうなやつは以上です。
ハマる人の気持ちは分かる
さて、リフォームした古民家から出てきた空き瓶をひたすら紹介するという今日の記事、いかがだったでしょうか。はじめに空き瓶を前にした時には「これ記事になるのかな?」とか思っていたのですがいざ調べてみるとそれぞれのビンにストーリーがあったり、当時の飲料業界の様子が垣間見れてすごく面白かったです。
こういうビンってリフォームなんかで出てきても人知れず廃棄されてるんだろうなぁとも思いました。是非捨てる前に編集部にご一報頂けますと幸いです!