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やんばるの山奥にあるハブメインテーマパークを訪ねて
やんばるの山奥に桃源郷あり
首里城や美ら海水族館に飽きたら(飽きなくても)是非訪れてほしい、DEEokinawaが推薦する沖縄B級観光スポット。
これまでに今帰仁の『だちょうランド』や恩納村の『山田水車屋』、金武町の『ぼんさいカフェゴールドホール』など、初めて足を踏み入れるには少し躊躇してしまうような、だけど昔ながらの沖縄らしさみたいなものがぎゅっと詰まったディープで魅力的な施設をご紹介してきました。
そして先日。やんばるの山奥に、まだ私たちの知らない新たな観光スポットがあるという情報をいただいたのです。
その名も『ハブメインテーマパーク』。
インターネット上の情報は無し。地元出身者でさえも知らない。
そんな桃源郷のような場所がまだあったんだということに感動しつつ、3月某日、集合場所である名護市大浦の『わんさか大浦パーク』へと向かいました。
今回の情報を送ってくれたうえに案内役までかって出てくれたのは、毎年11月に沖縄本島で開催されているサイクリングイベント ツール・ド・おきなわ 協会の宮里さん。イベントの運営をはじめ、開催時期以外にはポタリングのコース作りや、まちづくり活動などを行っているそうです。そんな宮里さんはまさに地元のご出身。しかし最近までそのスポットの存在を知らず、先日はじめて訪れて衝撃を受けたのだそうです。
のどかな三原集落を抜けてぐんぐん進んでいく
やがて車はうっそうと緑の茂る山道へ。かろうじてコンクリート舗装はされているものの、すれ違いは不可能なほどの狭い道幅になってきました。
見よ、これがハブメインテーマパークだ
「着きましたよ!」
三原集落を抜けてからは5、6分ほどだったでしょうか。意外と早く到着しました。
車を降りてみると、工事現場のようなだだっ広い敷地に建物やコンテナが点在しており、数本のカラフルなのぼりがはためいています。
敷地のどこにいるか分からないので宮里さんが電話で呼び出そうとしてくれたのですが、あいにく携帯電話は圏外。秘境感、増し増しです。
私のUQmobile はギリギリ電波が入るか入らないか...
しばらくきょろきょろしているとコンテナのほうから人の気配が。声をかけて近づいてみると、作業着姿の男性が出迎えてくれました。
こちらが園主の眞喜志 康弘さん。埋土用の土販売会社の社長にしてハブメインテーマパークの園主。
そして地元では知られたハブ捕り名人でもあります。
是非取材させてほしいとお願いしたところ、とても気さくに応じていただきました。
「ではまず、こちらから案内しましょうね」
と案内されたコンテナハウスの中には、壁一面にびっしりと写真が。
ヤンバルクイナを飲み込むハブ
ツチノコみたいなかたちの巨大ハブ
ハブ、ヒメハブの写真が主ですが、他にもイシカワガエルやケナガネズミなど、やんばるの希少な生物たちの生き生きとした姿が鮮明に捉えられています。こ、これはすごい...。
「ハブ捕りに山に入るときは、必ず自分のカメラを持っていくようにしてるんです。」と真喜志さん。山に分け入って年間400~500匹ものハブを捕まえる中で、学術的に貴重なシーンに出会うことも多く、2015年には「ハブと森のなかまたち ― 山原のハブと希少生物の写真展」という写真展を開いたこともあるそうです。
森の仲間 多彩に ハブ捕り名人・眞喜志さん写真展 - 2015年7月23日 琉球新報より
そしてここで、突然の振る舞いハブ酒。
ハブ酒はもちろん自家製
おしゃれなウォータージャグに入っていたので、ハーブティーかなにかかなと思っていたらハーブシューでした。
試飲させていただくと、臭みのようなものはまったくなく爽やかな味わい。43度の泡盛にハブを3ヶ月ほど漬けたものだそうですが、度数の強さを感じさせないまろやかな口当たりでした。これは美味しい...。
真喜志さん曰く「ハブ酒は滋養強壮にもぴったり。毎日少しずつ飲むとすごく元気になりますよ。それから悪酔いもしない。前に仲間と1升飲んだけど、全然酔わなかったなぁ」とのこと。1升飲めるかどうかはさておき、この美味しさなら確かに毎日でも飲めそうです。
ここは生き物パラダイス
「こっちに大ウナギがいるよ」と案内されて、また別の小屋へ。
井戸のような水槽でペットとして飼っている
写真ではちょっと分かりづらいですが、大人の女性の腕ほどの太さがある大ウナギが二匹。
近くの川にたくさんいるそうです。
「あっちにはイノシシがいるよ」
誘われるままに敷地の奥へと足を踏み入れると、そこには清流が。
ちょっと臆病なウリボー
これはオキナワヒラタクワガタ
敷地を流れる川にはグッピーやシリケンイモリ、ミズスマシもわんさか。もう少し暖かくなったらキノボリトカゲもたくさん出てくるそうです。この川沿いをリバートレッキングコースとして案内もしているんだとか。
なにこの生き物パラダイス。
建物裏の山側にも行けるというので案内してもらいました。
8〜9月頃になるとこのあたり一帯に野牡丹(ノボタン)の紫色の花が一斉に咲いて、それはそれは見事なのだそう。
今はまだ葉っぱだけでした。
いったいどこまでが真喜志さんの土地なんだろうと敷地面積を訪ねてみると、なんとおよそ4,000坪とのこと。
真喜志さんがお婆さんから受け継いだ土地なんだそうです。広大だ......
いよいよ、ハブ試食のお時間です
「じゃあそろそろ、ハブの試食にしましょうね」
そう、ここハブメインテーマパークではハブ酒の試飲だけではなくハブ肉の試食もできるのです。
おもむろに冷蔵庫から生きたヒメハブを取り出す真喜志さん。
ここでは詳細は割愛しますが、ヒメハブを捌くシーンを間近で見ることができます。
苦手な方はそっと目を閉じておきましょう。
包丁で頭を落としたら血を絞り出し、皮を剥いで内蔵を取り出します。なお、この状態でもまだガンガンに動いています。
次に、ハブ肉をミンチにする機械にかけます。
ガチャンガチャンガチャン...
スイッチを入れるとハンマーのような部分が電動で動いてハブ肉を叩き潰しミンチにしていくのですが、これがなかなかトリッキーな動きでいつまでも見ていられそうなぐらい面白いです。これは是非、実際に見て確かめてみていただきたい。
最後は金槌で丁寧に叩いて仕上げ
母屋にあるキッチンで両面を香ばしく焼いたら完成。
ハブのハンバーグです。
まずはそのままひとくち。ハブ酒同様、肉にも臭みのようなものは全く無く、淡白なイワシのつみれのような味わいでした。真喜志さんおすすめの焼肉のタレをつけて食べてみても美味しかったです(というかタレの味)。ただ小骨がけっこう歯と歯茎の間に挟まるので、歯槽膿漏気味の方はご注意を。
もちろん生ハブも見られる
試食を美味しく頂いたあとは、生きているハブとご対面してフィニッシュです。
鍵がかけられ厳重に管理されているハブ小屋
「ほらほら、いっぱいいるよ!」とヒメハブの入ったネットを無造作に山積みにしていく真喜志さん。なんなら全部出そうとするので必死に止めました。
そしてこちらは1.5メートルほどはあろうかというピッチピチのハブ。
ヒメハブに対してホンハブと呼ばれることもありますが、正確には「ハブ」だけでいいそうです。
というか、でかい!近い!!!!
生きているハブをこんなに間近で見たのはハブに歯ブラシをしてあげたとき以来です。
手作りのハブ捕り棒を巧みに操って、ハブをコントロールする真喜志さん。
ちなみにこれまで3回ほどハブに噛まれたことがあるそうですが、すぐに毒を吸い出したり度数の高いアルコールを噛まれたところに注射するなどして、大事に至ったことはないそうです。
ハブメインパークよいとこ一度はおいで
というわけで、やんばるの山奥にある桃源郷ことハブメインテーマパークよりお届けしました。
完全予約制で、開園時間は午前10時〜午後5時まで。
入場料は大人1,000円、小学生以下500円。
予約は電話 0980-55-9009 までお願いしますとのことです。
普通の沖縄観光に飽きた方は是非、ハブメインテーマパークを訪れてみてください。
ビシバシ五感を刺激される体験が、きっとできるはずです。
ハブメインテーマパーク
沖縄県名護市三原498番地
TEL:0980-55-9009
開園時間は午前10時〜午後5時まで
入場料:大人1,000円、小学生以下500円