第1回 沖縄の電柱を見上げる会

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電柱にはそれぞれ地名や通りの名前がつけられている。今回はちょっと変わった沖縄の電柱名を集めてみた

電柱名は面白い

以前に中城村南上原の電柱番号がまるで合い言葉という記事を書いたのですが、電柱には「電柱番号」なるものがありましてそれぞれに名前+番号という固有のものが振られています。

上の写真は沖縄市のパークアベニュー通りの近くで撮った1本ですが、沖縄電力の電柱名は「空港」。それの16本目から派生した4本目、NTTの電柱名は「保険所支」。大元の「保険所幹」という電柱から派生したものという意味になっています。

沖縄市のこのあたりには「ゲート通り」という米軍基地のゲートを起点とする通りがあって、通称が「空港通り」。つまり「空港」の名称は空港通りから取られていると思われます。

この電柱名ですが、なかなか味わい深いのです。

一般的には上の写真の「美栄橋」のように地名だったりするのですが、他にもあります。

こちらは北中城村の安谷屋集落あたりの電柱。恐らく近くにある若松公園が電柱名「公園」の由来でランドマーク的なものが電柱名になっています。

「大美」「大高」...見慣れない地名ですが沖縄市の高原周辺にあります。名前の由来は恐らく近くの「大里」と「美島」を結ぶ地区の電柱なので「大美」、「大里」と「高原」間なので「大高」。つまり二地点のそれぞれの頭文字を取ったネーミングです。

こちらは宜野湾市普天間の「鈴蘭」。すずらん通りという通りがあってそれが由来になっていると思われます。

というわけで、基本的には電柱名は

1.地名
2.ランドマーク
3.二地点の頭文字
4.通り名

となっていることが多いのですが中にはよく分からないネーミングのものなども存在します。
そこで本日は電柱名を愛でるべく、「沖縄の電柱を見上げる会」を開催したいと思います(ひとりだけど)。

かつてあったものが残っていてエモい

まずは電柱の元になったものは消えてしまったけど電柱名だけが残っているパターンです。

新町

宜野湾市真栄原付近で見つけたもの。最近ノンフィクション作家の藤井誠二さんが「沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち」という本を出版して詳しく触れられているのですがこのあたりは「新町」と呼ばれた歓楽街でした。浄化作戦によって新町は消滅、バス停すらも「新町」から「真栄原」に変わりましたがまだひっそりと新町という名称が電柱には残っています。

泉町

同じように浦添市城間の近くに「泉町」という料亭街がありました。早々に衰退して今では痕跡すらないのですが、電柱名は「泉町」。近場には「泉小公園」という公園も残っています。

ヒルトン

北中城村のEMコスタビスタホテルに続く電柱。NTTの電柱名が「ヒルトン」になっています。EMコスタビスタホテルはその昔「沖縄ヒルトンホテル」でしたが、いろいろあってしばし廃墟のようになっていて2005年にEMホテルコスタビスタ沖縄として復活を遂げた経緯があります。

ダイエー

那覇の現在のジュンク堂付近。かつてはダイエーがありました。その名残がまだ電柱に残っています。はじめて勤めた会社の賞与が一部ダイエー商品券で支給されたという恨みを僕は今でも忘れない…!

甲辰

那覇市のパレットくもじ付近にある電柱。かつてここには甲辰小学校という学校がありました。学校は沖縄戦の十・十空襲で焼失。パレットくもじの駐車場付近には「甲辰尋常小学校・甲辰国民学校跡」という石碑も建っています。

ちなみにですが

電柱自体の用が無くなった場合は電柱名は黒塗りで潰されている模様。上の写真は港川フィッシングパークにあった電柱で「港川 釣堀幹」という名前が黒塗りされています。

 

なんとなく意味は分かる気がする電柱

続いてちょっと変わった名前だけどなんとなくその場所から意味が推察できる電柱です。

キリン

動物園である沖縄こどもの国の近くにある電柱。その名もキリン。ネーミングセンスが光ります。

開学

おもしろ看板でも有名な宜野湾の佐真下地区にある電柱。近くには沖縄国際大学、カトリック小中学校があるのでそのあたりが「開学」の名前の由来になっているのではないかと推測されます。たぶん。

平成

浦添市の勢理客あたりにある電柱。今年最後の「平成」となっています。ちょっとした住宅街になってるので平成につくられたという感じの割と雑なネーミングなのかもしれません。NTTの「勢理ハ」という名前もちょっと気になるところです。

 

なんだかよくわからない不思議な名前

そして、全く意味がわからない電柱名。なにがしかの意味はあるはずなのでもしも由来をご存じの方がいらっしゃったら教えて下さい。

クロレラ

沖縄市の高原交差点付近にある「クロレラ」電柱。付近を調べてみましたが全然クロレラにまつわるものがない気がするのですがなぜ。

幸福

宜野湾市真栄原で見つけた「幸福」の電柱。全然ハッピーな感じもしませんが、一体何が由来で幸福になったのでしょうか。

阿部

うるま市のビオスの丘付近。近くに沖縄ロイヤルゴルフクラブという施設があるのでNTTの方はそちらの名前がつけられているものと思われますが、沖電の方は「阿部」。「安部(あぶ)」という地名が名護にあるのでそっち系の地名なのかもしれませんが、内地の名字にも見えます。

空港

冒頭でも「空港」という名前はあったのですが、こちらの電柱は宜野湾市役所裏あたりで宜野湾市野嵩になります。このあたりに空港があったことなんであるのでしょうか?ちょっと調べてみたのですがよく分かりませんでした。そして電柱名って場所によってユニークにつけられているものだとばかり思っていたのですが、重複する名前も存在するようです。

 

電柱名から沖縄が見える?


多分オリオン幹なのだけどどう見ても「オリオソ」

というわけで本日は沖縄の電柱名の妙をお伝えいたしました。ちなみに前に沖縄電力さんのコラボ記事をやったことがあるのですが、その時に聞いた話だと電柱名はその地区の担当者が決めていてかつて自分の名前を電柱名にした猛者もいたのだとか(短期間でなくなったそう)。いずれ電柱名の謎については沖縄電力さんにも正式に取材依頼をして話を聞いてみたいと思います。

日常生活では恐らく毎日目に入っている電柱ですが、なかなか電柱名を見たりということはないと思います。意識して電柱名を確認してみるとひょっとしたら何か面白い発見があるかもしれません。

変わった電柱名を見つけたらぜひ編集部にご一報くださいませ。それでは第2回沖縄の電柱を見上げる会でお会いいたしましょう。

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