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コーレーグースを泡盛カクテルとして愉しむ試み
泡盛本、もうご覧いただけましたか?
先日やんばるたろう氏からも告知があったとおり、DEEokinawaのゲストライターでもある泡盛ライターの久高 葵さんが編集長をつとめた泡盛の書籍『泡盛マイスターの編集長と酒好きにすすめたい泡盛の香り』が発売となりました。
こちらの書籍にDEEokinawa編集部から2本の記事を執筆させていただいたのですが、本日はその第2弾をお届けしたいと思います。第1弾の『泡盛を匂いだけで古酒にする』もあわせてどうぞ!
コーレーグースって、泡盛だよね?
書籍用の記事を執筆するにあたりネタ出しをした際に、ぐるりと事務所を見回しているとあるものが目につきました。
そう、泡盛漬けにした島唐辛子の調味料、コーレーグースです。
これまでコーレーグースに関する数々なネタを繰り広げてきたことにより、事務所のキッチンにたまりまくったいろんな種類のコーレーグース。これをどうにかできないものか...、そう考えた我々はひとつの可能性に気づきました。
コーレーグースは広義で言えば泡盛なのだから、これを使って泡盛カクテルが作れるのではないだろうか、と。
編集長から企画OKをいただき「じゃ、いいお店があるので紹介しますね!」ということで取材に協力してくれるお店も確保。
かくして我々は事務所のコーレーグースをかき集め、ある一軒のBARを尋ねたのです。
那覇市久茂地にある『The BAR SHIOKAWA』。
ビルの二階にある大人の隠れ家のような落ち着いた雰囲気のBARで、25年もの歴史があり沖縄BAR界の草分け的存在。
場所柄観光客が訪れることも多く、泡盛カクテルの種類も豊富。
お酒の種類に詳しくない人でも写真入りのメニューブックがあるので安心ですね。
......と普通に紹介しましたが、いやいやいやいやここコーレーグースとか持ち込んじゃダメな雰囲気でしょ!!
絶対つまみ出されるやつでしょ!!
しかしここまで来たからにはやるしか無いので、企画趣旨を説明し恐る恐るコーレーグースを手渡したところ。
「へえ.......面白そうですね。やってみましょうか(ニヤリ)」
と、企画に協力してくださったのは、泡盛マイスターの小嶺 直正さん。
The BAR SHIOKAWAのマネージャーにして泡盛マイスター協会の専務理事。全国泡盛コンテストで最高賞である総務大臣最優秀賞を受賞した経験もお持ちのプロ中のプロのバーテンダーです。
たいへん恐れ多いですが、この方ならきっと美味しいコーレーグースカクテルを作ってくださるはず!よろしくお願いします!
コーレーグースの可能性に迫る
まずはカクテルのイメージを膨らませるため、コーレーグースの香りと味わいをチェック。
少し口に含んで「おぉ....けっこうきますね。」とあくまでも落ち着いたコメント。いや普通の人はそこでむせると思うんですけど。
泡盛カクテルは副材(泡盛以外のリキュールなど)よりもメインとなる泡盛が多く入っていること(もしくは同量)、そして泡盛らしさを活かした香りと味わいになっているか、というところにポイントを置くそうです。たとえば”飲みやすさ”だけを重視して泡盛独特の個性を殺してしまっては、泡盛カクテルの意味がなくなってしまいます。
「コーレーグースを使ったカクテルは物理的にはもちろん可能ですが、飲んで美味しくなければ意味がないのでなかなかやる人はいないでしょうね」と小嶺さん。コーレーグースを使ってカクテルを作るのはもちろん今回が初めてです。
しかしカクテルコンテストなどで、味のアクセントとしてごくごく少量の辛味を加えるという人も稀にいるそう。
目の前のスマートな手さばきに思わずうっとり見とれてしまいますが、ふとした瞬間にコーレーグース独特の香りが鼻をついてくるのでなんともいえない複雑な気持ちです。
味を見ながらいくつかの副材を混ぜていき、最後にシェーク!!華麗な手さばきです。
そして記念すべきコーレーグースカクテルの一杯目が完成しました。
もしかしたらこれは沖縄初、ひいては世界初のカクテルになるのではないでしょうか。
《Soul mates - ソウルメイト》
・コーレーグース 20ml
・パインジュース
・クランベリージュース
薄いサーモンピンク色の美しいカクテルが出てきました。
鼻を近づけるとほのかにコーレーグースの独特な香りを感じますが、爽やかな果汁の香りのほうが勝っている印象。
しかし、口をつけた瞬間、唇に焼けるような刺激が...!
そして口に含むと舌・内頬、そして喉へと刺激が続いていきます。あわてて水をもらいました。
続いて世界でいちばんコーレーグースを飲んでいるであろう、コーレーグースマイスター(?)のやんばるたろう氏に飲んでもらいました。
「......おお。なるほど。いや、辛いは辛いんだけど、普通にうまいよ?」
辛さには強いほうのやんばるたろう氏、表情ひとつ変えずに味わっています。
うーむ、私が辛さに弱すぎるだけなのだろうか...と同行してもらっていた久高さんにも飲んでもらったところ無言で涙目になっていたので正常な判断だと思います。
しかし辛みが表立ってはいるものの、全体の味わいのバランスはさすが。コーレーグースの辛味をパインとクランベリーの爽やかな甘さでうまくカバーしている気がします。
そうこうしているうちにやんばるたろう氏が飲み干してしまいました。
コーレーグースカクテル、続々
・二杯め
「もうちょっと作ってみましょうね」と小嶺さん。創作意欲がかきたてられたのでしょうか。
なんとなく生き生きとして見えます。
《Sweet Bomb - スイートボム》
・コーレーグース 15ml
・アドヴォガード
・ホワイトカカオ
・生クリーム
・コーヒーパウダー
こんどはカカオと生クリームの脂肪分でコーレーグースの辛味を包み込んで、まろやかに仕上げる作戦です。
まずは見た目のオシャレなこと!これは女子受けも良さそうです。
ワクワクしながら口に含むと、これは...ティラミス...!?まるでスイーツのような味わいです。
そして、あとからふわっとかぶさってくるコーレーグースの刺激と風味。
美味しい!けど辛い!けど美味しい!!と、思わずもうひと口、もうひと口...となるカクテルです。
一杯めよりもコーレーグースが少ないこともあり、これは私でもなんとか飲めました。
途中で小嶺さんがコーレーグース粉を追加のアレンジ。ちょっとやめてもらえませんか。
・三杯め
「次、いってみましょう!」
小嶺さんがジューサーでフレッシュオレンジを生搾りしています。
もう誰もこの人を止められない。
《Surprise - サプライズ》
・コーレーグース 15ml
・バナナリキュール
・ホワイトカカオリキュール
・オレンジジュース
つぶつぶ果肉が浮かぶオレンジジュースの甘みが爽やか!そこにカカオとバナナの甘みも加わってなんともいえず複雑で美味です。
しかし、さっきのミルキーなカクテルと比べると辛みは強め。やはり頑張っても2〜3口が限界でした。
・四杯め
「このハバネロのコーレーグースでも作ってみていいですか?」
《Lovery - ラブリー》
・コーレーグース(ハバネロ) 10ml
・アプリコット
・オレンジジュース
・ジンジャーエール
ここにきてまさかのハバネロ。もう四杯目を飲む頃には、口の中がヒリヒリして味がよく分からなくなっていました。
結局、私が飲めなかった分すべてを飲み干してくれたやんばるたろう氏から衝撃のひと言が。
「やばい、酔っ払ったかも。眠いわ...」
コーレーグースで酔っ払ったそうです。
コーレーグースに無限の可能性を感じた夜
というわけで、The BAR SHIOKAWA のバーテンダー小嶺 直正さんに、4種類のコーレーグースカクテルを作っていただきました。
私の個人的には2杯めの飲むティラミス『Sweet Bomb』ならば、辛うじてコーレーグースの刺激込みで楽しめそうでしたが、やんばるたろう氏のように普段から辛いものが得意な方ならばどれも美味しくいただけるかもしれません。
なんといっても小嶺さんのリキュールや副材の組合せセンス・発想が素晴らしく、華麗なシェーカーさばきも目の前で見ていてとても面白かったです。
最後に、1995年に開催された第2回泡盛コンテスト、ロングカクテル部門のグランプリに輝いたという泡盛カクテル『サザン・アイランド・オキナワ』を作ってもらいました。南国感あふれる心躍るビジュアルに、しっかりと泡盛の風味を活かした爽やかな味わい。心洗われ喉も洗われる美味しさでした。もちろんコーレーグースは入っていません。
ご協力いただいた小嶺さんをはじめ、『The BAR SHIOKAWA』の皆様、ご協力本当にありがとうございました!
The BAR SHIOKAWA
沖縄県那覇市久茂地3-15-15 やまこ第2ビル2F
TEL:098-869-6201
営業時間:20:00~翌3:00(LO翌2:00)
定休日:不定休
駐車場:なし(近くのパーキングをご利用下さい)
Facebook:http://www.facebook.com/The-BAR-shiokawa