2018.02.26

「ソテツ味噌」で話題の粟国島に行ってみた

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沖縄本島の西に位置する粟国(あぐに)島は、周囲12kmの小さな島。そこでは昔からソテツを使った味噌が作られているというのです。「なぜソテツ?」「どうやって作るの?」が気になったので、話を聞きに出かけてみました。

粟国島とソテツの深ーーい関係

那覇市泊にある港からフェリーで2時間。人口約700人の粟国島に到着しました。
粟国港は、船着き場と売店が入っている建物があるだけのこじんまりとした港です。売店も、船が出入りする時間だけオープンするという「まさに離島!」「これこそ離島!」な経営方針。(こういうゆるさ大好き♪)

特産品として有名なのが、塩と黒糖。特に、こだわって作っていることから粟国の塩は人気があります。粟国島の塩工場については、以前、Naokiさんが特集『【大人の社会見学】沖縄海塩研究所』で紹介してますね。

ちなみに、畑作も盛んで今の時期は新タマネギが穫れたて!あまり沖縄本島にも出まわりませんが、美味しいそうですよ。

船を降りて町の中を歩いていると、存在感のある植物がたくさん。そう、こちらが今回の主役・ソテツ。九州南部や沖縄に生息している、鋭い葉先が特徴的なヤシの木のような植物です。
粟国島は「ソテツの島」と呼ばれるほどたくさんのソテツが自生していて、粟国村の村木花に指定されています。

ブーゲンビリアの隣にも、島の最北端へ向かう道の脇にもモサモサ。

このソテツ、水の確保が難しかった粟国島では、人々を救った大切な植物だったのです。戦前・戦後の食糧難の時、葉は燃料として、実や芯は食材として、また雄花は肥料として使われました。沖縄ではよく「豚は鳴き声以外すべて食べられる」と言われますが、粟国島では「ソテツは葉から根まですべて使える」と言われているそう。

そんな粟国島では、ソテツの実と玄米・大豆を原料として「ソテツ味噌」なるものが作られています。
でも、ソテツの実にはサイカシンという毒があるはずだし、そもそもソテツの実ってどの部分?どうやって味噌に取り入れるの?謎すぎるーーー!
 

ということで、「ソテツ味噌」を作っている施設を訪ねてみた

島内には、ソテツ味噌を作っている場所が2カ所あります。
今回、観光協会のお隣にある「粟国村農漁村生活研究会加工部」を訪ねました。

まず、玄関に着いたところから驚き!
出迎えてくれたのは、ソテツで作ったクリスマスツリー!

作った当時は葉っぱも青々としていたそうですが、1ヶ月半経ってこんな色に。2月中旬の旧正月に向けてお花の装飾も加えていて「葉っぱが黄金色になって、縁起も良さそうでしょーー?!」なんて言われました。うん、やっぱり島のゆるさ大好き♪♪

肝心のソテツ味噌は、この加工部の作業スペースで作られる……そうなのですが、あいにくこの日は味噌作りの作業はなし!一度に多めに仕込むので、そんなに頻繁に作る訳ではないそうです。本当に残念……。でも、味噌の作り方をしっかり教えてくれました。

普通の味噌は、大豆と麹と塩で作られますが、ソテツ味噌の原材料はソテツの実と玄米・大豆・塩です。
ソテツは、秋になると朱色の実をつけます。それらを集めて太陽の下で干し、半分に割って中の実を取り出します。写真は実を出した後の殻部分ですね。

中の実は、こんな風に真っ白。これを何度もくり返し水でさらしてサイカシンを取り除き、デンプンだけを集めて乾燥させ、粉々に砕いた状態で保存します。デンプンを取り出すには1~2週間かかるそうですが、しっかり毒抜きが必要なので、ここは手を抜いちゃダメなところ!

ソテツの実を砕き取り出したデンプンに麹を仕込んで味噌を作る、というのが、ソテツ味噌の正体。「とっても手間がかかるのよーー」と教えてくれました。
 

普段はここで、他の特産品を作っているらしい

粟国村農漁村生活研究会加工部では、ソテツ味噌の他に「もちきびかりんとう」や「あぐにようかん」を作っています。

この日は、旧正月に向けて「もちきびかりんとう」作りの真っ最中。
「あんたたち、見てるだけじゃなくてやったらいいさ」
……え!?いいの!???笑
ということで、私も島のお母さんたちにまざって、かりんとう作りをさせてもらうことになりました。

マージンとも呼ばれる「もちきび」は、雑穀の一種で黄色く、もちっとした食感とコクが特徴的です。収穫したもちきびを粉にして、上の写真のように小麦粉や砂糖にまぜてしまいます。

卵も加えて、手でまぜまぜ。まぜきれない部分は、機械の力も使ってしっかり練ります。

まぜあがった生地を小さくカットし、ひとつひとつ手で形作っていきます。「丸めの形になったらいいさ。あんまり考えないでいいよ」なんて言ってくれるものだからお言葉に甘えて、手元を見るよりおしゃべりに夢中。これが楽しいんだな。

形ができたら油で揚げて

こんがりきつね色に揚がったらできあがり!できたての熱々は最高でした♪
 

ソテツ味噌、もちきびかりんとう、自然、魅力たっぷりの粟国島

粟国島の島内を歩いていると、石の塀で囲まれた瓦屋根の沖縄家屋が多く並んでいます。その周りには、防風林としてフクギの木が植えられた昔ながらの街並も。「離島らしい街並といえば八重山諸島」と思い込んでいたので、こんなに近くにもあったのねとちょっと驚きました。

海岸沿いを歩くと、ここでしか見ることができない地層が!こちらも以前、Naokiさんが特集『粟国島の地層が何だかスゴい』で紹介していましたね。地層好きにはたまらないと思います。

今回の粟国旅行では、味噌を作る所を見られなかったので、またの機会に。「いこうよ〜粟国島」の文字が書かれたタラップに渡ってフェリーに乗り込み、また行ってみたいと思っています。

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