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在来種の大豆で、本土復帰前の「繁多川ゆし豆腐」を再現してみる
5粒の大豆から始まる、復活ストーリー
那覇市繁多川(はんたがわ)には昔から湧き水が豊富にあって、豆腐作りが盛んだったとのこと。戦後の食料不足の時にも、各家庭で豆腐は作られ、人々の命をつないでいったそうです。
今から10年以上前に、繁多川公民館が地域の人の協力のもと、聞き取り調査をしたことで、本土復帰前までの豆腐の材料は、「青ヒグ(オーヒグー)」という在来の大豆だということがわかりました。
小粒で黄緑色のオーヒグー
しかし、わかった頃にはすでに、オーヒグーは繁多川から姿を消していました。それでも繁多川公民館はあきらめません。復活させるべく、沖縄県農業試験場から5粒のオーヒグーを譲り受けました。一度は失敗してしまうなど、試行錯誤の末に、地域の皆さんと協力して栽培に成功したのです!
と、自治会長の新田さんが、繁多川豆腐の復活ストーリーを語ってくれました。
オーヒグーを復活させて、昔ながらの繁多川豆腐を復活させよう!というプロジェクトは「あたいぐわープロジェクト」と命名され、今日まで続いているのです。
12月は全部、豆腐の日
自治会長さん「豆腐の日は10月2日。だけど1年に1度じゃ少ないから、繁多川では12月は全部豆腐の日なんだ!」
豆腐の月
ということで、毎年12月の第1土曜日には、同時開催されている「繁多川公民館祭り」に合わせて、ゆし豆腐をみんなで作って食べているそうです!
公民館祭り
12月2日は、朝9時頃から子供達からお年寄りまで集まって、大賑わいでした。
豆腐作りの前にはかかせないという、「島豆腐行進曲」をみんなで踊って、いよいよ、レッツクッキングです!
《ステップ1》大豆を一晩水につけておく
すでに一晩水に漬けておかれた大豆を、ボールに移します。
オーヒグーは味が独特なので、オーヒグー2割、普通の大豆8割がベストな分量だそうです。
おさらいですが、オーヒグーは黄緑色の小さい方です。
《ステップ2》臼でひく
こちらの臼は、戦後の家庭での豆腐作りで実際に使われていたもの。昔の味が復活するならばと、参加者の方のご家庭に眠っていた臼を寄贈されたそうです。
慣れた手つきで、大豆と水を入れ、臼を引いていきます。
臼アップ
ダーっと、白い汁が臼の隙間から出てきます。
私も、臼ひきに挑戦!
あらら、結構重い! 片手だと顔が歪むので、両手でぐるぐる回します。
子供達も挑戦しています。左から、大豆を入れる役、臼を引く役、水を足す役、と役割分担して、効率もバッチグー!
《ステップ3》絞る
水でさらした布に、
ステップ2でできた白い液体を、
入れて、
ギュ〜っと絞ります。
絞って絞って、絞りまくって、布の中に残るのは
「おから」です。
これをクッキーにしたりすると、ヘルシーで美味しいです。
おからを取り除いた液体は、「豆乳」です。
《ステップ4》鍋で煮込む
ステップ3で作った豆乳を、大きな鍋でひたすらに、グツグツグツグツ。
塩・水・にがりを混ぜた液体を入れます。
グツグツ、沸騰してきました。むわ〜っと立ち上がる湯気は、大豆のいい香りです。
鍋のふちの、右下に薄黄色い部分がありますが、 こちらがもっと大きくなってきたら、完成とのこと。グツグツ。
《ステップ5》器によそって、出来上がり
2時間近く煮込んで、ついに!
黄色い部分が大きくなって、完成しました!
ちなみに、これをもっともっとグツグツして、ぎゅっと型にはめたら「島豆腐」になります。
あとは、器によそって、青ネギを散らして、食べるのみ。
食べてびっくり。なんて濃厚なお味なのでしょうか。大豆の甘みが口いっぱいに広がります。
ゆし豆腐ってこんなに味があるんだ。
と、今までのゆし豆腐への概念がひっくり返った気持ちです。
参加者の中には、小さい頃に家庭で豆腐作りをしていたというお年寄りもいらっしゃいました。
臼ひきにみんなが挑戦している時には、「私は小さい頃に散々やったから、もうやりたくないよ」と言いながらも、「もっとこうしたほうがいいよ」と楽しそうに指導している姿も。
世代を超えて、今まさに受け継がれている「繁多川豆腐」。
あの濃厚なゆし豆腐には、たくさんのストーリーが隠し味になっていたのかもしれません。