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本気で沖縄の縄文土器クッキーを作ってみた
バレンタインデー企画?!
ダンナの働く博物館で、バレンタインデー企画に土器クッキー作りの企画があると聞いて、面白そうなのでまだ参加枠が開いているか聞いてみた時のことです。
ダンナが「あんなもん、漢(「ヒャッハー!」と叫ぶ人)には関係ねえ」と意味不明なことを言い出しました。…どうやら仲間に入れてもらえなかったよう。
ちょっと可哀相なので、自宅で土器クッキー作りに挑戦することにしました。
「土器クッキー」とは要するに土器に似せたクッキーのことで、クックパッドやネットで調べると、案外簡単に「土器クッキー」の作り方が載っています。
しかし、そこはDEEokinawaなんでやはり沖縄で出土した土器を元に土器クッキーを作ってみよう、というのが本日の企画です。
まず土器を見る
いざ土器クッキーを作る段になって気づいたのですが、そもそも土器って何なのかがよくわからない。中学校で習ったはずだけど…。
調べてみると沖縄の歴史では、日本史で習ったような縄文時代と弥生時代という分け方はありません。沖縄では、縄文相当期とか、貝塚時代とか、ちょっと特殊な時代の分け方を使っているそうです。弥生時代がないというのも、あらためて聞くと衝撃です。
そして土器というのは、その名の通り土を焼いて作った器です。沖縄では、8000年ぐらい昔から作られていたそうです。土器は鉄を使うようになるまでの数千年の間、水を入れる容器やナベに使われました。縄文土器は、田んぼでお米を作る時代以前の日本で作られていた土器の総称で、大らかで優しい形や情熱的な模様に、たくさんの土器ファンがいるのだとか。
それでは土器の観察です。土器って時代や土地で特徴があって、発掘する人はその特徴を見て「○○式土器だ」とか「縄文時代だ」とか判断するのだとか。土器クッキーをそれっぽく作るには、その特徴を強調した方がいいみたいです。
ダンナの仕事場では、毎年土器作りの講座をやっていて、プロ(いるんだ!)がレプリカを作っています。でも、すべて完全に焼き上がるわけじゃなく、失敗したものもあるそうで、それを触らせてもらいました。土器の表面はつるつるしています。土器作りの時は貝や木の皮で表面をなでて滑らかにするのだそうです。
沖縄諸島から出土している縄文土器には、県外から沖縄に渡ったと考えられている市来(いちき)式や、沖縄独自の荻堂(おぎどう)式などの様式があるそうです。「縄文」というからには、縄で模様を描いてそうですが、これらの土器の模様付けには竹や貝がらが使われているのだそう。
方向性が見えてきた
土器を見ることで、なんとなく方向性が見えてきました。さっそく道具集めから。
上の写真はダンナが手作りした、ステンレスのボウルを金切バサミで切断したクッキー型です。冒頭の土器クッキーのように小さい破片ではなく、土器の丸みが分かるくらい大きな破片を目指したいというダンナが自ら作りました。容器の丸みをそのまま土器の丸みにしようという企みです。
土器に模様を描く二種類の竹。沖縄に何種類か生えている竹の中でも、縄文時代の沖縄に生えていたリュウキュウチクと、太い竹はホウライチク。ちなみにダンナ曰く、ホウライチクは縄文時代の沖縄にはなかったらしいです。
さっきちょろっと出てきた「市来式土器」の模様は太くて、沖縄の竹では模様付けができなかったことからも、この土器が海を渡ってきたと考えられるんだそうです。
そして、模様つけに貝がらも用意。沖縄の砂浜でよくとれる二枚貝です。端がギザギザになっているので、面白い模様が付くとダンナが言っていました。
こちらはクッキーの材料。材料は通常のクッキーと同じですが、膨らし粉は使わないので、ちょっと硬めのクッキーになりそうです。土器の滑らかな表面を表現できるよう、砂糖はグラニュー糖ではなく、粉糖を使います。
器の色を表現するため、着色料やすりごま、ココアを準備してみました。火ですすけた雰囲気を出すには、食用の竹炭などがあればよかったのですが、スーパーで手に入りませんでした。
また、本物の土器は土だけで作るんじゃなく、かなりの量の砂を入れるそうです。「混和剤」と呼ぶんですが、これはクラッシュアーモンドやクルミで代用することにしました。
それでは土器クッキー作りをはじめましょう。
土器(クッキー)作り開始!
いよいよ土器クッキーの制作なのですが、一旦土器のレプリカを見てください。
土器は厚みが1㎝ぐらいありますが、よく見ると3層に分かれています。これは、表面はよく焼けても土器の奥まで熱が届かないからだそうで、これをうまく表現できるのだろうか?
まずは3層を表現するために、中の層と外の層の2色の生地を作ります。中の層の生地は黒くするためすりごまを入れ、混和材としてアーモンドも混ぜました。この生地を表面が滑らかになるよう、一晩寝かせて、冷蔵庫で固くします。
一晩寝かせた生地を3段に乗せて伸ばします。それをステンレスの型に乗せ、土器の破片の形を形成。表面にヒビができるので、表面の生地を足してヒビを埋めました。
続いて模様を入れます。生地の温度が上がると軟らかくなり模様が入れづらくなるので、冷蔵庫の出し入れを繰り返しました。
四角い形が特長的な市来式土器のように、直角の破片を焼くときは、型の端を折り曲げ、生地が垂れないように工夫して何とかうまくいきました。
模様付けが終わったら、いよいよオーブンで焼いていきます。まずは150度で20分。その後は厚さに合わせて再度熱を加えます。カーブが直角になっている市来式土器の焼き始めは、生地が垂れないようにステンレスの型で無理やり食い止めました。
さて、出来上がった土器クッキーをご覧頂こうと思います。
どうですか?見た感じ、かなり土器に近いんじゃないでしょうか。
土器の断面の三層も再現できました。
美味しく学べる!
というわけで、土器クッキーはいかがだったでしょうか? 夫は「奴らにごめんなさいと言わせる!」とまた意味不明なことを言って、クッキーを持って出勤していきました。おやつ作りの楽しみのひとつとして、こんな博物館の使い方もアリかもしれません。そして私の食べもの投稿恒例、やんばるたろうさんの試食とコメントです。よろしくお願いします!
はじめ「土器クッキーを食べてくれ」と連絡があったときは経緯が全然わからなかったのでマジモンの土器を食べさせられるとかとヒヤヒヤしてましたが、クッキーで安心しました。見た目は完璧に土器で笑いましたが、味は普通においしいクッキーでした。これは売れる気がする…!
息子にも食べさせてみましたが若干ハードなクッキーだったため、「かたい。」と一言告げられ、返されました。
ちなみに今回の記事の発端となった沖縄市郷土博物館の「ハートキャッチ! 土器クッキーづくり」ですが、本日まで予約を受け付けているそうです(直接博物館に行かないと予約できないけど)。興味のある方はこちらをご参照ください。