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実践(実戦)派の歴史勉強会では豚肉を石器で捌く
こんにちは、AYAです。今回はダンナに誘われて沖縄市某所で開催された「歴史の勉強会」なるものに参加してきました。全く勉強会の内容は教えてくれませんでしたが、歴女とか、あこがれますよね。
ひとつ心配なのが、前日に旦那が夜更かししてたこと。遠足前は寝ない子だったんだろうな。
なぜか出てくる豚の足
会場に到着したら、ビニールクロスの色で分けられたテーブルが4つ。そして刃物類。明らかに何かをやる気です。悪い予感がします。まあとにかく、テーブルを回ってみました。
- 山賊が持ってそうなナタ
- 黒曜石。どこかで聞いたな・・・・
サメ?竹?何これ?
そのうちに人が集まってきました。親子連れもいますが、勉強会の雰囲気ではありません。何か変。
もしかして歴女ってワタシだけ? 明らかに客層が違う・・・
ダンナがいそいそと肉塊を取り出してきました。何よこれ? だまされた?
豚の足だって
遺跡で見つかった刃物は実際に使えるのか
そして説明が始まりました。
「テーブルの上の刃物で豚の足を切ってください!」「手は切らないでください」「手袋付けてください」・・・それだけ? 他の人たちも「趣旨はなんなの?」とか聞いてるし、わかってる人いるのかな?
早い者勝ちでテーブルにとりつくと、解体開始です。テーブルの上に置いてるのは全部「刃物」! 石や竹もここでは刃物なんだそうです。
うん、なんか見えてきました。テーブルの上にある刃物は、すべて沖縄県内の貝塚とかグスクとかで見つかったり、使われたと思われるもので、これが本当に役に立つのか、豚を解体して証明しようって趣旨みたいです。
こっからどうしようか思案中
いろんなもので豚肉を解体していく
解体って言われても・・・どうしよう? すると、背の高いお兄さんが、たくみに解体を始めながら解説を始めました。この人は「怪人さん」。沖縄屈指のブロガーで、骨格標本やプラスティックの標本?づくりの専門家だそうです。ワニだって解体しちゃうとか・・・・。
わかりやすく解説してくれるので、するすると頭に入っていきます。でも実際やろうとすると難しい。
こちらは竹べら。はじめの一瞬だけは切れたけどあとはダメ。
ダンナの知り合いは自分の赤ちゃんが生まれた時、竹べらでへその緒を切ろうとして産婦人科に竹べらを持っていったそうです。でも結局は帝王切開でへその緒は切れなかったとか。産婦人科を出入り禁止になりますよ?
石器もよく見ると5種類ぐらいあります。あとでワークシートに記入って言われましたが、いろんな石ってぐらいしかわからない・・・。
- この親子はダンナの仕事場の常連さん。将来が楽しみです
- これは石器のナイフで、全然切れませんでした。「磨製だめだ! せっかく作ったのに!」とダンナが叫んでます
上の写真は黒曜石の石器。ケーキ入刀のような厳粛な雰囲気で、みんなが見守る中、刃が入っていきました。拍手してます。黒曜石は沖縄では採れないけど、貝塚からは見つかるそうです。海を渡ってきたんですね。
手前の方は「ワークルサー(直訳すると"豚を殺す人")」で、本職で豚を解体する人だそうです。子どもたちに教えてあげていました。だんだん歴史から離れてきてる気がします。
みんなで力を合わせて、黒曜石で豚の皮が切れました!豚は皮が一番硬くて切れにくいそうです。皮さえ切れたらあとはイケるって言ってます。体育会系のノリです。
途中で欠ける石器も。これは本土の火山岩で、もともとナイフには使われてないそうです。「やっぱり昔の人はわかってる」って感動してます。私もウルッて来てしまいました。
この子たちは近所の子みたいです。遊びに来た先で豚解体してるのに、なんの迷いもなく混ざっています。
気分は縄文!
1時間ちょっと経つと、いい感じで解体されてきました。初めはどうしていいかわからなかったけど、豚の肉の付き方がなんとなくわかってきた感じです。私の中の縄文が目覚めた感じです。
ここで注目はサメの歯のナイフ。これがよく切れるんです! 怪人さんが手作りしたそうですが、これは売れるかも?
ブッブッと肉の繊維を断ち切る感じで気持ちいいです
ある程度解体したところで「ガンガン!」と大きな音が。見ると、怪人さんがナタで骨を叩いています。聞いてみると、トンコツを取るんだとか。昔の人もトンコツ取ってたという記録があるそうです、割とグルメだったんですね。
かなり大きな音。これも検証らしい。
切れ味が落ちたかとか、刃が欠けたかなど結果をマークシートに記入していきます。鉄は当然として、サメ歯が黒曜石よりも高評価だったのはびっくりしました。
肉の切れた状態もチェック。骨がくっついてたところがギザギザになってると、切れ味が悪いです。
ワリと楽しかった
実は、沖縄の遺跡から掘り出されるもので、今でも使い方がよくわかってないものがあるそうです。貝塚からすりへったサメの歯が見つかるんだけど、ネックレスじゃないかと書かれているらしく、本当はどうだったのか、沖縄では身に着けて実験した人がほとんどいないんです。
だから、石器とサメの歯で作ったナイフを比べて「実際にやってみましたけど、サメの歯はよく切れました!」って言う人がいるのは貴重みたいです。これで誰かが論文でも書けば、これまで書かれていることがひっくり返るかもしれません。なるほど、一応私も歴史的な瞬間に立ち会ったのね。でも、論文を書きそうな人がいなかったのが、今になって気になってますけど・・・・。
というわけで、ちょっと変わった歴史研究会へ潜入してみました。偶然来ただけの一見さんにも好評だったので、ワークショップにしたらと聞いてみたところ、「何かあったらどうするかでもめるのがオチなので身内の勉強会でやってる」そうです。
この結果は、ダンナの仕事場で予定してる企画で発表するとか。沖縄の偉人が1人も出て来ず、豚を解体するだけでも、歴史の勉強会になるんですね。思ってた歴史の勉強会とは違うけど、これはこれで楽しめました。そして晩御飯は当然ダンナ手作りの豚足の煮物でした。ちゃんちゃん。