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フクギの実は食べられるのか
いよいよあの実を食べる時がやってきた
DEEokinawaではこれまでに、アダン・タコノキ・クルチ・パンノキなどいろいろな実を食して参りました(主にNaokiが)。
・実を食べてみる(クルチ)
・アダンを食べてみる
・街路樹のパンノキの実を食べてみる
そして2017年、夏。そういえばよく見かけるあの実はまだ食べたことがなかったのでは...というわけで今回はこの季節に路傍で異臭を放つあの実に挑戦いたします。
フクギ並木といえば本部町備瀬にあるフクギ並木が全国的にも有名ですが、今回やってきたのは八重瀬町のフクギ並木。沖縄県が指定する《花と緑の名所100選》にも選ばれています。
現在は国道331号線沿いに71本、最も樹高の高いものは13m、幹周りは最も太いもので2.5mになる。個人の防風林だった並木を、道路整備のため国の所有となったが、並木を守りたいという地域住民の思いと美観を尊重した国の考えが一致し、現在も八重瀬町役場から北東へ約120mものフクギ並木が続いている。
(沖縄県 環境部環境再生課「おきなわ緑と花の広場」ウェブサイトより)
アスファルト道路の部分はきれいに掃除されていましたが、植え込みをのぞいてみると・・・あるある。
こちらがフクギの実です。写真ではお伝えできないのが悔しいですが、これがまあ、すごい異臭を放っているのです。
本土では道に落ちている臭い実といえばやはり銀杏だと思いますが、イチョウの木が無い沖縄ではこのフクギの実が臭い実の代表。フクギは防風林としてあちこちに植えられており那覇市内などでもよく見かけますが、この季節になると熟れた実が道路にぼとぼと落ちて「どこかでガス漏れか!?」と勘違いしてしまうほどの異臭を放ちだすのです。
熟れ始めの黄色い実からは謎のワックス成分が滲出。指にとって舐めてみましたがこれは無味無臭でした。
このぐらいのオレンジ色になればおそらく完熟。
下に落ちていた比較的きれいな状態の実。若い実はまんまるですが、熟れると角が丸みを帯びて四角っぽいかたちになり、まるで小振りの柿のよう。触ってみるとぶよぶよとした感触。なんかベタベタしたものが手につきます。
インターネットでいろいろ検索してみておそらくフクギの実に毒は無いだろうと自己判断。完熟して植え込みに落ちているものから、状態の良さそうなものを選んで数個いただいて帰ることに。
フクギの実はコウモリの大好物なので、けっこうかじられた後のものも多くありました。
返りの車中でも足下に置いたビニール袋から漏れ出すにおい。くっせえ。
ガスっぽい臭いなのでもしかしたらいい気分になれるのか?とビニール袋をスーハーしてみましたが、ただただ臭いだけで特にやばいことにはなりませんでした。でも、良い子は真似しないでね。
フクギの実でジャム作り
室内に置いておけないぐらい臭いので保管はベランダで。
それではいざ、フクギの実の調理開始。かぶれるとイヤだったので最初はビニール手袋をしていましたが、途中から作業がしにくいので外しました。数時間後も特に皮膚に異常は無かったので、かぶれる成分は無いのかもしれません。ここは個人差がありそうなので自己責任で。
包丁でふたつに割ってみると、でっかい種が顔を出しました。だいたい1つの実に3〜4個は入っていたでしょうか。種のかんじも柿っぽいです。「柿の種」ならぬ「フクギの種」というお菓子を開発すれば売れるのではないかと思います。
種とワタをとって皮を削ぐと残る実はこのぐらい。少なっ。
完熟した実を生のままちょいと味見。
お?
案外・・・美味しいかもしれない・・・。身が崩れそうなほどに完熟した実はエグみも無く、ブランデーのようなとろっとした甘さを感じました。ちなみにこの頃には鼻が臭いに慣れて、特にクサイと感じなくなっています。
5個分程度のフクギの実を剥いて小鍋に入れ、重量の3割〜半分程度の砂糖を加えます。
ごく弱火でぐつぐつ煮込むこと10分ほど。
全体的にとろっとしてきたら、最後にシークヮーサー果汁を加えましょう。
フクギの実のジャムの完成です。
パンにのっけて食べてみよう
ジャムを楽しむにはやっぱりトーストでしょう。
というわけで、こんがり焼いたトーストにフクギジャムをのせます。
ちんまり
全面にフクギジャムを塗りたくれなかったのは万が一のときを考えて。だってほら、トースト一枚丸ごと無駄にしたら勿体無いじゃないですか。
(おそるおそる)いっただっきまー・・・
すっ。
ん?
まずくは無い。まずくは無いが、美味しいというわけでもない。見た目と食感は柿ジャムなんだけど、香りと風味にフクギの青臭さがしぶとく残っていて脳が拒否してしまう感じ。
味はちょっとカニステルに似ている気もします。
miooonにも試食してもらったところ「あー。。なんかドリアンっぽい?・・でも食べたらあかん感じの味。」と的確なコメントをくれました。ちなみに12時間以上たっても腹痛や下痢などの症状は無いのでフクギの実は食べてセーフだったようです。
しかし製品化の可能性も捨てきれない味わい。資源はまさに掃いて捨てるほどあるので、アク抜きなどをしてプロの方にうまいこと調理してもらえば活用できたりするのではないでしょうか。
フクギの実のポテンシャルを引き出せる、我こそは!という方がいたら是非ともチャレンジしてみてほしいです。
我が家の冷蔵庫に眠らせたフクギジャムは、果たしてまた蓋を開ける日が来るのでしょうか(遠い目)。神のみぞ知る。