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リアルすぎる病害虫模型
数年前に空港でイモゾウムシと書かれた模型を見ました。
直径20cmぐらいと大きくて、しかもめちゃくちゃリアルで、思わず鳥肌が立ちました。
そのとき思わず投稿したインスタグラム
このリアルな虫の模型を作っている方に会えることになりました。
その方は『ひつじ工芸舎』という病害虫を作ったとは思えないぐらいかわいらしい名前の工房をされています。
いったいなぜ病害虫模型を作ることになったのか、またその製作過程について伺って来ました。
病害虫とは?
こちらが病害虫模型を作製されているひつじ工芸舎の永尾陽祐さん。
永尾さんが手にしているのが病害虫模型です。
病害虫模型です
病害虫とはサツマイモなどの植物に被害を与える虫で、病害虫の蔓延を防止するために一部の植物は病害虫未発生地域への持ち出しが規制されています。
このあたりは植物防疫所の冊子に広がるワンダーランドという記事を読んだらもっと詳しくわかるかもしれません。
永尾さんにリアルすぎる病害虫模型のヒミツを伺った
-さっそくですが、ひつじ工芸舎ってすごくかわいい名前なのに、そこで病害虫模型を作っているというギャップに驚きました
ひつじ工芸舎
模型は注文があるときだけ製作して、普段は家具や小物なんかを作っているんですよ。
かわいい木製のお皿や小物
-では、どのような経緯で病害虫模型を作ることになったのですか?
那覇の植物防疫事務所の知り合いに頼まれたのが最初です。
病害虫の蔓延防止のために空港でパンフレットを配ったり、ポスターを貼ったりはしているけれど、なかなか認識が高まらないと。
模型を置くことで興味を持ってもらえるかもしれないので、「作れないですか?」と相談を受けたんです。
最初はアリモドキゾウムシを作って評判が良かったので、他の種類も作ることになったんです。
病害虫模型を作る永尾さん
-私は那覇空港で模型を見たんですが、他にはどこに置いてあるんですか?
県内は那覇空港、宮古空港、石垣空港にあります。
那覇空港では3Fのチェックインカウンターの近くに2体、そしてチェックイン後にしか見られませんが搭乗エリアに植物検疫ブースもあります。
チェックインカウンター近くにある展示
アリモドキゾウムシの拡大模型
搭乗エリアの植物検疫ブース
県外は鹿児島空港と、去年に小笠原諸島の空港に納品しました。
病害虫は小笠原諸島にもいるらしいので。
病害虫の生息範囲
-病害虫模型は木でできているんですか?
いや、模型は石粉粘土なんですよ。よく間違えられるんですが。
このブツブツの部分はキラキラのモールを巻いてます。羽の部分はラミネートですね。タワシの毛を切って植えたり、家で飼っている犬の毛やヒゲなんかも使います。イモゾウムシは1本ずつ毛を植えたんです。
お店で買い物するときも「あ、これは使えるな」とか思ってつけまつげを買ってみたり。
なにをどんな風に使えば本物っぽく見えるのか、試行錯誤をして試しました。
触覚のぶつぶつはモール
羽はラミネート
足には犬の毛、顔にはつけまつげを植えているそう
イモゾウムシは1本ずつ毛を植えた
-納品したときはあまりのリアルさに驚かれたんじゃないですか?
いや、植物防疫事務所の人はプロなので「胴体がちょっと太いな」とか言われます。
そんなん誰もわからへんやろうと思うんですが、そう言われたら燃えますよね。
でも最初に作ったやつなんかは今見たら、あ、ここもっとこうすればいいのになと自分で思いますよ。
-(模型をひっくり返して見て)うわぁ。これ、裏側まで忠実に作られているんですね!
僕も病害虫の裏側がどうなっているのかをじっくり見て、模型を作る日が来るなんて思ってなかったです。
裏側
-こんなにリアルにできるのは、もともと虫が好きなんですか?
いや、実は虫は嫌いなんです。
しかも虫の中でも病害虫ですし(笑)
製作するには細部がどうなっているのかも見たいので、参考資料をもらったり、ネットで画像検索をして見たりするんです。
注文する側の人は育てて研究をしてるから、こういう部分を見たいとお願いしたら顔のアップの写真や、いろんな角度の写真が山ほど送ってきてくれるんですが、もらうたびに「…うわー」と思いますよね。
完成が近づくにつれ、気持ち悪〜くなって嫌になってくるんです。だんだん慣れてきてはいるんですが。
送られて来る詳細すぎる資料
本当は虫嫌いなのにリアルを追求する永尾さん
-病害虫模型を作れる人は他にいるんですか?
うーん、どうでしょうか。でも僕も本当はかわいらしいものを作りたいんですよ!(笑)
イモのキャラクター模型も作ったんですよ。これはかわいいですよね。
朝からハエの顔のアップを見るのはねぇ..(笑)
-今まで何体ぐらい病害虫模型を作ったんですか?
3〜4年で30体ぐらいです。
今までつくった模型
今までつくった模型
空港で時間があるときは模型の前を通る人の反応を見て楽しんでいます。
「気持ち悪い!」「怖い!」と言われたら嬉しいですね。
-嫌と言いつつ、癖になってきてますよね(笑)
以前から工芸や模型を作る仕事をされていたんですか?
前職はマネキンに色を塗ったりメイクをする仕事でした。
なので形を作ったりするのはまったく独学で試行錯誤なんです。昔から図工は得意な方ではあったんですが。
塗るのが専門だったので、そこは生かされているのかなと思います。
-病害虫模型を売ってくださいっていう依頼はあるんですか?
ありますよ。実際いま個人的な注文でチチュウカイミバエというのを作っています。
日本にいない虫で羽の模様がかっこいいらしいです。こんなマニアックな虫を画像検索しないといけないなんてね。
「背中の模様もドクロみたいでかっこいいんだ!」と力説されるんですが、返答に困りますよ(笑)
注文してくれたリアルムシキングの彼と僕との間には大きな壁が確実にあります(笑)
でも喜んでもらえるように頑張ります。
手に入れろ、病害虫模型!
以上、病害虫模型を作っているひつじ工芸舎の永尾さんのインタビューでした。
病害虫模型とお土産に作製いただいたDEEokinawaロゴプレート
途中で「虫は嫌い」とか「本当はかわいいのが作りたい」とおっしゃっていましたが、いやいやこんなに怖い模型を作れるのにもったいない。
細部までこだわる物作りの姿勢は尊敬です。害虫模型を個人的に欲しくなって来た方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなあなたに朗報です!
永尾さんが作る病害虫模型をDEE商店で取り扱わせていただくことになりました。
完全受注生産生なので送付までにお時間はいただきますが、イモゾウムシでもアリモドキゾウムシでもアフリカマイマイでも好きなものをご依頼ください。
模型の大きさは20cmから30cm。アクリルの箱に入れて飾れる状態での発送になります。
個性派のあなたの家やオフィスのインテリアにぴったり。
病害虫模型を前にしたら、初対面との人との話も盛り上がるでしょう。
そんな模型が、今なら税込108000円です!
ぜひ興味のある方はお買い求めくださいませ。
ひつじ工芸舎
http://studiosheep.ti-da.net/
ひつじ工芸舎さんは2017年1月28日(土)、29日(日)の「木造住宅・県産木製品フェア」@プラザハウスにも出店予定です。