イラブーの卵はほのかにチーズの味がした

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沖縄ではイラブーを汁物にして食べるが、その卵が食べられるイベントがあるらしい。イラブーの卵を食べに南城市に行ってきた

イラブーの卵が食べられるイベントがあるらしい

観光雑誌なんかによく載せられている沖縄のイメージカットとして、公設市場周辺のお店、そしてお店に吊された黒い棒のようなもの、というのがあります。


燻製になったもの(左)、生のやつ(右)

「この黒い棒のようなもの」はイラブー(和名:エラブウミヘビ)の燻製で、沖縄ではこのイラブーの燻製を使って「イラブー汁」にして食してきました(と、言うわりに値段も結構するので食べたことが無い人の方が多い気がする)。

僕は来沖18年にして2回くらいイラブー汁を飲んだ事があるんですが、「カツオ出汁の味しかしなかった」という思い出しかなくて「生イラブーでイラブーの味を確かめる」という記事で生イラブーを使ってイラブー汁を作ったりもしました。割とイラブーを食べている方じゃないかと思うんです。

で、そんな中「イラブーの卵が食べられるイベントがあるらしい」という話を小耳にはさんだのです。うむむ。ウミヘビの卵ってそもそも食べられるのか…全然味に想像がつきません。というわけで、味を確かめにいってきました。

 

久高島のイラブ―(海蛇)展 ~海を旅するいのちの力~

というわけでやってきたのは南城市にある「がんじゅう駅・南城」ここでおこなわれている「久高島のイラブ―(海蛇)展 ~海を旅するいのちの力~」にてイラブーの卵が食べられるというのです。

そして、冒頭からお詫びで恐縮なんですが展示は11月6日(日)まで。この記事が出ている段階ですでに終了しています。期待に胸を膨らませた読者の皆様すみません。

まずは久高島のイラブ―(海蛇)展のご紹介をしたいと思います。


展示は撮影禁止だったんですが、取材ということで特別に写真を撮らせて頂きました。

久高島と言えば琉球を創世したアマミキヨが国づくりをはじめた場所であり、五穀の発祥の地という伝説もある「神の島」。世界遺産にもなった斎場御嶽も久高島を遙拝するためのものです。久高島のイラブーは祭祀を司る外間ノロ、久高ノロ、久高根人(ニンチュ)という久高島で最高位の神役にのみ捕ることを許されていたのだそうです。

イラブー漁のパネル
燻製のパネル

イラブーの漁獲高が一番多いのは久高ノロが与えられたイラブーガマという洞くつなのだそうですが、現在は久高ノロが不在。字久高がイラブーを捕っているそうです。イラブー漁は夜中に産卵のために洞くつにやってきたイラブーを手づかみで袋に入れるというすごく原始的な方法で行われているのだそうで、展示されたパネルではそのイラブー漁の様子などを見ることができます。

捕まえたイラブーは集落にあるバイカンヤーという燻製小屋で燻製にされるのですが、燻製の方法はすべて口伝。燻製をつくるためには熟練の知識が必要なのだそうです。イラブー漁も燻製も琉球王朝時代からの技法がずっと継承されているのだそうでそれはすごいことですよね。

他にも生きたイラブーの展示だったり

ちょっとしたイラブーのクイズがあったり、久高島在住の画家の方の絵や聞き書き資料があったりとかなり濃い内容。入場料が300円だったんですが全然元が取れる内容でした。これ、どこかで常設の展示にしたらいいと思うんです。

 

イラブー汁と卵は限定30食

展示の内容もすごく良かったんで、うっかり本題を忘れてしまいそうになりましたがイラブーの卵です。

10月29日から11月6日までの展示会のなかで11月3日から11月5日の3日間のみ限定30食でイラブー汁とイラブーの燻製卵が販売されます。お値段がイラブーの燻製卵のみが800円、イラブー汁と合わせると2000円という割と高い価格設定なのでちょっと躊躇しましたが…


朝、開展時間に行ったので番号は2番。

「必要経費…必要経費。必要経費。」と心の中で三回唱えてイラブー汁と卵のセットを購入。

展示の横の久高島食堂へ
調理室みたいなところでチケットを渡す

展示の隣の調理室で食券を渡して、待つことしばし。さて、みなさまお待たせいたしました。

こちらがイラブーの卵(燻製)です。

輪切りになってますが、表面は燻製で褐色に。中身は白い身がぎっしり入っています。ちょっと浮いて見えるのは卵の殻で、これを剥いて食べるのだそう。イラブーの卵はかつては貴重なタンパク源で病気や産後に食されたらしいですが、誰もが食べられるものではなかったそうです。この卵は1日燻製したものだそうですが、燻製にせずに茹でて食べることもあったそうです。

卵の殻を剥いていただきます。


途中で合流したmiooonです。

さて、気になる味ですが口の中に広がる燻製の味がちょっと引くと若干クリーミーな後味。チーズほど味は濃くない気がしますが、なんとなくチーズみたいな味わいです。似たような味を頭の中で検索して思い至ったのはカラスミなんかの魚卵的な味。添えられた久高島の塩をつけて食べるのですがゲテモノ的な感じじゃなく、上品な味わいでした。

そしてセットのイラブー汁。ここにはいっているイラブーの燻製がめちゃめちゃ柔らかいのです。今まで食べたイラブー汁のイラブーはなんだかパサパサしてたという記憶があるんですが、ほどよい弾力を残しつつ骨まで食べられるくらいまで柔らかくなっています。うまいイラブー汁をはじめて食べたかもしれません。


料理が乗ってた紙にイラブー汁の作り方が

というわけで本日はイラブーの卵を食べてきたという話でしたが、いかがだったでしょうか。残念ながら展示はおわっちゃったのですが、11月25日から27日に沖縄セルラーパークで開催される「離島フェア」では久高島はイラブー汁を出すそうで(ひょっとしたら卵もでるかも)イラブー汁だけでも飲んでみたいという方はぜひ足を運んでみて下さい。

ちょうど料理を食べている時に後ろの方の席で

「ウチの兄弟は年に2回くらいイラブー汁を飲んでいて全員戦争から無事帰って来た」とか「イラブー汁を飲んでいたら絶対風邪引かない」とかいう会話が聞こえてきてきっと効果も絶大だと思います。

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