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【建物探訪】那覇市民会館
那覇市民会館が存続の危機にある
那覇市寄宮、与儀公園に隣接している那覇市民会館。
裏には沖縄県立図書館と那覇市立中央図書館があり、那覇市の文化的な施設が集まる一画となっています。
那覇市民会館は1970年11月18日に開館した多目的ホールで、大きく張り出した赤茶色の庇(ひさし)が印象的。
沖縄を代表する建築家、金城信吉の代表的な建築物です。
那覇市民会館(なはしみんかいかん、英語:Naha Civic hall)は、沖縄県那覇市寄宮にある多目的ホールである。アメリカ統治下の1970年に完成した。収容人数は1,668人(大ホール)で、中ホールもある。
1972年5月15日の沖縄返還の際に、当時の佐藤栄作首相が参加して返還式典(日本武道館との同時開催)の会場となった。以前は那覇市の成人式も行われていた。
2006年には、DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築に選ばれている。
(Wikipediaより)
Wikipediaにもあるとおり、与那原町にある聖クララ教会(与那原カトリック教会)と並んで、DOCOMOMO JAPANのモダン・ムーブメントの建築に選ばれており、歴史的にも建造物としても価値が高いとされています。
その市民会館が今、存続の危機にあるというのです。
那覇市民会館の休館について(お知らせ)|那覇市ウェブサイト
那覇市が行った耐震診断の結果、国の基準を満たしておらず大地震などの際に倒壊の恐れがあることから、安全確保のため今月13日から休館、立ち入り禁止となっているのです。
各入り口には黄色いロープが張り巡らされ入ることは叶いません。
那覇市民ならば、成人式だったり学校行事などでいちどは足を踏み入れたことがあるのではないでしょうか。
私も数年前にイベントのお手伝いで中に入ったことがあるのですが、そのときはあまり建物のことを気にしておらず詳しく見ていなかったことが今となっては悔やまれます。
掲示板にも閉館のお知らせ。イベントのポスターは他施設のもの。
現在すでに「無期限休館」の状態で、年内にも耐震補強をした場合の予算などについて話し合われるそうですが、結果次第ではそのまま取り壊しとなってしまうとのこと。
安全上仕方ないとはいえ、那覇バスターミナル然り、農連市場然り、那覇タワー然り、沖縄の昔ながらの魅力ある独特の風景がどんどん失われていく寂しさとやるせなさ。どうか、耐震補強を実施し建物をそのまま残す方向で検討されるよう願ってやみません。
じっくり外観を堪能してみよう
立ち入り禁止とはいえ、まだ工事用の幕で覆われているわけではないので外側から建物を見ることは可能。
いつか建物の中に入れることを願いつつ、この機会に那覇市民会館の外観をじっくり堪能したいと思います。
象徴的な正面の大階段。
中ホールのある2階へ直接アクセスすることができます。
大階段の下は大ホールのある1階の入口になっています。
赤土(?)でできたひんぷんのようなものが見えます。
反対側にはチケット売り場のような小窓がふたつ。
西側駐車場の壁。一部抜け落ちていますが、薄いレンガで鳥の絵が形作られているのが分かります。
建物の周囲は、城壁を思い起こさせる琉球石灰岩の壁で覆われています。一部、不自然に色が白っぽいところがあるのですが、グラデーションのようになっているので新しく組み直されたわけでもなさそうです。いったい何故なのでしょうか。
境目はこんなかんじ。不思議。
東側駐車場から
リズミカルに配置された小窓、屋根の曲線、手前の対になったビロウジュがなんともいえない美しいバランスです。
西側(与儀公園側)に回ってみました。
こちらの出入口もシャッターが閉まっていましたが、左の小さなドアから中に警備員さんが座っているのが見えました。
味わいのある案内表示
ところどころ屋根裏のコンクリートが剥がれ落ち下の金網に落ちているのが確認できました。
もうすぐ建築から半世紀となる建物なので老朽化は否めません。
ガーブ川から市民会館の裏側をのぞむ
というわけで、那覇市民会館の外観をぐるりとまわってみました。
私は建築には詳しくありませんが、回りの景観ともマッチした、味わいのあるいい建物だなあと感じました。
安全性やコストばかりを重視して古いものをどんどん壊してしまいがちな現代ですが、各分野の専門家や市民を交えてじゅうぶんに審議がされることを願ってやみません。いつかまた再開して、建物内部をDEEokinawaで紹介できる日が来ますように!