2016.09.28

富盛十五夜祭りの巨人が現れる「女行列(ヨンシー)」を見てきた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
八重瀬町富盛の十五夜祭りでは巨大な男女の人形を先頭に、女性たちが踊る行列があるらしいのです。巨大な人形ってどんな?ということで見に行ってきました。

毎年、旧暦の8月15日に八重瀬町富盛(ともり)では十五夜祭りが行われます。
十五夜祭りの昼の部では、無形民俗文化財に指定されている3つの行列を見ることができ、そのひとつにヨンシーという巨大な人形を操る行列があるらしいのです。
巨大な人形?ということで見に行ってきました。

ヨンシーが行われたのは旧暦8月15日の週の日曜日。旧暦そのままに行われるのかと思いきや、人が多く参加するためか日曜日に行われるようです。2016年は9月18日(日)でした。

十五夜祭りは昼の部「伝統芸能旗頭道ジュネー」と、夜の部「伝統芸能ニーセー踊り、一般演芸」の二部構成になっており、ヨンシーが行われる昼の部の道ジュネーは15時から17時半まで。
しかし当日の14時は土砂降り。会場となる公民館の前は着々と準備がなされていましたが、わたしは子連れで行っていたため今回は難しいかなーと思っていたのです。ところが、14時半頃から少しづつ雨が止み、15時を迎える頃には雨雲はなくなってしまいました。祭りってこういうことが多いですよね。不思議。

行列が行われる富盛公民館前。
小さな子どもから大人まで忙しく準備をしています。

会場横の夜の部が行われる舞台。雨がやんだばかりなので道には水たまりが。

旗頭は4つ。頭の部分は雨対策でビニールで覆われていました。

プログラム。なんのことかわからない用語がたくさん並んでいます。
ちなみに、富盛の十五夜祭りでは唐人行列、大和人行列、そして女行列(ヨンシー)の3つが八重瀬町指定無形文化財に指定されています。無形文化財が3つも同時に見られるなんて、お得感ありますね。

十五夜祭り昼の部開演

そうこうしているうちに昼の部の開始時間の15時。
まずは村の氏神である御嶽に、村の繁栄と作物の豊穣を祈願し全員でお祈り。

演目その1、旗頭(トゥルー)

この日は風が強く、旗頭を支えるのが大変そうでした。

演目その2、今年カーラー(男子)

区長を先頭に、小学校3年生以下の男子による旗をつかった踊りです。

演目その3、唐人行列(トーンチュジュネーイ)

小学生から一般までの参加で、アーウー、大相公、お共、イス持ち、御涼傘持、パーエー、空手、ガクがいるそうです。
アーウーは金という三角の旗をもった緑色の洋服の人。
町指定無形文化財。

唐人行列という言葉通り、中国のカラフルな衣装が特徴。

椅子に座った大相公(按司)に向かって空手の演武や、音楽でおもてなしをしている感じでした。

起源は不詳であるが17世紀頃から始まったのではないかといわれている。
戦争で一時途絶えていたが昭和49年に復活し、伝統芸能保存会を組織して保存継承に努めている。

演舞はまず「アウゥ」が按司に向かって「アウー・アウー・アウー」と唱えつつ(調子は高くそして低く)、頭を上げてから腰かがみしながら下げる。次に按司がティンチパィエー・シュヂターチャー・ツカイツイユーワンサついユーワンサ・ニワンチャー・チョーシー・ハウリャウと唱える。それから「パーエーの歌」と唐手踊りをする。
パーエーの歌は中国語であろうが、その語意も理解されないまま今日に至っている。

八重瀬町文化財要覧第1集 八重瀬町の文化財

演目その4、大和人行列(ヤマトゥンチュジュネーイ)

小学生から一般までの参加で、ウデフィー、代官、提灯持ち、弓矢、鉄砲、はさん箱、オージメー、三味線、太鼓がいるそう。
さきほどの唐人行列とは一転、和装がしぶい大和人行列。手には刀や鉄砲、ちょうちんなどを持っています。
これも町指定無形文化財。

唐人行列同様に起源は不詳であるが17世紀頃から始まったのではないかといわれている。
1906年の慶長の役以来、薩摩の支配下で島津藩に対する忠誠心を表すために唐人行列に対して大和人行列を演じたのではないかと思われるが、その伝来についてもはっきりしない。

八重瀬町文化財要覧第1集 八重瀬町の文化財

演目その5、大なぎなた

演目その6、棒術

いや、大なぎなたも棒術もかっこいいし、「すごい飛んだ!」とか思ってキャッキャしてたんですが、こちらは2歳児連れ。
上手に膝の上で座っていてくれた2歳児も、ここまでに2時間ほど経過しており、さすがに飽きたらしくモゾモゾモゾモゾ。限界は近い。
待って!もうすぐ本命のヨンシーだから、あと少し!もう少し頑張って!

巨人現る

演目その7、女行列(ヨンシー)

そして、とうとうヨンシーが出てきたのでございます。
ヨンシーは集落の女性全員が参加。タカッチュー、花ムチャー、ウンドゥ、ティヨーで構成されており、なんと今年は100人で演じるとか。

先頭はタッカチューと呼ばれる巨大な男女の人形。
昔は見物客が踊りの行列を妨げないように露払いを立てて先導するためにタカッチューと弥勒の人形を作り、女行列の順路を確保していたが十五夜は雨が多かったため弥勒のせいに違いないとされ、弥勒は廃止となり現在では男女のタッカチューが先導している。(八重瀬町文化財要覧第1集 八重瀬町の文化財より)

「八重瀬町の文化財」にわりと衝撃なことが書いてあったんですが、今年土砂降りから雨があがったのももしかしたら弥勒を廃止したからなんでしょうか。祭りは奥深いです。

タッカチューの中身がどうなっているのかはわかりませんが、強風で頭が持っていかれそうで怖いです。

タッカチューの後ろは花ムチャーの子供達。

太鼓のおばさまたち

四ツ竹のおばさまたち

総勢100名で、音楽に合わせ行列は続きます。

息子も怖がることなく興味深くヨンシーを見ていました。

怖がるどころがうっかり飛び出して怒られたり。すみません!

みんなでカチャーシー

最後は出演者、観客、ヨンシーも含めた全員でカチャーシーを踊って昼の部はおしまい。
このとき17時半。19時からは夜の部が始まるということでした。

夜の部はプログラムによると、大人だけでなく、小・中学生が伝統芸能を踊ったり、幼稚園児がフラダンスをしたり。
こういうところで育った子は度胸もつくし、一芸も身につくしいいですね。今回は昼の部だけでしたが、いつか機会があれば夜の部も見に行ってみたいと思います。

関連する記事

フォローしたらいいことあるかもよ

DEEokinawaの新着記事や裏話、面白写真などが毎日届くかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright©DEEokinawa All Rights Reserved.
このウェブサイトに掲載のイラスト・写真・文章の無断転載を禁じます。すべての著作権はDEEokinawaに帰属します。

ページのトップへ