ヤマモモの塩漬けはどんな味なのか

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「沖縄で食事の際に食べる漬けものはヤマモモの塩漬けが唯一ではないか」と書かれた本を見つけたのだが、ヤマモモの塩漬けはどんな味がするのだろうか。作って検証してみた。

ヤマモモの塩漬けは沖縄で唯一の漬け物?

さて、本日はヤマモモの話です。


沖縄ではヤマムム、イシムムやミジュムム、あるいはモモと呼ぶようです

ヤマモモは日本では関東以南の低地や山地に自生する植物だそうで沖縄だけのものではないのですが、その昔沖縄市の越来、山内、諸見里あたりは「モモ山」と呼ばれてヤマモモの産地として有名だったのだといいます。

ヤマモモの実が実る頃には、宜野湾あたりかヤマモモを仕入れて那覇あたりまで売りに来るモモ売り娘が沖縄の夏前の風物詩であったとのことです。


著者は首里生まれの新聞記者、評論家、エッセイストの古波蔵保好さん

という話が『料理沖縄物語』という本に書かれているのですが、その話の中でものすごく気になる記述を見つけました。

つけ加えると、家々では楊梅の出盛る季節にたくさん買って塩漬けにしたことを思い出す。塩漬けにするとナガモチしたが、食事の時に漬けものを食べる習慣がなかった沖縄で、楊梅の塩漬けは唯一のものではなかっただろうか。

塩気と果肉の風味が、ご飯をおいしくするので、弁当にも使われた。可憐な赤い小粒が食膳の色どりになったのである。

「夏近しモモ売り娘」『料理沖縄物語』古波蔵保好著 1983

ヤマモモの塩漬けは沖縄で食事の際に食べる唯一の漬けもの…確かに沖縄ではあまり漬けものが無い気がします。昔ながらの漬けものでいえば黒糖に野菜を漬けた「地漬(ぢづけ)」と呼ばれる漬けものはありますが、どちらかといえばお茶請け的な存在です。沖縄で漬けものが無いのって気候的な問題なんでしょうかね。

しかし、食事に添える唯一の漬けものであるヤマモモの塩漬け。どんなものなんでしょうか?

 

ヤマモモを手に入れよう

というわけでまずはヤマモモの入手からスタートです。ヤマモモの木は公園なんかでも結構はえているのですが、公園で勝手に実を取っていいものかよくわかりません。

色々調べた結果、やってきたのは沖縄市の中部農連市場。

この付近の八百屋さんでヤマモモを探します。すでにヤマモモ畑は跡形もない沖縄市ですが、今でもヤマモモを育てている方はいるようで中部農連市場あたりでは購入ができるということです。

探し回っても全然見つからないので、諦めてファーマーズマーケットとかで探そうかとも思いましたが、見つけました。ヤマモモ。1パック100円という破格の値段でした。まぁ相場が分からないんですけど。

購入ついでに市場のおばちゃんに塩漬けについて聞いてみたのですが、「基本は生食、すぐ傷んでしまうので生食じゃなければ泡盛につけるべし」とのお答え。もう塩漬けで食べてる人はいないのかもしれません。

 

ヤマモモを塩漬けしてみる

さて、ヤマモモは手に入ったので早速塩漬けしてみましょう。

と、その前にもとの味を確かめておきましょう。ヤマモモは種がデカいのでほとんど食べるところがないのですが、口に入れるとほのかな甘さが広がります。ほのかに甘いのですが、はっきりとした甘さや酸味がないので悪くいえば薄い味でしょうか。

塩漬けの材料を準備。ヤマモモはさっと洗って水気を取りました。

容器をアルコール消毒(泡盛を使った)して、塩を入れるだけのシンプルな作業なんですが、『料理沖縄物語』ではレシピ的な事には何も触れられていないのでとりあえず塩は目分量で入れてみました。

塩漬けなので、日のあたらない場所とかに置いておけばよいと思うのですが、まかり間違って腐ったりすると軽いバイオハザードな気がして冷蔵庫に入れておきました。このまま1ヶ月くらい置いて様子を見てみます。

 

ヤマモモの塩漬けはどんな味なのか

こうしてヤマモモを漬けて1ヶ月あまり。

無事腐ることなく、この日を迎えることができました。しかし、なんとなく思うのですが塩多くない?

色々不安が残ります。

においを嗅いでみましたが、腐っていることはなさそう。ちょっと甘いにおいはヤマモモの香りがそのまま残っているようです。

さて、気になる味はどんなでしょうか…。

塩。

なんだろう。しょっぱさしかありません。

この日はDEEokinawaの編集会議だったので他のライターの方にも食べて感想をもらってみました。


しょっぱい!


しょっぱい!


静かに試食拒否

もらった感想としてはやはり「塩の味しかしない」しかありませんでした。

 

ご飯と合わせてみる

というわけで、出来上がったヤマモモの塩漬けはほぼほぼ、塩の味しかしないという結果に終わってしまったのですが、見た目は割と梅干しっぽいのです。そういえば昔ながらの梅干しって結構塩辛かった気がします。

このままではあれなので白米とあわせつつ、梅干しと食べ比べもしてみたいと思います。

まずは梅干し。まぁすっぱいですよね。ただ、酸っぱさが先に来るのであまり意識してませんが、梅干しも結構な塩味。ヤマモモも梅干しみたいな感じでいけるんじゃないでしょうか。

やっぱり無理でした。

こうして食べ比べてみると梅干しって酸味があってはじめて成立するんだなぁと。ヤマモモは酸味もないので単純に塩辛い何かです。

ただ、ご飯はめちゃめちゃ進むことだけは確かです。

 

というわけで、沖縄で食事に添える唯一の漬けものであると言われたヤマモモの塩漬けなのですが、塩の味しかしないものが生まれてしまいました。もうちょい減塩すればうまくいったのか、それとももともとこんな味なのかは不明ですが現代においてはそんなにおいしいものでは無いような気がしました。

ちなみに先の『料理沖縄物語』には豆腐を一晩放置させてちょっと発酵させた「るくじゅう」という料理(DEEokinawaでもかつて記事にしました。)の記載で「焼き上がった「るくじゅう」を小さな皿に盛ると、焦げ目のほんのりとついた豆腐の上に、楊梅の一粒をのせて、色どりにすることがあった」とも書かれています。めちゃめちゃ作ってしまったので次回はるくじゅうで試してみたい所存です。

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