- DEEokinawaトップ
- 特集
- 沖縄の万里の長城を往く
沖縄の万里の長城を往く
沖縄にも万里の長城があった!?
以前から八重瀬町で車を走らせている時に、気になる建造物があったのです。
コンクリートでできた遊歩道のような構造物。しかも車道よりも少し高いところにあり、くねくねと蛇行してどこまでも続いているような・・・そう、それはまるで中国にある世界遺産、万里の長城のようなのです。
まさか、沖縄にも万里の長城があった!?それとも、琉球王朝時代のグスク跡かなにか?
今回はその真相を確かめるべく、件の場所を訪れてみることにしました。
住所でいうと八重瀬町当銘(とうめ)、東風平運動公園の西側に位置しており地形としては小高い丘状になっています。
目的地付近にたどり着くと、町道沿いに意外にちゃんとした駐車場があることに気が付きました。
しかも他に車が数台停まっています。あれ?意外と地元ではメジャーな場所なのでしょうか??
訝しみつつ駐車場の奥へと足を踏み入れると・・・
万里の長城キタコレ!!
いきなり目的の光景が目の前に現れました。
私がコンクリートだと思っていたのは、どうやら琉球石灰岩。しかも状態からして、琉球王朝時代のものではなく近年整備されたもののようです。だとしても、ここはいったい何のための場所なのでしょうか。
廃墟と化した謎の施設
高台にあるため目の前には南部ののどかな田園風景が広がっているわけなのですが、その手前には否応にも目に入ってくるV字型の施設が。
草ぼうぼうの階段をかきわけて近づいてみます。
入口には睡蓮が植えられた観賞池があり、その奥が展望台のようになっていました。集落を挟んで向かい合う小高い丘、与座岳の頂上には、航空自衛隊の高性能レーダー(通称ガメラレーダー)がくっきりと見えます。
足もとはウッドデッキになっており、こちらも状態から察するにわりと最近建てられた施設のよう。
階段があったので下に降りてみました。すると・・・
廃墟!?
ベンチだけが置かれたガラーンとした空間に、数ヶ所の手洗い水道設備、奥には謎の小部屋が見えます。のぞいてみましたが、枯れ葉や鳥のふん等が落ちているだけで特に何もありませんでした。
ただ、こういう場所にはつきもののお菓子や弁当のゴミ、落書きなんかが一切無かったので、今もしっかりと管理されているのでしょうか?謎は深まります。
外から見ると、丘のふもとに向かって階段状の水路が見えます。
今も水が流れているのかどうか分かりませんが、小鳥たちの休憩所にもなっているようで数羽が羽を休めていました。
ついに謎の真相が明らかに
謎の施設を跡にしてさきほどの遊歩道に戻り、しばらく歩いているとついに案内板を発見!
どうやらこの遊歩道、ウマチーロード(クサティムィの自然生態観察園路)という名称がついているようです。
案内板による説明は以下のとおり。
本公園の大きな緑のゾーンを形成しているのがテミグラの杜・金満(カニマン)の杜・赤石(アカシ)の杜の集落背後地のクサティムィであり、同時にその緑のゾーンは人が入れない区域(サンクチュアリゾーン)で、多種の植生と野鳥や昆虫等にとっても大切な生息地となっている。
ウマチーロードは、これら3つのクサティムィの尾根伝いにある既存のススキに覆われた古道の東西や北に伸びる約1.8キロの距離になっている。名称の由来は、昔から字当銘・小城・志多伯の共同によるウマチー行事(稲二祭)の祭参道として利用されているこ事から、地域ではウマチー道路(ロード)と呼んでいる。
都市公園事業で整備したウマチーロードは、現在地(正門)から東側に325m、西側に520m、北側に195mの総延長で1,040mとなっている。
石畳で整備したウマチーロードのりようは、サンクチュアリゾーンの中で唯一人が入れる部分(園路)であり、祭参道をはじめ、公園利用者の散歩や野鳥・昆虫・植物などの観察・ネイチャーゲームでの活用など、自然観察が出来る本公園の『ふるさとのランドマーク的なクサティムィを活かした自然とふれあえる公園』のメイン園路として、地場算出の琉球石灰岩の石材を用いて整備した。
というわけでどうやらこの万里の長城は、『西部プラザ公園』という公園の園路だったようです。
そしてさきほどの廃墟は、野鳥観察棟とのことでした。しかし明らかに現在は使われていません。
炎天下、万里の長城を往く
さてこの万里の頂上、もとい、ウマチーロード。
総延長約1キロ。真夏の炎天下。
ついでに言うと帽子忘れた。長袖上着忘れた。サングラス忘れた。朝バタバタしてて日焼け止め塗るの忘れた。
・・・・・・。
でも、歩いてみないわけにはいかないでしょう。記事のためならエーンヤコーラ!
人が入れないサンクチュアリゾーンで唯一人が入れる部分、という響きもそそります。
いざ往かん、天竺へ!(違)
以下、しばらくテキスト少なめでお送りします。雄大な万里の長城の眺めをお楽しみください。
途中、グスク広場と呼ばれる東屋のある広場がありました。
広場の中央に立つ木に向かって四方から縄がかけられていたので、ここでウマチー行事?などが行われているのでしょうか。
ちなみに木陰に入ったらセミが「ミ゛ッ!」と鳴きながら30匹ぐらい一斉に飛び立ったので心臓発作を起こすかと思いました。
サンクチュアリゾーンへの立ち入りを禁ずる注意看板とフェンス。
ウマチーロードの西側の端っこ地点に到達しました。
来た道を折り返して東側に向かいます。
ウマチーロード踏破なるか
ほてる頬。したたる汗。もうろうとする頭。
半分ほど戻った所で持っていた水分が尽きました。
あ、私ここで倒れたらどうしよう。
とりあえず位置情報付きでSNSに一本投稿しておきました。私が行方不明になったらこのあたりを探してください。
ちょこちょこ日陰で休憩しつつ、小一時間ほど歩いてようやくスタート地点に戻ってきました。
よし、東側は西側よりも距離が短い!いけるはず!
整備されたウマチーロードではない古道はこんなかんじで植物のチカラに負けておりました。絶対迷い込んだらだめなやつ。
ハーブ体験工房という施設がありましたが、少し離れたところでシルバー人材センターの方が草刈りをしているだけで、こちらも人気はありませんでした。野鳥観察等と同じく比較的状態はいいのですが、いったいいつまで使われていた施設なのでしょうか。
琉球石灰岩の道が途切れて階段が現れました。
あれに見えるは天竺東側の駐車場!
ついにウマチーロード踏破なり!!!
ちなみに草刈りをしていたシルバーさん以外、誰ともすれ違いませんでした。
真夏の炎天下なので、そりゃそうですよね。
近くの展望台でひと休憩
ほうほうのていで車に戻り、さあ帰ろうと走らせると近くに展望台があることに気が付きました。
ウマチーロードの地図を見返すと北側に続く園路の先に位置しているようで、これも西部プラザ公園の一部のようです。
絶景!
さとうきび畑を吹き抜ける心地よい南部の風のおかげで、さきほどの疲れが癒えていきます。
ああ、がんばってよかった。
というわけで今回は、八重瀬町にある万里の長城、もとい、西部プラザ公園(一部廃墟)からお送りしました。
景色もよくとても気持ちのいい園路なので、是非、日焼け対策をしっかり&水分をたっぷり持ったうえで訪れることをおすすめします。
さいごに、セミに続いて二度めの心臓発作を起こしかけた看板の写真でお別れしたいと思います。
見てる
不法投棄ダメ、絶対。