- DEEokinawaトップ
- 特集
- 花イカ作りに挑戦
花イカ作りに挑戦
花イカをご存知でしょうか。
何となく聞いたことがある人もいると思いますが、イメージするのは八宝菜などに入っている、網目状に包丁が入ったイカなのでは?
沖縄で花イカというと、こういうもののことを指します。
著:新島正子『琉球料理』(琉球文教図書株式会社・昭和46年)より
この赤い蒲鉾みたいなものが花イカ。
昭和46年、琉球文教図書株式会社から発行された、新島正子『琉球料理』によると
お祝いともなると、親戚縁者の女たちが集まり、花イカ作りに技を競ったりしたものですが、時代が変って花イカ作りの光景も見られなくなったのは寂しいことです。
とある。昔は、花イカの美しさを競って女たちの熱い戦いが行われていたそうです。
花イカについてこうも書かれています。
切り込み方に決りはなく、工夫をこらした独創的なものが喜ばれていました。
沖縄の花イカは、クブシミに切り込み細工を施し、赤く染めたもののこと。決まった切り込み方はなく、オリジナルの切り込み方が喜ばれたそう。ここが腕の見せ所。
これは面白そうだと、クブシミを買いに行くも、なかなか見つかりません。どうやら釣るのではなく、網にたまたま掛かったものが売られているそうだ。これからの季節はよくかかるらしい。
ふられること数回、ようやく売ってました。この白いイカがクブシミ。
一般的な花イカはこういう切り込みなのでは
1000円分だけ購入。さっそく花イカを作ってみましょう。
切り込みをいれる
切り込み方に決りはないとありましたが、まったくイメージできないので、辞典にあった例から3種類作ってみます。
イカには縦横の繊維があり、切る方向を間違えるとキレイに開きません。写真はわかりにくいですが、短い方向に繊維があります。繊維に沿うように切り込みをいれていきます。
クブシミは他のイカと違い、厚みがあり、適度な固さでとても切りやすいです。ちょっとした包丁の動きで切れてしまうほど。
縦や横、さらに縦と横と細かい切り込みを入れます。押す力はほとんど必要なく、引く力だけで切れると思います。
始める前は一つ切り込むのに何分掛かるんだ...と思っていましたが、意外と簡単に切れるので5分もあれば終わります。
茹でる
茹でる前に、イカのヌメリを取ります。これをしっかりやらないと、切り込んだ箇所がくっついてしまい、うまく広がらないことも。
塩を振って切り込んだ中まで丁寧に刷り込みます。終わったら水で塩を洗い流してお湯の中へ。
あまり茹で過ぎてしまうと固くなります。冷めるまでお湯の中に入れておくので火にかける時間は、厚みにもよりますが3~5分ほどでしょうか。
火がとおったら、茹で汁をイカが浸るくらいまで残して捨てます。そこに食紅を入れます。イカが熱いうちに食紅を入れないとうまく染まらないので注意。食紅に浸すのではなく、刷毛などで直接色を付けることもあるそうです。
染まったら取り出して冷まして切り分けます。
花イカできた
初めての花イカ。どんな形にできあがったのでしょうか。
1つめ。
切り込み例を見て、初めて切り込みを入れたもの。インベーダー?カニ?
ビビって厚めに切り込みを入れているので、うまく広がっていません。右側のコの字部分が切れてしまい外れています。
2つめ。
これも切り込み例の通りやってみたもの。枝みたいな部分がもっとクルクルっとする予定だったんですがなりませんでした。これも切り込みが厚いため。本当は松の葉とかを表しているのでしょうか。これはエジプトの壁画に描かれていそうな何かに見えてきました。
ほら、ゴマで目を付けてみるとエジプトっぽい。もしくはインカ帝国のなにか。
3つめ。
開きました。開いたよ!しかし何でしょうかねこれ。
首里城っぽく見えてきた。いや守礼門っぽくも。見えなくはない。
以上、3種類の花イカ。いかがでしょうか。切り込み例の通りに切り込んでみても、まったく違うものが出来上がってしまうこの感じ、嫌いじゃありません。オリジナルの切り込みで腕を競ったという話もわかる気がします。年に一度だと盛り上がりそうですね。
花イカは見た目だけではなく、味も美味しいので、クブシミを見つけたときは買ってみて腕を競ってみてはいかがでしょうか。