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[昔のこども遊び] サンサーン捕り
古書店で出会った一冊の冊子
先日とある古書店を訪れた際に、一冊の薄い冊子が目に止まりました。
それがこちら。
『明治・大正・昭和初期 こどもの遊び』
石垣市役所総務部市史編集室から平成三年三月に発行されたこちらの冊子には、タイトルにあるように明治・大正・昭和初期に石垣島のこどもたちがどんな遊びをしていたかが資料として紹介されています。
パラパラと見てみると、陣取り合戦やベースボールなど今に通じるものもあれば、チィキンガラスホイヤー、ウシィヌパンゾレゾレ、コーローローチンチンチンなど名称からは到底想像がつかないようなものまで様々なこどもの遊びがイラストとともに紹介されており、思わず買って帰らずにはいられませんでした。
分からない単語がたくさん
ものの無い時代、当時のこどもたちは自然のものをうまく使い、身体を動かし、自分たちで工夫して遊びを楽しんでいたようです。
私も子を持つ親のひとりとして、昔の子どもたちがどんな遊びをしていたか興味があるので、ここに紹介されている遊びを再現してみたいと思ったわけです。
ちょうど盛夏ということもありますので数ある遊びの中から、今回は『サンサーン(セミ)捕り』に挑戦したいと思います。
セミは方言(サンサーン)である。鳴き声に由来した命名であろう。石垣島では、例年六月の半ば頃から八月の半ば頃まで泣き続ける。「やえやまくまぜみ」である。
「セミは、いちばんシンダンギー(せんだん)が好きで集まる」と古くからいわれている。子供たちは鳴き始めを待ち兼ねたように、すぐ用具を作ってセミ捕りに活動し始めた。用具は、伝統的にムージィ(くわずいも)の葉をグルグル巻きにし、棹の先端にくくり付けたものであった。場所のなどで作ることもあった。これを鳴いているセミに近づけ、一瞬の早技で、そのなかに入れて捕らえるのであるが、一種の爽快感があった。男の子の遊びで、多くの少年たちが経験しているはずである。
それでは童心に返って、いざサンサーン捕りへ!
まずはムージィで網を作ろう
まずはムージィ(クワズイモ)の葉で虫捕り網を作らなければいけません。
クワズイモの葉を刈るときの鎌とポリエチレン手袋、葉を固定するための麻ひも、持ち手となる園芸用の支柱。
昔は竹竿などで作っていたのでしょうが、手頃なものが無かったので園芸用の支柱で代用します。
クワズイモは沖縄なら大抵どこの路地や庭先にも生えているので簡単に入手することができます。
我が家の庭先にも首尾よく生えていたのでこれを刈り取って使うことに。
ちなみに根の部分は里芋によく似ていますが、クワズイモの名のどおり強い毒があるので間違っても食べないように。
- このぐらいの大きさで大丈夫かな
- 汁でかぶれないようにラップで密封
本にあったとおり葉っぱをぐるぐる巻きに。開かないよう端っこをテープで固定します。
ポップコーン入れたい。
麻ひもで園芸用支柱に固定して完成!
これなら身近にある材料で子どもでもちゃちゃっと簡単に作れますね。
それでは完成した、"虫取り網" ならぬ"ムージィ捕り網"を持って、セミがいそうな公園に繰り出してみましょう。
ムージィ捕り網の実力やいかに
夏の昼下がり。セミたちが「サンサーン!サンサーン!」と元気に鳴いていま......
あれ?
シーン.......
正午近くのちょうどいちばん暑い時間帯だったからか、どこからもセミの鳴き声が聞こえてきません。
しかし朝夕はうるさいほど鳴き声が聞こえてくるので奴らが居ることは確か。じっと息を潜めているに違いありません。
とりあえず見つけたセミの抜け殻でウォーミングアップ。首尾は上々。
鳴き声を目当てに探せないので苦労するかと思いきや、木をよく見てみるとそこかしこにいるわいるわ。
あまり運動神経のよろしくない私でもこれなら一匹ぐらい捕まえられるのでは...!
- そぉ〜っと近づいて...
- セイッ!(ぱさっ)
捕れた!!!!!
なんと、いきなり一発目でイキのいいアブラゼミが捕れました。
すごいじゃないかムージィ捕り網!
この調子でガンガンいきましょう。
- ああ、逃げられた...
- ギィ〜!惜しかった!
網をかぶせるとこまではだいたい成功するのですが、手でつかもうとした時にセミが暴れるので私がビビってしまい、何匹か取り逃がしてしまいました。
- でやっ!
- 捕ったどー!!!
捕れた!!!
お次はクマゼミがとれました。
アブラゼミより大きく力も強いのでしがみつかれた指が痛いです。さらにリリース時にオシッコを飛ばされる率も高いです。ご注意あれ。
- そぉ〜っと...
- またまた捕ったどー!!!
まさかこんなムージィ捕り網でこんなに次々とセミが捕れるとは思ってもみなかったので正直驚きました。
昔の子どもたちよ、ありがとう!君たちはすごい!!
そしてお別れは突然に
だんだん楽しくなってきて小学生男子かと思うほどサンサーン捕りに熱中すること小一時間。
ムージィ捕り網の様子がおかしいことに気が付きました。
ぐったりと頭をもたげるムージィちゃん
そう、あまりの暑さに加え、風に煽られたり樹の幹に叩きつけられたりしているうちに、葉っぱがしなびてペラペラになってしまったのです。これではもう虫捕り網として使えません。
点々と光るクマゼミのおしっこの跡も勲章のよう
クワズイモの葉は自然のものなのでセミも警戒しにくいのか、そっとかぶせると全然逃げなかったので、私でも簡単に捕まえることができました。使ったあとの葉っぱは自然に還るし、これは素晴らしい道具なのではないでしょうか!(一時間しかもたないけど)
最終的にただのクワズイモの葉に戻りました
というわけで昔の子どもたちの知恵がつまった特製ムージィ捕り網で、小一時間めいっぱいサンサーン捕りを楽しむことができました。是非みなさんも手元に虫取り網がないな~というときに、このムージィ捕り網を作ってみてはいかがでしょうか。楽しいですよ!