2015.02.23

沖縄市の巨大壁画とマチカジベンチの愛のストーリー

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沖縄の結納で贈られる品に、マチカジ(松風)という赤いお菓子があります。沖縄市のコザ十字路の広場に、その大きなレプリカができました。今回は、いつもと趣向を変えて、この広場で初めてプロポーズしたカップルの、愛のストーリーをお送りしようと思います。

今、沖縄市にあるコザ十字路を那覇から北向けに走ると右側に、160mの大壁画が描かれているのが見えます。

万国津梁の鐘が始まりのゴング
第一、第二尚氏時代、越来にまつわる人物絵巻
現在の銀天街。総菜屋、天ぷら屋はまんま本人
そして未来。よく見ると写真左のガジュマルが大きくなった頃の絵がある

壁画のテーマは「コザの街の過去、現在、未来」。沖縄市の千年の歴史が描かれています。

2014年の5月から制作スタートし、晴れて2015年の1月に完成しました。複数の建物の凹凸やパイプがある壁に、絵を筆やハケで描いているため、かなり大変な作業だったそうです。


ぷーらくんがさりげなく隠れていたりする

コザ十字路にある商店街「銀天街」の生んだゆるキャラ、天ぷらの「ぷーらくん」が、壁画のそこかしこに隠れていたり、細かく見ていくと色々な発見があって面白いです。


壁画近くのバス停のそばには、マチカジのベンチが鎮座しています。

沖縄の日差しや長梅雨、記録的な台風にも負けず、1人のケガ人も出さず作り上げた大壁画は、早くも沖縄の名所として注目されています。

2015年1月13日、関係者が集まって、最後の仕上げである龍の「目入れ式」が行われました。参加者が思い思いの色で目を塗って壁画はついに完成に。


完成した龍の目。モザイク状に輝いている

そして仕上げも終わり、1月31日に壁画の完成パーティーが開催されました。

完成パーティーでは、様々なジャンルのライブや個性派な屋台が出て、関係者や地元の人たちで賑わっていました。

当初は、壁画の詳細や大いに盛り上がっていたイベントの様子をレポートしようと思っていたのですが、本日はこの巨大壁画の裏側の愛のストーリー、イベントの最後に行われるサプライズプロポーズについてお伝えしようと思います。

 

壁画を巡る愛のストーリー

さて、この人が今回の主人公、神谷節さん。
東京でいくつもの事業を手がける実業家にして、コザ十字路の大壁画を現場で取り仕切ったリーダーです。

実は壁画を描ける人は全国でも少なく、その筋ではかなり有名な若手なのだそうです。


神谷さん。仮装のために化粧をしていますが、普段は化粧はしていません。

神谷さんは現場のメンバーから「鬼」と呼ばれるほど厳しく、その指導は怖い愛にあふれていたそうです。これも沖縄の若い人に、神谷さんのノウハウを伝えたかったからだとか。


この下書きの紙は東京から持ってきたもの。この下書きを壁に写すところから作業が始まります。


壁画メンバー。10人もいないメンバーで1600平方メートルの絵を描き上げました。

神谷さんには、ユカコさんという彼女がいました。沖縄と東京を忙しく行き来する神谷さんは、ゆっくりユカコさんに会えずにいました。そこで、神谷さんと苦楽を共にした壁画作製メンバーが神谷さんへの感謝を込めて、記念パーティーでプロポーズできる場を作ったのです。

 

プロポーズ大作成


林さん。普段は女装していません。

そしてもう一方、キーパーソンをご紹介します。この人は、林僚児さん。壁画のメンバーかつデザイナーで、プロポーズの仕掛け人。
林さんが気合を入れてデザインしたグスク時代の場面は、困ったことに予定の10倍の作業量だったとか。

林さんが銀天街に来たのは2003年頃で、「食とアートの街」をテーマにコザ十字路で色々なイベントを開催してきました。この壁画も林さんが何年も前から温めてきた企画で2012年に市役所のコンペでようやく実現にこぎつけたのです。

プロポーズに話を戻しましょう。

琉球史のロマンスのひとつに、「百度踏揚(ももとふみあがり)と鬼大城(うにうふぐしく)の逃避行」があります。勝連を治めていた阿麻和利(あまわり)に嫁いだ琉球王の娘、百度踏揚が、阿麻和利の反乱を知らせるため、従者の鬼大城に背負われ、首里城まで駆け抜けたという伝説で、壁画でも大きく描かれています。その後、阿麻和利を倒した鬼大城は百度踏揚と結ばれます。


鬼大城と百度踏揚

今回の告白は、神谷さんが鬼大城、ユカコさんが百度踏揚に扮して行われます。
ちなみに、ユカコさんはプロポーズのことを全然知りません。

壁画を説明するメンバー。仮装は説明のためだと言い訳ができます。
お化粧したユカコさん。きれい!

このサプライズプロポーズのために壁画メンバーも衣装に身を包みます。

そしていよいよ記念パーティーも佳境。「鬼大城と百度踏揚」として登場してほしいからと、ユカコさんを舞台に上げます。ユカコさんの輿を運ぶのが農民や阿麻和利なのはご愛嬌。

いよいよサプライズプロポーズの瞬間です。

まずは神谷さんがマチカジのベンチの話を。

「このマチカジというお菓子は、沖縄の結納で欠かせないお菓子だと聞いてみます。」

そして…!

「私事ですが、この場でプロポーズしたいと思います!」
「僕と結婚して下さい!」

片膝をついて手をさしのべます。

ユカコさん…神谷さんのプロポーズに力強くOK!


いきなり出てきてなぜか2人に愛を誓わせるマッカーサー。

いきなり出てきたマッカーサー。この人は看板屋さん「サイン沖縄」の名物社長の大城さん。サイン沖縄もこの大壁画に携わった企業です。


最後はみんなでカチャーシー。鬼大城も胴上げされました

プロポーズも大成功ということで、沖縄らしくカチャーシーと胴上げ。完成パーティーの歓声も最高潮に達しました。

最後は記念写真。鬼大城が持つのはコザ十字路のお店で作った結納のお菓子。もちろんマチカジも入っています。

 

こうして壁画前に告白の新名所が誕生した

今回は趣向を変えて、コザ十字路の新名所で行われたプロポーズの模様をお伝えしましたが、いかがでしたか? 私の旦那のプロポーズは、寝ている真夜中に電話してきたり、みやげのカステラを渡すついでだったので、それに比べたら、大壁画を眺めながらマチカジの前でプロポーズするのは、はるかに素敵じゃないでしょうか。


ここで告白したらロマンチック!?

プロポーズを仕掛けた林さんとしては、せっかく縁起物のマチカジのベンチもあるし、今回でプロポーズの先例もできたということで、ここを告白スポットとして広められないか、という想いもあるようです。

「このオブジェのマチカジは結納のお菓子で、ここで最初にプロポーズした人は壁画描いたリーダーで、誠実な人だったって・・・・・・結婚しよう!」とか、沖縄らしいプロポーズに使ってみては?

とりあえず告白の予定の無い人も、コザ十字路を通った際はこの壮大な壁画と壁画前のマチカジベンチのストーリーを思い出してほっこりしてもらえれば幸いです。

最後になりましたが、神谷さんユカコさん、末永くお幸せに!

 

ゲストライター

AYA
プロフィール:生まれも育ちも沖縄本島。県民に多い苗字ベスト3入りする苗字だったのに、九州出身の旦那をもったばかりにイチイチ説明が面倒くさい。殺人事件が起こるドラマが好きでしゃべる機械キャラ萌え。
 

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