- DEEokinawaトップ
- 特集
- ハレノバのミルク様に会ってきた
ハレノバのミルク様に会ってきた
会いたかった、YES!
先月のことですが、DEEokinawa宛てにとある一通のメールが届きました。
はじめまして、「ハレノバ」のブランド名で沖縄の人形を作っている斎藤と申します。
いつも記事を楽しませていただいていますが、みるく様が好きなスタッフの方がおられる様なので、
ただいま開催中のみるく様の展示販売会のお知らせをとおもいました。
ハレノバさん...!
そう、実はこの名前に聞き覚えがあったのです。
何年か前に石垣島を訪れた際、なにかのガイドブックかフリーペーパーに掲載されていたミルク様の土人形。
その完成度の高さとなんともいえない愛らしさ(神様だけど)にハートをキャッチされ、これは是非生で見てみたいと地図をたよりに鼻息荒くお店を探したのですが、住所からしてこのあたりという場所をぐるぐる歩きまわれどもどうしても見つからず。
もしかしたら移転か閉店してしまったのかな...と肩を落として帰ってきたのでした。
それから数年が経ち、まさかこんなかたちで再会できるとは!
というわけで、沖縄市のプラザハウス内にあるギャラリーショップ『Flagship OKINAWA』で開催中の展示販売会におじゃましてまいりました。
みるく、ミルク、弥勒
ギャラリーショップに足を踏み入れると、目の前にどどーんとハレノバ特設コーナーが。
今回はハレノバのメイン作品となるミルク様だけではなく、獅子や琉球国王・王妃、チンチン馬、ンマハラシー、オホホ、ダードーダー、首里城等の土人形等、約30点の土人形が展示・販売されているとのことです。
- 琉球国王と王妃
- チンチン馬
そしてやっと会えました、ミルク・オール・スターズ!
沖縄本島と八重山の祭祀行事に登場するミルク様がずらり勢揃い。
本物を同時に見られることはまずないので、こうやって人形にして並べて見ると、顔の色や表情、衣装などそれぞれ十人十色。同じミルク様は二つといないことが分かりますね。いや、これは想像以上に圧巻です。
- 種子取祭で登場する竹富島のミルク様
-
左・真栄里の獅子と猿
右・首里赤田のミルク様
衝撃の出会い
というわけでミルク様をみっちり堪能したところで、作家さんにお話を伺うことに。
こちらが作家の斎藤秀二さん。
東京都出身で、もともと雑誌・広告・音楽関係などデザインのお仕事をされていたそう。
1995年に宮古島に移住し農業を志す傍ら、もともとの生業であった絵やデザインの経験を活かし、オリジナルTシャツや絵ハガキを作って空港や土産物店などで販売されていました。
2010年に石垣島に引っ越し、オリジナルTシャツや絵ハガキ、アクセサリー、郷土人形などの店『ハレノバ』を経営したのち、2013年から那覇に移って来られたそうです。
どうやら私が石垣島で店を探しまわっていたのは、ちょうど那覇に引っ越しされた直後だったのですね。ニアミス!
現在、ミルク様のバリエーションは八重山が11種類、本島が13種類の合計24種類ほど。
なんと、全種類コンプリートした強者のマニアックなお客さんもいるそう。
何年かぶりに復活する祭りなどもあるので、これでもまだ全種類は制覇できていないんだとか。
斉藤さんがこういった粘土人形を作りはじめたのは、宮古島にいるときに見た多良間の八月踊りの影響だそう。
「色とかデザインとか、もうすごいなと衝撃を受けて。宮古で探してもパーントゥぐらいしか無かったので、宮古から八重山に通ってましたね。かたちとか色とか、やっぱり文化が全然違うのでもう虜になってしまって。
例えば同じ石垣のすぐ近くの集落でも、色も違うし表情も違うし、着ているものも違うし。面もかぶるタイプだったり、仮面タイプだったり。
最初は絵で描いていたんですけどなんかピンとこなくて。これはやっぱり立体として作んなきゃダメだなって思ったんです。なんかこう、”持ちたい”という欲求が湧いてきてしまって(笑)」
人形の作り方は、まず原型を粘土で作り石膏で型取り、そこに粘土を詰め半月ほど自然乾燥させた後、彩色を施し仕上げるのだそう。
杖などの小物も、ひとつひとつとても丁寧に忠実に作りこまれているので、一体を作るのに膨大な時間を要するわけですね。
「資料の写真とかってほとんど正面からのしか無いんですよね。だから見られるものはできるだけ実際に見てまわってます。もう、まわりこんで観察してしまいますよ。なるべくディティールは作りこんでいます。」
杖を持っていたりイヤリングのような房飾りがついていたり、鉢巻のようなものを巻いていたり。
ひとつひとつ、どの角度から見ても惚れ惚れしてしまう造形なのです。
つり目、ハンサム、おむすび頭...?
せっかくこれだけのミルク様が勢揃いしているので、いくつかピックアップして詳しく紹介してもらいました。
「変わってるというか特徴的なのは西表の干立ですかね。他と作りがぜんぜん違う。
オホホと一緒に出てきて、オホホを諌めたりするので目も釣り上がってるし。造形的にもすごくいいですね。」
干立のミルク様
「それから、いちばん整っているのは白保ですね。」
白保のミルク様
「いちばん面白いのは糸満の真栄里ですね。クレヨンしんちゃんみたいな。
おむすび頭だし、あれには本当に驚きました(笑)」
真栄里のミルク様
番外編として、まだラインアップに無いそうなのですが安座間のミルク様。
白装束で、なんと黒目がない(白目)なんだそうです。ものすごく見てみたい...。
いちばん人気があるのは、竹富島・黒島・波照間島のミルク様。旅行で見たり、その島が好きだったりという理由で、観光客の方が購入していくことが多いそうです。
また「黒島のおばあちゃんにあげる」や「自分の故郷のミルク様だから」など、やはりみなさん自分と縁のあるミルク様を選んでいくことが多いんだとか。
ちなみに私は南城市津波古のミルク様に一目惚れしました。なんていいお顔!
津波古のミルク様
ハレノバのこれから
「これからはまだ作れていないミルク様を作っていきたいです。
あと、今回の展示会でもちょっとあるんですけど、特徴的なやつはもっと大きめのサイズで獅子と組み合わせて作ったり。祭りの情景が分かるようなものをですね。一式ジオラマセットみたいなのもいつか作ってみたいなと思います。」
祭祀行事は年を経るごとに簡略化されたり少しずつ内容も変わってきていると思うので、歴史資料としても価値のあるものになるのではないでしょうか。
ものすごく手間暇のかかる作業だとは思いますが、いつかジオラマセットを見られる日を心待ちにしたいと思います!
(写真提供:ハレノバ)
現在開催中の展示販売会は2月20日まで。期間が終わってからも、20点ぐらいは今回の会場『Flagship OKINAWA』に常設になるそうなので、気になる方は是非見に行ってみてくださいね。
Flagship OKINAWA
http://www.flagship-okinawa.jp/shop/
沖縄県沖縄市久保田3丁目1番12号
プラザハウスショッピングセンター内
営業時間 : 10:00~20:00 年中無休
電話 : 098-932-4480/FAX : 098-933-7511
ハレノバ
ブログ:http://himaginedeer.ti-da.net/
Email:himagine3865@kiu.biglobe.ne.jp