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沖縄そば湯を飲んでみる
沖縄ではそば湯を飲まない
おっさんになってよかったな、と思える多くのことの中の一つに「そば湯がうまいと思えるようになった」ことがある。若い頃は「何あのお湯」くらいにしか思ってなかったのだけれど、今ではそば屋に行くと必ずそば湯をもらう。むしろあれが飲みたくてそば屋に行くくらいである。
そこでふと思った。沖縄にはあんなにそば屋があるのになぜそば湯を飲まないのか、と。
答えはきっと沖縄の「そば」が他県の「そば」とは違うから、だとは思うのだけれど、今日はあえて沖縄そばのそば湯を飲んでみたいと思う。
というわけで買ってきました。
ポイントは油の量
いきつけの沖縄のアンテナショップ、わしたショップ銀座店で店員さんおすすめのそばを買ってきた。店員さんは「北谷の浜屋そば、あるでしょう。あそこの麺がこれじゃないかと思うんですよね。」とかなりローカルな予測情報を小声で教えてくれた。店員さんの予想なので正解は知らない。
やはりパッケージにもそば湯についての言及はない。
つやっつやだ。
沖縄そばの麺はすでに茹でられているので熱湯で軽く戻したらそれでいいらしい。
麺的にはそれでよかろうが今回我々が注目しているのは麺から出る出汁の方なので無視してしっかりと茹でる。
お湯に入れた瞬間ひろがる油。
ご存じの通り沖縄そばはかなり油っぽい。きっと麺が固まってしまわないよう、食用油を絡めてあるのだろう。そのためお湯に入れた瞬間にかなりの量の油が出てくるし、茹でれば茹でるほど止まらず油が出てくる。まるで油田のようである。茹でているのに油田。こういうダジャレはデイリーポータルZでは書かないようにしているので今日はいい気分だ。
おかげで美味いんだけどさ。
そばは間違いのない美味しさだった。
さて今回の主題、そば湯である。
沖縄そばを茹でたあとの茹で汁ははたしてどうなっているのか。
予想以上の油の量だ。
うちのネコの柄くらい油が浮いている。
では沖縄そば湯、飲んでみたいと思う。これが美味しかったら歴史が動く。
香りはほぼない。
味は
ほぼない。
味がない
なんとほとんど無味無臭だった。なんとなく油っぽいな、という感じはするけれど、嫌なほどではない。例えるならば、白湯。温かい水である。
沖縄そばは他県のそばと違って茹でても成分がお湯に溶け出にくいのだろうか。
いちおう他の麺でも試してみた。
よく見るやつだ。サン食品。
こちらもてかてかしている。
こちらのそば湯も飲んでみたが、結果はほとんど同じだった。やはりちょっと油っぽいお湯である。
まさかの美味しさを期待していたわけではないが、それでもこれほど結果が薄いとまとめるにしても言うことがなさすぎる。
いったん本島を離れて八重山に目を向けてみよう。
八重山そば、フロム石垣島。
八重山そば湯はどうだ
八重山そばである。麺が細くて丸いのが特徴。実は僕はこっちの方が好きだった。
麺のてっかてかぶりは他と変わらず。
出てくる油もだいたい一緒。
三枚肉がなかったので豚バラをてかてかに焼いて乗せてみた。
これが非常に美味しかった。ちなみにダシもわしたショップで買ってきたやつだ。こんなに手軽にこの美味しさが出せるのなら、おれお店出そうかな。
それはそうと、そば湯はどうだろう。
他の沖縄そば湯に比べ、かなり白い。
八重山そば湯はこれまでのものに比べてかなり白かった。そして少しとろりとしている。つまり他県のそば湯に近いのだ。見た目の違いは油の有無か。
これは期待できそうである。
飲んでみる。
ほう!
これがかなりそば湯なのだ。他県のそば湯のようなそばの実の香ばしさこそないが、それでもちゃんと小麦の味が移っている。少し油を感じるのも嫌味な感じではなく、さながら金持ちの家のそば湯といった風情である。
沖縄でそば湯を楽しみたければ八重山そばで決まりなのかもしれない。
乾麺はどうだ
ひとつの答えは出たが、いちおう乾麺でも試しておきたい。
その名も琉球美人。
これをわしたショップで見つけるまで沖縄そばに乾麺があったことすら知らなかった。
バンドが黒でかっこいい。
沖縄そばの乾麺はお湯に入れても油が出ることはなかった。乾麺のうどんや素麺なんかと同じ感じだ。
油が出ないぞ。
そば湯にもほぼ油なし。
乾麺のそば湯はしょっぱい
乾麺の沖縄そば湯はそば湯的なとろみというかコクのようなものがほとんどなかった。その代り塩気がある。つまりぼんやり小麦風味の塩水である。これは無理して飲まなくていいと思います。
結果発表
いくつかの沖縄そばのそば湯を飲んでみて、一番美味かったのは八重山そばのそば湯だった。もちろん個人の好き好きもあるだろうし、そもそもそば湯が好きかどうかでも変わってくるとは思う。
一点だけ確かにわかったことは、沖縄そばは市販のやつでも十分うまい、ということだろうか。いつかお店開こう。
ゲストライター
- 安藤 昌教
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デイリーポータルZ編集部勤務。沖縄には5年ほど住んでいたので地名を言ってもらえればだいたいわかると思います。
2013年の記事は『ガンプラでシーサーを作る』
2014年の記事は『むせろ!沖縄の粉、5種吸い比べ』