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ルートビアの「ビア」をビールにしてみたい
突然ですが、皆様は下の写真の植物をご存じでしょうか?
沖縄市郷土博物館の川副さんに場所教えてもらった
この植物はコバナヒメハギ(カスミヒメハギ)という植物で南米原産の帰化植物。沖縄には米軍の荷物にくっついた種から増えていったのではないかといわれているそうです。
まぁ見たところ何の変哲も無いこの草なのですが、実はものすごい特長があるのです。
この匂い…!
それは根っこの匂いが湿布薬の匂い…そう、まさにルートビアの匂いがする草なのです。写真でしかこの感動をお伝えできないのが残念なのですが、沖縄にお住まいの方は是非探してみて根っこの匂いを嗅いでみて下さい。99%の人は「ルートビア…!」って言うと思うんです。
で、この草の存在を知って、僕は思いました。
「これがルートビアの原料なのかどうなのかは分からないが、これはルートビアの「ルート」に置き換わる植物なんじゃないか」と。これを「ビア」に相当するもの、つまりビールを混ぜたらアルコール分のあるルートビア、「オトナのルートビア」が完成するんじゃないか…!と。
オトナのルートビアへの険しい道のり
と言うわけでまずはコバナヒメハギをかじってビールを飲んでみることにしました。
- 根っこをかじって
- ビールを飲む
オエッ。
まぁ皆さん想像できてたと思うんですが、これが全然美味しくないわけです。コバナヒメハギの根をかじってる間はほのかなルートビア臭がするんですが、根っこの味が頂けません。単なる苦行になってしまいました。そもそもコバナヒメハギ自体が小さな植物なのでこれをビールに合わせるのはかなりの量がないと難しそうです。
そこで一旦「コバナヒメハギ=ルート」という考えを捨てて、今度はアプローチを変えて市販のルートビアを購入してきました。これを煮詰めて「ルートビアの素」みたいなやつを作ってそれをビールに混ぜるという方法を試してみる事にします。
- ルートビアを
- 煮詰める
煮詰めた結果、ものすごいどろどろした飴状のものが出来上がりました。
粘りけがすごい
期待に胸を膨らませ、できあがった「ルートビアの素」をひと舐めしてみると…
匂いは何処に行った。
これ。カラメルソースだ。
なんと言うことでしょう…!あの湿布薬の匂いはどこかに飛んでいき、残ったどろどろしたものはプリンの底にたまってるカラメルソースの味に他なりません。これを混ぜてもルートビアにはならないことは明白です。
コバナヒメハギから始まって、色々試行錯誤を行ったのですが最終的に行き着いた結論はシンプルなものでした。
最終手段です。
ルートビアとビールを半々混ぜて飲むという、なんの捻りもない方法です。記事もここから始めて良かったんじゃないかと思うんですが、一応努力の痕跡を皆さんに知ってもらいたかったんです。
ビールとルートビアを半々で混ぜた「オトナのルートビア」、その味は…?
あれ?全然うまいよ?
全然期待してなかったけど、これが割とうまかったのです。ほのかなルートビアの香りと甘さにビールの苦みがプラスされたことにより、ほどよい甘さの飲み物になりました。ルートビアは甘すぎる、ビールは苦すぎるという人にも割と飲みやすいと思います。
というわけで、「ルートビアとビールを半々で割るとオトナのルートビアができあがる」という結論が出た訳なんですが、今回はもう少し掘り下げてみます。
ビールの専門家とルートビアに合うビールを探す
ルートビアとビールが意外に合うのは分かりました。ではどんなビールが合うのかについても調べてみたいと思います。
今回協力頂いたのは那覇市の久茂地にある「Beer&wine Dining COLOSSEO 262」というお店です。
- ルートビア持っていった
- クラフトビールのメニュー表
このお店では色々なタイプの味のクラフトビールを取り揃えているのです。この中から「オトナのルートビア」に最も合うビールが見つかるんじゃないでしょうか。
趣旨説明に困惑する二人
左にいるのはお店の店長の浅井さん。そしてもうひとかた、右にいるのは「生ビールブログ」というブログを運営されているタカバシさん。All aboutというサイトの「ビール」という項目のガイドでもあり、まさにビールの専門家と言えるんじゃないでしょうか。
このお二人に協力してもらいながらルートビアに合うビールを探していきましょう。
ペールエール
ペールエールはホップの香りと苦みが特長のビールでアメリカだとかなりポピュラーなスタイルなのだそうです。
- これは…!
- 苦笑い
ルートビアに合う度:★☆☆☆☆
なんだか一気にケミカルな香りのする飲料が出来上がりました。これはお世辞にもうまいとは言えません。「体育会系の部室の臭い」とはタカバシさん談。
帝国IPA
IPAとは「インディア・ペールエール」の略で苦みが強いのが特長なのだそうです。
- これは…!
- これもないですね
ルートビアに合う度:★★☆☆☆
ルートビアを混ぜることによって、苦くて臭い汁が出来上がりました。
スタウト
スタウトは黒くなるまでローストした大麦を使ったビールで、代表的なビールとしてはギネスビールがあります。独特の風味と黒い色が特長です。
- おー。
- これはなかなか。
ルートビアに合う度:★★★★☆
ここに来て結構美味しいものが出来上がりました。スタウトの濃厚な味とルートビアがよい調和を出している気がします。タカバシさん曰く「ビールは色の似たものを合わせるとよい」ということなのでひょっとしたら色の似たルートビアもよく合うのかもしれません。
ヴァイツェン
ヴァイツェンは「白ビール」とも呼ばれ苦みの少なさやフルーティーな香りが特長のビール。
- これうまい!
- おお。これは!
ルートビアに合う度:★★★★★
ここに来て、ようやく笑顔になるほど美味しいものが出来上がりました。結構甘さが口の中に残り、ビールと言うよりもジュース感覚なんですがルートビアの存在も維持しつつ、すごく飲みやすい口当たりです。
B-IPA
B-IPAは先の帝国IPAと同様、IPAなんですがこちらはベルギーの酵母を使っていて飲み口がドライなのが特長なのだそうです。
- これもいける。
- なるほど。
ルートビアに合う度:★★★★★
こちらは先ほどのヴァイツェンのような軽やかさはないんですが、ねっとり濃厚なビールの味とルートビアの味がほどよく調和しています。帝国IPAはそんなに合わなかったのに。ヴァイツェンとこのB-IPAはベルギー酵母を使っているらしく「ベルギー酵母がルートビアに合うんじゃないか」とタカバシさん。なんか酵母レベルとか深い話になってきました。
トロピカルピンク
トロピカルピンクはピンクグレープフルーツを使った爽やかな飲み口が特長のビールだそうです。
- これは…。
- ルートビアじゃない
ルートビアに合う度:★★☆☆☆
ルートビアを混ぜたのに口の中に広がるのはピンクグレープフルーツの香りのみ。完全にルートビアが食われてます。飲みやすいといえば、飲みやすいんですが…。
というわけで、以上6種類のクラフトビールを試してみたんですが、結果としては「ヴァイツェン」か「B-IPA」あたりがオトナのルートビアに最もふさわしいように思えます。
深い議論が始まっていた
しかし、そんな感じで締めようと適当に締めようと思った僕の横では侃々諤々とどのビールにルートビアが合うのかの議論が繰り広げられていたのです。
ついにどのビールがオトナのルートビアにふさわしいかのチャートを書き始めるタカバシさん。
そして、おもむろに
「浅井さん赤ワイン下さい。」
赤ワインとルートビアを混ぜ出しました。
そして、それを一口飲んで「あ、これが一番うまいっすわ。」
…まさかのワインが一番うまい宣言。
ホントだ。
いやいや、と僕も飲んでみたんですが…これうまい。赤ワインの渋さや風味がルートビアによってなんだがものすごい深い味になってます。さらにルートビアによってほのかな甘みがプラスされて飲み口もものすごい爽やかになってる…!
というわけで長々書いてみましたが、ルートビアを「オトナのルートビア」にするためにベストなビールは
ビールじゃなくて赤ワインだった。
という結論に我々は達したのです。うん。禅問答みたいなことになりました。
当初の要素が一個もない
というわけで「おとなのルートビア」を作る試み、皆様いかがだったでしょうか。最初からしっかり読み進めた方は「ルート=コバナヒメハギ」、「ビア=ビール」という要素が最終的に一個も残らなかった事にお気づきかもしれません。いや、でも確実に赤ワインの方がうまかったんですよ。嘘だと思う人はワインとルートビアを今すぐご用意の上、試してみてください!
今回ご協力を頂いた「Beer&wine Dining COLOSSEO 262」に余ったルートビアを大量に置いていったのでルートビアが無くなるまでは「オトナのルートビア」とオーダーすればルートビアのワイン割りを出してくれるそうです。興味のある方はお店に足を運んでみてください。
浅井さん、タカバシさんご協力ありがとうございました!
取材協力
Beer&wine Dining COLOSSEO 262
那覇市久茂地2-6-2 久茂地ガーデンビル1F-C
不定休 17:00-0:00(LOフード23:00、ドリンク23:30)
http://www.churaguru.net/shop/index.aspx?shop_id=206477