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トックリキワタは救命胴着になるのか
10〜12月くらいに可憐なピンクの花をつける「トックリキワタ」。沖縄では街路樹としても見る事が多いようです。
これは漫湖公園のトックリキワタ
このトックリキワタはスペイン語では「酔っ払いの樹」と呼ばれるそうで、由来は木の幹が酔っ払いのお腹っぽく見えることから来ているのだそうです。沖縄では1964年10月に天野鉄夫という人が南米から持ち帰ったものから増えたのだそうで、那覇のおもろまち駅の広場にはトックリキワタの原木、通称「天野株」が今でも残っています。
- トックリキワタの実
- 綿が開いた状態
トックリキワタが特徴的なのはその名の通り実が割れると綿が出てくるという事。昔はその綿を集めてぬいぐるみやクッション、救命胴着の詰め物に使われていたのだそうです。
トックリキワタの綿を有効活用より
我々DEEokinawaでは2011年に「トックリキワタの綿を有効活用」という内容で一度「トックリキワタが本当に救命胴衣になるのか」について検証をしてみたんですが、その際は集めた綿が少なすぎたためになんともぼんやりした結果に終わりました。
そして3年経った2014年…
大量に拾ってきました。
今回は夜の330近辺を歩いて、拾えるだけトックリキワタの綿を集めてきました。レジ袋の(大)と(小)それぞれ1袋分くらいの分量があります。これだけあれば色んなモノがつくれそうなのですが、やはり気になるのは救命胴衣の素材として本当に使われてるのか、というところじゃないでしょうか。
というわけで本日の本題ですが、「このトックリキワタの綿を使って人間が浮くくらいの救命胴着を作ることができるのか?」試してみたいと思います。
救命胴着を作ろう
完全に乾燥した綿は羊毛みたいに柔らかいです
まずは救命胴衣を作りたいところなんですが、「救命胴衣 作り方」などでググってみても具体的な作り方を掲載してるサイトなどは見つかりませんでした。…まぁ自作するモノじゃあ無いと思うので、当然と言えば当然ですが。
仕方ないので何となくで作ってみたいと思います。とりあえず用意したのはジップロック。
トックリキワタの綿をジップロックに詰めていきます。
散らばって見える黒いものがトックリキワタの種です
詰め終わったジップロックが上の写真です。詰める段階で種や細かい枝も入っちゃってますが、まぁ気にしない気にしない。最終的にジップロック16袋分になりました。
これらをガムテープでつなぎ合わせて
スーパーのレジ袋に詰めます。
レジ袋の持ち手部分をそれぞれ結べば…
- フロント
- サイド
手作り救命胴衣のできあがりです!装着した感じはなんだか心許ないですが、あの量の綿がこの救命胴衣にぎゅっと詰まっている訳で結構な浮力はあるんじゃないでしょうか?早速その威力を試してみましょう。
トックリキワタは救命胴衣になったのか
というわけで海にやってきました。
すごく天気悪い
効果を測定するにはきっと、海や川の深いところにこれを着けて飛び込むような感じが絵的によいのでしょうけど、僕は全く泳げないのです。浅瀬で勘弁してください。
あと、撮影日が梅雨の真っ最中でなんか雨も波も酷かったです。よい子は真似しないで下さい。
準備運動をして、いざ。
海に入ります。さて、トックリキワタで作ったオリジナル救命胴衣、果たして水に浮くんでしょうか…?
わー!
わーわー!
…
……
………
あ、これ普通に浮くわ。
写真が遠目すぎて分かりにくいと思うんですが、割としっかり浮いてます。大人一人の体重は充分サポートできるくらいの性能は確保できたようです。途中でサイドに貼ったガムテープが剥がれてバランスが保てなくなってしまいましたが、浮力には全然問題ないレベル。
海に入ったけど失敗して沈んだ…みたいな絵を想像してたみなさん、すみません。普通にうまくいっちゃいました。
レジ袋部分には海水が溜まってしまいましたが、小分けにトックリキワタの綿を詰めたジップロックまでは浸水してなかったので沈没は避けられました。
まとめ
寒い。
というわけで「トックリキワタの綿を真剣に集めれば、人間一人が浮くくらいの浮力を生むことが可能である」というのが本日の結論です。皆様もトックリキワタの綿が飛ぶ季節になりましたら是非集めて試してみて下さい。ただし念のため言っておきますけど、今回の救命胴衣はあくまで実験用ですので普段使いする救命胴衣はちゃんとしたやつを買いましょうね。危険ですので。
救命胴衣を作っていて思ったんですが、トックリキワタの綿が思いの外柔らかく羽毛のような手触りなので今回作った物は救命胴衣だけでなく、ダウンジャケットみたいな使い方もいけるんじゃないかと思いました。…まぁ全然お洒落じゃないですけど。
そろそろ実が落ちて、トックリキワタは葉が茂った只の街路樹になりますが来年の3-5月くらいにまた綿が実っている様子が観察できるかと思います。意識して見たことが無かった、という方は是非ともこれを機に観察してみてくださいませ。