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沖縄的レトロマニアック!「てぃだ ボーイず」
それは国際通りのすぐ裏手にひっそりと佇んでいる
国際通りを散歩していたある日、なんとなく辻道に飛び込んでみたところ、その先にはなんとも素敵な店構えが。
一見すると、街角の小さな古本屋さん。
堂々と「古本屋」の看板を掲げてありますが、どう考えてもただの古本屋ではなさそうです。
素敵な展開に期待して、さっそく飛び込んでみましたとも。
こりゃすげぇや!!
まるで中古のおもちゃ屋さんです、しかもここあそことモノが溢れかえっています。そしてただの中古ではなく、強烈に匂ってくるレトロな空気。せっかくなので店内をぐるっと見回ってみましょう。
一角は、古本コーナー。なるほど、間違いなく古本屋です。
なぜか手塚治虫先生の作品、しかも短編やマイナーなものがたくさん。
よくある萌え系フィギュアも鎮座。
レコードがみっちり詰まったコーナーもあります。レコードを飾るのって、レトロおしゃれ。
はい、ここまではどこにでもありそうなただの古本屋ですよね。これだけでは特に面白味はありません。この店の真骨頂は、ここからなのです。
エンダーで実際に使われていたであろう壁掛け。潰れた店から買い取ったのか!?その真相はいかに。
焼いていない、木製のシーサー。最近は紙製のシーサーがお目見えしていますが、木製のシーサーなんてついぞお目にかかったことがありません。
えっ!?若かりし頃の喜納昌吉さん!?
これはまだ世がレコードの時代、LP盤(アルバム)に収録されていたが人気だったため、シングル盤にカットされた『ハイサイおじさん』。この曲が収録されたLP盤は沖縄のレコード会社であるマルフクレコードが発売したそうですが、シングルカットされて『ハイサイおじさん』は全国に旅立ったんだとか。
この店、沖縄的年代モノの珍品がゴロゴロしています。軽く沖縄レトロミュージアム。
品々の中でも、最も多く目についたのが、こちら。
オリオンビールを始めとした、飲料系の缶と、
瓶。中には賞味期限が10年以上前のものや、錆びて文字が全く見えないものまで・・・。
あの、お値段は・・おいくらでしょうか?
「8,000円だよ!買う?買う!?」
ひいぃぃぃっっ。。
息が止まりそうな値段です。
見たこともない斬新なデザインの缶ですが、こちらオリオンビールの海洋博記念限定版。現在60歳前後以上の方なら、この缶でオリオンビールを飲んだ記憶がある方がいるでしょう。それが40年近く経った今、ここまで価値が生まれているなんて・・誰が想像したでしょうか?いや、コレクターは見逃さなかったかな。
店主はどこだ
店内は、都会のビレッ○バンガードよろしく乱雑に品物がうず高く積まれており、一見するより多量の商品が埋もれていそうです。
これは自分で見るよりは、店主に紹介してもらったほうがいいかも。
店主、店主と・・・。
埋もれているのは商品だけじゃなく、店主もか。
店主、甲子園に夢中でしたが、お勧めの商品を紹介していただきながらお話を伺いたいと申し出ると、快く引き受けてくださいました。
—この店でお勧めのものってありますか?
「そうだね〜。うちは沖縄の清涼飲料水の瓶とか、オリオンビール、酒造所のグラスが充実してるよ。あとは海洋博関連グッズかな?さっきあなたが見てたオリオンビールの缶とかね。あとは・・・」
「海洋博(読者の方から「沖縄サミット」ではないかという指摘を頂きました。すみません!訂正致します。)沖縄サミットとリカちゃん人形のコラボ!これは相当の珍品だよ!あとはコレとか。」
—なんですか、このどこにでもありそうなオルゴールは。
「いやいや、知らないの?これはアクアポリスのミニチュアだよ。」
アクアポリス・・・それは、今の美ら海水族館の沖合に123億円という巨額の費用を投じて建設された、「半潜水型浮遊式海洋構造物」。未来の海上都市をイメージしたという、まさに夢のようなこの建造物、そのプロデューサーは、あの手塚治虫氏だそうです!なるほど、色々と腑に落ちますわ。
ここからは、お店の話を聞きつつ、その他商品を紹介していきます。
—いつから店をやっているんですか?
「もう18年前かな?漫画が好きでね、最初は古本屋から始まったんだよ。元々は理容師だったから、お店始めたよって友人に知らせたら、みんなここに髪切りにきた(笑)」
(こんな空瓶、どんな人が買っていくんだろうと思ってたら、なんと目の前で買っていった人がいたんです!もうびっくり。)
—古本屋からどうしてこんな店(失礼)になったんですか?
「ここに来るお客さんの中に、瓶コレクターがいたんだよ。彼から自分のコレクションを買ってくれって頼まれてね。陳列してたら、客さんから要望が出始めて、他のお客さんに声かけたり、フリマでゲットしたり、外に買いつけに行くようになって集めた。元々好きだったしね。」
—はぁ・・だいぶマニアックな感じがするんですが・・・
「そう!うちはね、沖縄で一番マニアックな骨董屋だよ!沖縄にはこんな店チラホラあるんだけど、間違いなくうちが一番だね!お客さんもそう言って来てくれるからね。」
(希少品、手塚プロと琉銀のコラボシーサー。地銀なのに、やるな琉銀!)
—値段はどうやってつけてるんですか?相場があるんですよね。
「値段は、ぜ〜んぶ感覚!自分は絶対にネットオークションとか見ないわけ。あれを見ると正しい価値判断できなくなるからね!でも、他の店より少し安めに値段付けてるよ。なんかね、他の店で自分とこのより安い値段がついてると悔しい。なぜかねぇ。」
(『あまちゃん』の駅長役、杉本哲太氏がつっぱっていた頃のレコード。)
—失礼ですけど、1日に何人くらいお客さん来ますか?
「うちはね、ヒマだよ!(笑)ただね、1回で2〜3万円買うお客さんがいるから成り立ってるんだよ。」
—そういえば、先ほどグラス買っていった方いましたよね。
「沖縄の清涼飲料水関係のグラスは70種類あるんだけど、あの人は67種持っててね。今日うちで買って、1種追加したみたいだよ。ああいった本当のマニアはこの店にお客さんが増えるのを嫌がるけど、店主としては当然増えて欲しいところだ!これ(取材)が記事になって、お客さんが増えるといいなぁ。」
(1970年、大阪エキスポのウィスキー。何が珍しいかって、)
(琉球政府の印が押されているのです。当時は他国からの酒の持ち込みと同様だったので、税関を通らないといけなかったんですね。)
—どうもありがとうございました。最後に何か一言。
「俺はコレクターじゃない!!!よく勘違いされるけど、店で眺めてるだけで十分だよ・・・。それとな、現代人は音楽をネットで買うだろ。あれは全くよくないよ。誰もが聞いてるものを、横並びで音だけ取り入れるなんて、感覚が鈍るし、アーティストを蔑ろにしてる。アーティストの作品であるCDやレコードを丸ごと買って、飾るのがアートだよ。ジャケ買いは自分の間隔を研ぎ澄ませてくれる。もちろん、失敗もあるけど、それが本当の楽しみ方だと思うよ。」
締めとして、共感できると同時に、戒めに近いお言葉をいただきました。
これからも、そこにあり続けるであろう、てぃだ・ボーイず
いかがでしたでしょうか?店主が誇る、沖縄一マニアックな骨董屋、てぃだ・ボーイず。
陳列されている商品から、一瞬小さなマン○倉庫かと思ったのですが、目に飛び込んでくるものは、戦後沖縄の歴史を今も伝える多種多様な珍品・奇品ばかり。
私は某テレビ局の鑑定番組が大好きなのですが、そんな人間の好奇心を強く刺激してくれます。まるで、少年時代の大切な宝箱のような店なのです。
さて、DEEokinawa読者のみなさんなら、きっと興味津々ですよね?ぜひ1度、てぃだ・ボーイずに足を運んで、沖縄んレトロマニアックの世界に浸ってみてください♪
場所:地図参照
営業時間:14時〜23時、不定休
ゲストライター
- 牧
- いいオトナなのに、未だ少年の心が原動力の三十路過ぎ。『面白いことは骨の髄まで味わいつくす』をモットーに、休日はオモロー求めて沖縄を駆 け巡る。その模様は、「おきなわバカ(仮)」にて、やや毎週末更新中。