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映画が好きな突貫小僧ってどんな人?
野外上映はなんだかワクワク
「突貫小僧」という名前をみなさんはご存知でしょうか?
雑誌や新聞の映画情報や映画のレビューなど、県内のいろいろな紙面でよく見かける名前です。
その突貫小僧がなにやら野外上映会を行うという情報を得たので、会場へ行ってきました。
会場はゆいレール美栄橋駅前です。野外上映ってなんだかワクワク。小学校の夏休み子ども大会とかね、野外で映画ってなぜかテンションがあがりますよね。
夕方会場へ着くと、準備で忙しく働いている人の姿が。
事前に調べたところによると、このイベントは「ブックパーリーNAHA2013」の関連イベントとして企画されたようです。
で、いったいどの人が突貫小僧?
この人でしょうか? 小僧というにはずいぶん貫禄のある。。。
いえ、こちらはその日上映する映画「探偵事務所5 マクガフィン」の監督である當間早志さん。
探偵事務所5マクガフィンは藤木勇人さんや、洞口依子さん、津波信一さんが出演している活劇映画です。
夜もだんだん更けてきて、いざ上映開始。
数十分も前から待っていた人や、通りすがりの人などたくさんのお客さんで溢れていました。
で、映画、めっちゃ面白かったです。野外でみる格別感もあって楽しかった~!
もっと野外上映してくれるとうれしいなあ、なんて考えながら作業のお邪魔をするのも悪いので、その日は映画を観て後日お話を聞くということに。
会議にお邪魔した
上映会からしばらく経って、お招きいただいたのは那覇市内某所。
突貫小僧さんのアジトというか、映画に関するたくさんのものがあってさながら部室のようです。
この日は突貫小僧の会議があるというのですが。
えーっと、どなたが突貫小僧?
ずーっと気になっていた「突貫小僧」という名前。
今日その正体が明らかになるのでしょうか。
思いつくままにインタビュー!
- 突貫小僧って誰なんでしょうか?
突貫小僧というのは、もともとは5つの映画サークルが元になって結成された映画サークルなんです。
名前は昔の名子役青木富夫(突貫小僧)からの命名です。創設当初、ちゃんとした名称が必要だということで、初代メンバーの一人が提案したところ、一発で通ったそうです。
「突貫小僧」といえば、映画ファンの間ではそれぐらい有名で、小津映画の代名詞ともいえる存在です。
特に『生れてはみたけれど』は、現在、日本のみならず、世界的な評価を受けています。
また、子役の後も小津監督とはつかず離れずの親しい関係を終生続けていたそうです。
他の子役に青木放屁(突貫小僧の弟)と爆弾小僧もいますが(アメリカ小僧という子もいたとか)、映画『突貫小僧』の大ヒットを受けての二番煎じ、三番煎じなので、格が違いますね。
また、「突貫小僧」自体のキャラクター(オフィシャルもプライベート)も愛されています。
大人の言うことを聞かず、好き勝手に遊び回り周囲を翻弄させる。けれどどこか憎めない…。
名付け親のメンバーさんがそこまで考えていたのかは分からないのですが、僕はそんな突貫小僧が大好きです。
実は突貫小僧として一世を風靡した青木富夫さんにお会いしたことがあるんです。その際インタビュー撮影も行ったのですが、江戸弁の口調が気持ちいいおじいちゃんでした。残念ながら、その直後に亡くなられてしまいました。なので青木さん最後の映像は僕たちが持っているんですよ。
- ずいぶん前からお名前を見かけますが。
結成は1988年で、去年2012年にNPO法人になりました。
- メンバーと活動内容は?
現在活動している主なメンバーは7名ほど。臨時に参加するメンバーも含めたら10名を超えます。
週3回夜に集まっています。
会議中に合同誕生日会をやることも
前に見に来てもらった上映以外にも様々な事業をおこなっていて、 たとえば、映画製作もしているんですよ。
8ミリ長編映画『はれ日和』('88年)を製作したり。8ミリながら映画館で一般上映を行い話題を呼びました。渋谷のユーロスペースでレイトショーもやったんですよ。
エポックメイキングな作品としては35ミリの商業映画『パイナップル・ツアーズ』('92年)にも関わっています。
本作で監督をつとめた3人は突貫小僧を立ち上げた方たちですし、スタッフにも多数メンバーが参加しています。
1999年には俳優の別所哲也さんが立ち上げた「アメリカン・ショート・ショート映画祭」('99年)の沖縄開催にあたって、運営母体になりました。この映画祭にスタッフとして関わったことで、映画業界に進んだ人間も少なくありません。
古本市の準備
沖縄映画ポスター展準備風景
沖縄の映画についても聞いてみました
- 沖縄を舞台にしたオススメ映画を教えてもらえますか
『ソナチネ』
こちらも北野映画。脚本段階のタイトルが「沖縄ピエロ」だったということから分かる通り、ゴダールの影響を強く受けている。白い砂浜の上でヤクザたちが延々、子どものような遊びを繰り広げる様がおかしくも何故か哀しい。北野武が死に強く魅せられた時期に撮っていた作品。
『八月十五夜の茶屋』
終戦直後の沖縄を舞台にしたハリウッド製コメディー。あの名優マーロン・ブランド(『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネ!)が、つり目出っ歯のウチナーンチュ青年サキニに扮しているのはご愛敬。
奈良にオープンセットを作って撮影するなど珍妙な沖縄に溢れている。けれど民主化の指導者然とする米軍将校やしたたかに立ち回る住民をアイロニーたっぷりに描いたり、今の沖縄に通じる風刺性が新鮮。
- こんな風に映画を見るとおもしろいというのはありますか?
映画で撮影されている場所を探すのも面白いですよ。
実は、2013年の沖縄国際映画祭に突貫小僧も参加。「ウチナー映画ロケ地巡りの旅」と題して、映画の上映後に、スライドショーとトークを駆使して、現在のロケ地を紹介したんです。満員のお客さんはもちろん、ゲストとして登場したバッファロー吾郎さん、ペナルティのワッキーさん、出雲阿国さんも食い入るようにご覧になっていました。
- 突貫小僧さんは沖縄の映画館にも詳しいと聞いたことがあるんですが
沖縄県内、特に那覇市のメインストリートは映画館にちなんで名付けられた場所が多いんです。
国際通りは「アーニーパイル国際劇場」から。
平和通りは「平和館」から。
沖映通りは「沖映本館」から。
桜坂は、「珊瑚座」(桜坂琉映・桜坂劇場の前身)の館主が桜の木を植えたことから名付けられています。
那覇市以外にも糸満の新世界通り、うるま市の琉映前バス停など、各地に点在します。
かつて、終戦から復帰にかけて、沖縄には三桁にのぼる映画館が存在しました。
それについては沖縄屈指の映画興業研究者・山里将人先生(山里外科院長)がずっと調べておられて、『アンヤタサ!―戦後・沖縄の映画1945‐1955』(ニライ社)という本としてまとめられたのですが、ある日、先生から私たちに「自分もそろそろ先が無いから、あとはお前らに任せた」と大量の資料を任せられたんです。それ以来、図書館で当時の新聞、文献、地図を調べたり、実際に映画館が存在した場所に出向いたりと地道な調査を続けています。
現在、その成果は、私たちのwebサイト「キネマ探偵団onWEB」の中のコンテンツ「沖縄映画興行伝説」にまとめられています。開館年度や地域で調べることのできるデータベースとなっています。
読んでいくうちに、戦後沖縄の発展の経緯が映画館を通して分かるので、映画に詳しくなくても十分面白いですよ。
「映画が好き」なら突貫小僧になれる
現在、突貫小僧のウェブサイトで、『木曜キネマ探偵團』『金曜キネマ探偵團』というトーク番組をそれぞれ月に一回USTREAMで生放送しています。突貫小僧のメンバーのゆる~い感じがなかなかステキな番組で、過去の放送も見ることができます。
Ustream配信中
突貫小僧の活動方針をズバリ一言でいうと?という質問には
「県内で映画に関することをすべてやりたい」という応えが返ってきました。
今まで映画に関する執筆や企画、上映や実際の映画の製作など幅広い活動を続けてきておられますが、新たな映画の製作も視野に入れているということで、長い歴史と地道な活動が大きな実を結ぶ日もそう遠くないかもと思いました。
平良さんからも「突貫小僧に入れば、映画を通して、文章の書き方、写真や動画の撮り方仕事に関するいろんなことを学ぶことができますよ。ただし、受け身じゃなくて、あくまで積極的な姿勢が必要です。学校じゃないですからね。やる気と根気があれば、映画業界はもちろん、クリエイティブな道が開けると思います」とワクワクしてしまう言葉をいただきました。
週に3回の集まりには、毎回絶対に参加しないといけないということでもないそうです。
なにより自主的に集まる映画サークルで、これだけ長い間続いているっていうだけでもすごいことだと思います。
メンバーの中には結成年の1988年生まれの人もいるそうですよ!とっても広い年齢層に驚きました。
メンバーになる資格ですが、「映画好きであればOK!!」なのだそうです。特に映画マニアである必要はないそう。平良さんいわく「僕も映画に詳しくない」そうです。
ちょっと真面目な大人の部活。
映画好きな人、興味がある方はぜひウェブを覗いてみてくださいね。
NPO法人「シネマラボ 突貫小僧」 キネマ探偵団onWEB
http://tokkan-kozo.com/
「沖縄映画上映キャラバンin座間味」開催
最後にお知らせです。
突貫小僧さんと沖縄フィルムオフィスさんがタッグを組んで、座間味島で映画上映会をやるそうです!
座間味はホエールウォッチングもはじまっている良い季節。予定が合う方はぜひ足を運んでみてください。
沖縄映画上映キャラバンin座間味
マリリン誕生秘話
~小さな記事から大スクリーンへ〜『マリリンに逢いたい』『愛と藍』上映会&トークショー
上映・トークショー
平成26年1月22日18:00開場
座間味村離島振興総合センター(定員約100名)
パネル展
平成26年1月16日〜2月16日
座間味港ターミナル