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沖縄御朱印ハンター~後編~
御朱印を巡る旅は、まだまだ続く。
前編からの続きになります。
琉球八社とは主旨の異なる神社へ
8:護国神社
奥武山公園にやってきました。
園内には3つの神社があるそうですが、まずは確実に御朱印がいただけそうな護国神社を目指しましょう。
護国神社の由緒について。
護国神社は大きな神社ですが、琉球八社には数えられていません。それは護国神社に祀られているのが熊野権現ではなく、日清日露戦争から先の大戦までの間に戦争で亡くなった沖縄出身者及び、沖縄戦で亡くなった本土出身者(通称、英霊)だからです。
こちらで祀られている御霊は、最近巷を騒がせている靖国神社に元々祀られていたそうですが、沖縄の民の強い希望により、靖国神社からこちらに移されたそうです。
ということは、靖国神社には先の大戦で亡くなった方々は祀られていないということでしょうか!?どういう扱いになっているのか気になるところではあります。
- 護国神社に奉納されている提燈。個人もあれば、
- 企業もある。献灯料は1つ5,000円。いくつでも献灯可!
- 平和を願う神社らしく、鳩を掲げる少女(だよね)の像。
- 負傷した兵士とその妻の像。目に入るもので護国神社を最もよく表しているものかもしれません。
旗の奉納。風が強く、キィキィと金属の擦れる音が聞こえます。夜はちょっと不気味かもしれない・・・。
拝殿まで来ました。
あいにく雨が降り始めて、参拝する人たちも大変。
あ、御神体!?お祀りする存在が違うとは言え、御神体は変わらず鏡のようです。
- 投げ込まれた1万円札に、私の意思とは無関係に指がシャッターを切ってしまいました。今お祓いを受けたら、存在自体が消滅しそうです。
- 旧年の縁起物や御札。こちらは神社なので、神道以外のもの、数珠なんかは入れてはいけません。ここ、テストに出るよ!
参拝したので御神酒をいただきますが、ジーマが御神酒を提供って・・・あの「ZIMA」しか出てこないんですが、御神酒がシュワシュワとか!?おお、新しいやんか。
そんなことはなく、当然日本酒でした。淡い期待に利子つけて返して。
この時期よくある、くくる場所違えられてるおみくじたち。
さて、窓口にやってきました。
しかし、この1年間で最も忙しい時期に御朱印なんていただけるんでしょうか。誰も手を休めることなく動いています。私なら空気の読めないやつだと突き帰してしまいそう・・・。
「あの・・・御朱印いただけないでしょうか?」
巫女さん「ハイ、こちらに来てね~!」
威勢のいい巫女さんに御朱印帳を渡し、生暖かい雨空の下、待つこと約10分。
「ハイ、こちらね!社報も見てよ」
ありがとうございます。それでは拝見いたす。
てやっ。。
・・・。
伝わりづらいですが、文字が斜めってます。
私の駄文字よりは数倍綺麗であることは事実なんですが・・・なんだろう、京都の御朱印を見慣れているせいなのでしょうか・・・。
そうですよね、忙しいんですよね!
むしろ、このくっそ忙しい中、いただけたことに感謝するべきでしょう。
宮司さん、護国神社の神様、小娘にお手間を割いていただき誠にありがとうございました。(もう一度言いますが、神様の分身をいただいてます!)
さて、次行きますか。
美しの神社、現る。
9:沖宮
続いて護国神社のほぼ裏手、プールの真後ろにある沖宮(おきのぐう)にやってきました。
琉球八社の一角ですね、期待。。
参拝路入り口のお出迎え。歴史ある神社も世の流れには逆らえないってことでしょうか?
気を取り直して、と・・・
あら~、かわいらしい。
ちょっとこちらの神社、すごいですよ。何がすごいって、
拝殿までの参拝路に飾られた観葉植物に、ラン。
- 別の参拝路は花文字で作られてる。左は何かと思えば、馬!かんわいい。
- こちらは文字で、午。一見、牛かといつも勘違いします。もう30年以上日本人やってるのに。
竜神の滝と銘打った植え込み。南部農林高校作とあります。
手水場がすごい!なんて美しいんだろう!!まさに芸術作品。
ところでこちら沖宮ですが、他の寺社と同様に大戦で消失したのですが、神託でこの場所に祀られることになったそうです。
こちらも賑わってますね。参拝いたしましょう!
年配の巫女さんがいますのでさっそく御朱印について尋ねると、ありますとのこと。うん、いい流れだ。
書いていただいている間に、この神社らしからぬ花きの飾りつけについて伺ってみました。
少し前に南部農林高校の花き展示会があり、そこから寄贈があったものと、この新春のために特別にあつらえてもらったものとあるそうです。
毎年なのかと思ったら、なんと今年からとのこと!なんでもそうですが、"初"との遭遇は嬉しいものです。
「ところであんた、どこから来たね?」
移住のないちゃーだと知れることを回避したい、そして観光客と思われているから優しくしてくれているのだろうと瞬時に判断した私は、
「高知からです!」
と、とっさに口にしてしまいました。
が、他社の破魔矢を手にしているし、御朱印帳に12月の成田山や普天満宮の御朱印があるし、高知の御朱印は1つもない。すぐバレますね。つまんない嘘ついたな~と、即後悔。
車両の無料お祓いがあるそうです。新春の大盤振る舞いですね。
「はい、できましたよ。」
いつもそうなんですが、この瞬間はドキドキもんです。
それでは・・・
初めて細身の文字の御朱印をいただきました。これまでは感じたことのない、繊細さを感じます。
よくよく見ると、右2行と左2行で筆跡が異なるような気もするのですが・・・!?気のせいでしょうね。
立ち去り際、巫女さん二人に声をかけられました。
「沖縄観光楽しんで行ってね~~。」
うわ~~ん、ごめんなさい!!!
沖縄にある、大物神社
10:出雲大社沖縄分社
マックスプラス古島店のお隣にやってきました。
マックスプラスは何度も来たけど、初めてです出雲大社。
非常にざっくり説明します。
神社で祀られている神様の系統は二つあります。琉球八社はアマテラス大御神を祖とし、ニニギノミコトを頂点とする、「天津神」の系統を祀る神社。そしてここ出雲大社は、スサノオノミコトを祖とし、オオクニヌシノミコトを頂点とする「国津神」の系統を祀る神社です。
私が見てきた様子だと、沖縄は天津神の系統の神社が圧倒的に多いような感じがしますね。国津神の系統はここが初めてです、何か違いはあるのでしょうか?
- あら、かわいい。お出迎えの獅子(♀)が子獅子を抱いてる。福州園の入口にもいます。
- ぬ!?鳥居がない!相当規模の神社なのに、なぜだ。
拝殿に着きました。出雲大社のシンボル的な、ごんぶとなしめ縄もあります。
まずは、参拝から・・・
「出雲退社のお参りは、二礼四拍手一礼です」
これまでの神社は二礼二拍手一礼でした、ここは大きな違いです。しかし、拍手四回はちょっとくどくないですか、オオクニヌシさま。
拝殿奥。この写真では見えないんですが、鏡が安置されてました。全国的に見ると、御神体はバリエーションが豊富なんですが、沖縄はほとんどが鏡のようです。何か理由がありそうですね。
- 神様の系統が違うので、ここだけに参拝される方もいるかもしれません。
- さて、いざ御朱印に参る!!ここにないはずが、ない。
「御朱印いただけますか?」
なんだか右往左往している宮司ではなさそうな初老の方がやってきて、御朱印帳を受け取り、写真の宮司さんに渡します。(宮司さん、絶対寝てた)
巫女さんは御朱印を見たことがないのか、宮司さんが用意を始めると、興味深そうにじっと視線を注ぎます。
すると初老の男性、
「見ちゃダメだよ!」
そうなんです、これまで御朱印をいただいた時は絶対に誰かが見ていることはありませんでした。そして、書いていただく最中の写真撮影はNGです!残念!!
「はい、どうぞ。」
ありがとうございます!!それでは・・・
おお、綺麗な字体でかつ読みやすい!京都でいただいた御朱印は達筆すぎて、後日どこでいただいたのか分からなくなるものが多いのですが、これならそんな心配も不要ですね。
そして、「出雲大社」の文字と、「沖縄分社」の文字が異なる筆で、大きさを違えて書かれています。分社ならではのしたため方ということでしょうね。
「ところで、どちらから観光に来てるの?」
う~ん、カメラぶら下げて御朱印集めてると、どう転んでも観光客にしか見えないみたいですね。沖宮の反省をもとに、素直に那覇に住んでいることを伝えました。
なんだか驚いた顔をされたので、そそくさと退散です。すみません。。
長い旅も、ついに佳境へ・・・
11:護国寺
こちらは那覇市辻の護国寺です。
弘法大師こと空海開祖の真言宗のお寺。
護国寺と護国神社って、漢字同じだし何か関係がありそうですが・・
護国寺は、仏教が伝来した頃当初の目的である、『仏教により国を安泰に導く』ことを目的に建立されています。というわけで、現代の英霊供養を目的とする護国神社とは全く関係ありません。
鬼の形相の阿吽の像・・・と、子供のよだれかけの組み合わせ。謎。
- 水子地蔵。先ほどのよだれかけはそういう意味でしたか。
- ちょっと公の施設の香り漂う造り。
鎮護国家の勅願寺?沖縄で一番大きなお寺なのでしょうか?1368年って結構歴史がありますね。
拝殿の御本尊。かなり煌びやかにお祀りされていますね。
友達が出産の時、お世話になったそうです。お礼に私も参拝。
さて。
忙しい中、縁起物売り場の巫女さんにおずおずと一声。
「御朱印、いただけますか?」
「はい、下で承っておりますよー」
ああぁぁりがとうございます!!
少し年配の女性がしたためた御朱印が、こちらです。
あ!沖縄の寺社の中では飛びぬけて達筆!しかもちゃんと読める(笑)。私の中ではかなりの高ポイントです、素晴らしい。。
というわけで・・・隣、行きますか。
ついに辿り着いた、約束の地
12:波上宮
各所を飛び回った寺社巡りも、ついに終着点に。御朱印ハンターの締めくくりは、やはり『なんみんさん』こと、波上宮。信仰の厚さと元日初詣の込み具合は、沖縄随一。
三が日は、出店のテントで鳥居の全容が見えぬ。
- 手水場大混雑。
- いざ、参拝なり!
「まず感謝・次に誓願 心静かに祈りましょう」
お賽銭しても、お願いだけはだめですよ!
この寺社巡りでしてきた願い事は全て同じ、「たくさんの人を喜ばせることができますように」。今年はそんな気分です!
- 私も音のしないお金を投げられる身分になってみたい。
- うかれすぎて、人生初破魔矢。
- おみくじ大セール中。
- そのおみくじを結ぶ場所は、非常に合理的な設計らしい・・。
おみくじは小吉でした。好きなことに集中しなさい・・って、それしか取り得のない人間です。いつもどおりやってれば幸せが歩いてやってくるんですね、それはステキ!
よっし、社務所に突撃だ!
「御朱印ください。」
ありますか?と聞かないあたり、そこは波上宮。それどころか先客が2名もいたのです!沖縄で自分以外の御朱印集めしている人を見たのは、最初で最後ですね。
御朱印を待つ間、社務所の中をしばらく見ていたのですが。
寄与されたものを陳列しているショーケースの中に、近所から掘り出したような岩石。しかも、2個。
今とあまり変わらない明治時代の波上宮。拝殿前にドドンとはためいている日の丸が、当時の政治的思惑を感じさせます。
やはり波上宮も先の大戦で壊滅的な被害を受けたのですが、鳥居と燈籠がなぜか綺麗に残っている不思議。ご神体は、当時の宮司さんが惨禍の中持ち出して逃げたそうです。
時間かかりそうなので、外にでてきました。社務所の入り口にあしらわれている龍。よく見ると4本爪。昔、中国では龍の爪はその格を表していたそうで、中国皇帝は5本爪の龍、琉球国王は3本爪だったそうな。
- 拝殿手前にある、小さな世持神社。奥武山公園にもあるんですが・・?
- 同じく世持神社と並んでいる浮島神社。浮島とは、昔の那覇の呼び名。
「お待たせしました~」
20歳そこそこの若い巫女さんから御朱印帳を受け取り、オールアップ!
北は金武まで足を延ばした旅が、今ここに、幕を閉じたのだ。
正直、長かった。
拝殿前で記念撮影。それでは。
非常にシンプル!格の高さも一番なら、御朱印の作りも一番シンプル。シンプル・イズ・ベスト、ってことでしょうか?
しかし、『沖縄総鎮守』のスタンプが、他の神社との差異をバシっと表していますね。さすがなんみんさんは、格が違った。
うず高く積まれた、去年までの縁起物やお札。神社の方、脚立に乗ってます。それだけたくさん、あるのです!なお、15日の10時からお焚き上げがあったそうな。おお、さぞ圧巻なことだろう・・仕事サボって見に来てみようかな。
さて、御朱印ハンターの締めとして、どなたかにお話を聞いてみたいものです。神主さんや宮司さんは、神事や交通整理(!!)で忙しそうなので、こちらの脚立に立ってる方に少し話をうかがってみました。
―波上宮と、他の七社との関係性について聞かせてください
「琉球八社は熊野権現をお祀りしている神社です。波上宮は一宮(いちのみや、沖縄の中で最も社格の高いとされる神社)として、他の七社を総括しています。」
―神主さんがいない神社もあったようなのですが
「沖縄で常勤の神主がいるのは波上宮、沖宮、普天満宮、宮古神社、それと八社じゃないけど護国神社の五社だけなんだよ。天久宮にもいるんだけど、他に仕事をしながら神主をしてるね。」
―そういえば、識名宮のお社の引越しに来ていたのは、普天満宮の神主さんでした
「常勤の神主がいる神社は、他の神社の兼務もしてるんだよ。普天満宮が識名宮を、うちは末吉宮、安里八幡をね。宮古神社も人はいるんだけど、ここもうちが兼務してるよ。」
―こちらの拝殿の手前に、小さく浮島神社、世持神社がありますが
「この2つもうちが兼務してる。浮島神社はアマテラス大御神を祀ってて、世持神社は野國総官、儀間真常、蔡温の三大恩人を祀っているよ。」
―世持神社って、奥武山公園にありますよね?
「なぜ別々にあるかは詳しく分からないんだけど・・あちらの神社で神事を行う祭には、こちらの世持神社から御神体を持っていくよ。」
―お忙しいところ、どうもありがとうございました。
そして御朱印を巡る旅は、まだまだ続く・・・
さて、初めての寄稿ながらいきなり2本立てだった御朱印ハンターでしたが、いかがでしたでしょうか?
最初は御朱印をいただくことを目的に始めた寺社巡りでしたが、気づけば沖縄の神社のことを随分勉強してしまってました。御朱印も、たくさん集まりましたしね!
しかし、沖縄で御朱印がいただける場所は今回紹介した寺社だけではないはずです。宮古島の宮古神社や石垣島の桃林寺も、御朱印の有力候補です。これからも折を見て、巡っていこうかと思います♪
これだけ参拝したんだから、今年は誰もが羨むほど幸福な1年になるか、逆に神様仏様がケンカして悲惨な1年になるか、どちらかでしょう。
ところで。
みなさん、寺社はもうお腹一杯ですか?
実はこれ元々は自分のサイト用の企画で、もっとたくさんの寺社巡りをしております。蓋を開ければあらびっくり!という展開は、金武宮だけではありません・・・。
というわけで、長すぎるという理由で今回こちらに載せられなかったものも併せて、私のサイトに掲載する予定です。もしよろしければ足を運んでみてくださいね♪
ゲストライター
- 牧
- いいオトナなのに、未だ少年の心が原動力の三十路過ぎ。『面白いことは骨の髄まで味わいつくす』をモットーに、休日はオモロー求めて沖縄を駆 け巡る。その模様は、「おきなわバカ(仮)」にて、やや毎週末更新中。