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新垣菓子店さんと挑む巨大ちんすこう作り
次は大きなちんすこうだ!
みなさん、ちんすこう食べてますか?
ご存知だと思いますがちんすこうは琉球王朝時代から作られている沖縄の伝統的なお菓子で、サクサクの食感と口に広がる甘さが美味しいですよね。
最近は小さいものや、変わった味のちんすこうも販売されていますが、わたしは以前から思っていたのです。
次は巨大化だ!!と。
だって小さいものが大きくなると、それだけでワクワクするじゃないですか。
それにちんすこうの細長くギザギザのかわいい形も大きくなればもっと面白いと思うのです。
今回はそんな私の夢をウチナー紀聞のロケに際して提案したところ、なんと老舗の新垣菓子店さんが叶えてくれるというのです。
新垣菓子店さんへ
新垣菓子店さんは創業1932年、80年以上の歴史をもつ老舗中の老舗です。
気持ちが変わってしまわないうちに、南城市玉城にある工場へ急いでやってきました。
工場の隣には店舗があり、カフェも併設されています。
工場に入らせてもらうので着替えました。
老舗なので「ちんすこうの伝統をどう思っているんだ!」と怒られたらどうしようかと思っていましたが、迎えてくれた副工場長の安谷屋さんの表情に驚きました。
ものすごくやる気に満ち溢れていたのです。
聞くことろによると大きなちんすこう作りに燃えまくっているそう
ちなみに安谷屋さんはちんすこうを作り続けて40年の大ベテラン職人さんです。
意気込む安谷屋さんと、予想外の出来事に気圧される私
分量に驚く
安谷屋さんの指揮の元、大きなちんすこうを作ります。
最初の行程は通常のちんすこうを作るのと同じく、材料を混ぜて生地を捏ねます。
左端にある計量カップが小さいのではなく他のボールが大きい
材料は小麦粉と砂糖とラードと重曹。
これで1個分のちんすこうの分量だそうです。
大きなちんすこうを作ってほしいとお願いしたのは我々ですが、安谷屋さんはいったいどれぐらいの大きさを作ろうとしているのでしょうか。
この分量からも安谷屋さんの本気度を知り、改めて気を引き締めました。
すべての材料をミキサーに入れて混ぜます。
巨大ちんすこう作りへ
さて、ここからが本格的な巨大ちんすこう作りです。
通常は機械によって混ぜた材料をシート上に伸ばし型抜き機でちんすこう型にくり抜くそうですが、巨大ちんすこうはいつもの機械ではできないので同じ作業を手作業でしないといけません。
ちなみに、大ベテランの安谷屋さんも巨大ちんすこう作りは初めてだそうなので、ここからは職人の勘だけが頼りの未知のゾーンに突入です。
作業台に案内してもらうと、今回のために作っておいたという木枠がありました。
安谷屋さんの本気その2
木枠に先ほど混ぜた材料を詰めていきます。
ここで隙間ができると壊れやすくなると思うので注意してほしいとのことです。
せめてものお手伝い
ローラーで平らにします。
生地がデコボコのままだと焼き上がりにムラが出るそうです。
巨大ちんすこうのシートができました。
大きさのわりに薄いような気もしますが、これ以上厚くすると焼いても火が通らないので美味しくないだろうとのことです。
安谷屋さんは「大きさだけでなく、どれだけ美味しくできるかが重要だ!」とおっしゃっていました。
ちんすこうへの熱き思い。カッコいいです。
そしてまたこの日のために手作りしていただいたというちんすこうの型紙が登場。
安谷屋さんの本気その3
ちなみに型紙の大きさは、後ろにあるオーブンに入るギリギリの大きさに作ったそうです。
オーブンがもっと大きければ、さらに大きなものを目指していたのでしょうか。
型紙に沿って切り込みを入れます。
うまく切れましたが、これなに?と言われたら迷います
正直型紙に沿って切ってみても、いまいちちんすこうぽっくないのです。
そんな私の顔を見ると、安谷屋さんはにやりとして道具を取り出しました。
安谷屋さんの本気その4
ちんすこうギザギザカッター!
もちろん今回のために安谷屋さんが手作りしたそうです。
どこまでも本気すぎます。
安谷屋さんの話によるとちんすこうは琉球王朝時代から食べられてはいたものの、当時は貴重なお菓子で王族や貴族しか口にすることができなかったそうです。
形も今とは違い菊の花形をしていて、1つ型を作るのに2分ぐらいかかったそう。
当時の木型で再現されたちんすこう菊型。型を取るだけで1個2分かかる
それを新垣菓子店の先代が、アメリカ基地で使われていたクッキーの型を使って大量生産ができるように改良しました。その結果、ちんすこうは誰でも気軽に食べられる、親しみやすいお菓子として広まったそうです。
伸ばしたシートに型を押し付けて大量生産できるようになった。一瞬で20個生産できる
ちなみにギザギザにしたときと、まっすぐなままと味や焼き加減は変わるか質問したら、「特に変わらない」ということでした。
味は変わらないけれど巨大ちんすこうにもギザギザを。それが職人のこだわりというものなのでしょうか。
焼きます。
通常は30分ぐらいですが、今回は大きいので50分ぐらい焼いてみるそうです。
うまく焼けますように。
巨大ちんすこうができた!
そして50分後。
釜から取り出すと、見たこともないちんすこうが!
わぁ!
下にあるのは通常のちんすこう。
ちんすこうなのに、ちんすこうの大きさじゃない、でもちんすこう。
脳が目の前の出来事をうまく処理できないような不思議な感覚です。
重さは2680g。
通常は1つ12gだそう。ということは普通のサイズの223個分!
長さは85cm。
通常は6cmなので普通のサイズの14倍!
さっきから普通のサイズが巨大ちんすこうの欠片にしか見えないのです。
味はどうなのか?
最後に安谷屋さんがこだわりたいとおっしゃっていた味ですが。
!!
美味しい!
ビックリしました!
大きいのに、食感はサクサクだし味もほんのり甘いいつものちんすこうなのです。
1人では食べられないちんすこう
職人すごい!すごいよ職人!!
販売決定か!?
美味しいし、見ていて楽しいし、売れそうなのでぜひ販売してください!と安谷屋さんにお願いしてみたところ、
「いや、大変だったからもう二度と作りたくない」
と即答されました。
・・・え。
たしかにせっかく先代が大量生産を可能にしたのに、巨大ちんすこうは1つ作るのに3時間ぐらいかかっていますもんね。 あと私はすごく美味しかったのですが、安谷屋さんとしては真ん中の焼きが少し足りないかなと最後まで職人の目で判断されていました。さすがです。
ということで販売はされないようですが、わたしは夢が叶って嬉しかったです。
※巨大ちんすこうは頼めば作ってくれるかもしれませんので、ご希望の方は新垣菓子店に問い合わせてみてください。
それから
さすがに2人で全部は食べられなかったので、巨大ちんすこうは昨年末に行った振り返りイベントに持って行きました。
残念ながら持ってくる間に割れてしまいました
大きすぎてどう食べていいのか戸惑う人たち
作ってもらってから10日間ぐらいたっていたのですが、時間がたってもとても美味しいと好評でしたよ。
新垣菓子店さん、安谷屋さん、ありがとうございました。
有限会社新垣菓子店
http://www.chinsuko.com/
新垣菓子店のちんすこうは県内のスーパーで購入できます。
また店舗は玉城の他、国際通りに2店舗、首里寒川に1店舗あります。