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ターイユシンジはどんな味なのか
食はクスイムン
最近沖縄もめっきり寒くなってきましたね。皆様お変わりありませんでしょうか?
これはイカスミ汁
沖縄ではなにか体調が悪いときに特定の食材を使った料理で体調を整えるという「食はクスイムン(薬)である」的な思想が残っており、例えば「ぜんそくにはアヒル汁」とか「体力回復にイカスミ汁」とか役割ごとに沢山のメニューが存在します。まさに「医食同源」というやつですね。
ほんのちょっとだったけどこの雑誌のライターしてた
で、この前そんな感じの本を読んでいたのですが高熱が出たときはターイユとニガナの煎じ汁「ターイユシンジ」が効くということが書いてありました。
ターイユとは直訳すれば「田の魚(イユ)」ということでギンブナのことらしいんですが、沖縄で川魚の料理って全然見たことがありません。ターイユシンジとは一体どんなものなのか…?味が気になる所です。
というわけで今回はターイユシンジを実際に作ってみるという記事内容です。
ターイユを求めて
まずはターイユシンジの材料となるギンブナの確保から。ターイユは沖縄の川には普通にいるらしいんですが、川に繰り出しても捕まえられる確証がありません。そこで、ネットで検索してみるとまだターイユを売っているお店があるらしいという情報を見つけました。
その場所はなんと牧志の公設市場の中。
- 今は観光スポットですよね
- 沖縄っぽい魚が並びます
市場の人に話を聞きながらターイユを売っているお店というのを探してみると
フナ、コイ、スッポン、うなぎのラインナップ
ありました…!きらびやかな熱帯の魚を売る鮮魚店からちょっと奥まったところにある、ここ「大城うなぎ店」は天然物の沖縄産の鯉やフナを扱っているこのあたりでは唯一のお店ということです。
- これがターイユ(フナ)
- こちらはクーイユ(鯉)
お店の前には特に魚が並ぶわけでもなく水槽が。水槽で泳いでいるのがターイユ(フナ)とクーイユ(鯉)です。ターイユを使った「ターイユシンジ」は高熱に、同じくクーイユもシンジの材料として使われるそうで、クーイユを使った「クーイユシンジ」はぜんそくなどに効くそうです。
天然物でなかなか入荷しないため、商品がないときもあるらしく、気になるお値段はターイユは1斤(約600g)で2000円。クーイユは1500円。鯉の方が安いのですが、一匹単位での購入になるためクーイユの方が必然的に高くなるとのこと。
あと、どちらのシンジにもニガナを入れるためニガナも販売しています(ニガナについてはこの前miooonが取り上げていましたね)。川魚の臭み取りみたいな意味合いもあるようです。
熱冷ましだけど大丈夫?みたいなことを聞かれました
お店の方にターイユシンジを作りたい、という話をして作り方を教えて頂きました。現在ではターイユシンジを作る人もほとんどいないのだそう。
ついでに自宅で作ってきたという「ターイユシンジ」を飲ませてもらいました。ターイユシンジの「シンジ」は「煎じ汁」という意味で、具や調味料は一切使われていません。一度シンジを取ったターイユは再び水を足して何度か煎じ汁を取ることができるんだそうで、これは四番煎じ。三番煎じくらいからはカツオ節を入れて風味をつけるのだそうで飲ませてもらったターイユシンジは薄いカツオだしみたいな味でした。
お店の方曰く、熱が出たら今は薬を飲んで直すが、昔はターイユシンジを飲ませることが多かったということです。今でも小さな子どもや妊婦さんは薬が飲めない時もあるので、そんなときはターイユシンジを飲んだらよい、とのことでした。クーイユはターイユより栄養が強いのであまり小さい子どもには飲ませない方がいいとのこと。
というわけでターイユを買います。内臓を取った方が臭くないらしいのですが昔ながらの作り方では生きたまま調理するらしいのでそのまま購入。
ターイユ二匹とニガナ一把で1800円。高いのか安いのかよく分かりません。
このやりとりを見ていたお店の隣の人が言っていたんですが、「昔は熱を出したらターイユシンジをしょっちゅう飲まされたけど苦くて魚臭くて嫌な思い出しかない」だそうです。…何だかちょっと不安になってきました。
ターイユシンジを作ってみる
事務所に戻ってきました。早速教わった通りにターイユシンジを作ってみます。
まずは鍋に水とニガナをいれます。
その中にターイユを
生きたまま入れて
火にかけます。
生きたまま入れる意味はよくわかんないのですが、昔ながらの製法は生きたままターイユをいれて煮るのが一般的なのだそうです。因みにクーイユも本当は生きたまま煮るのがよいのだそうですが、鍋ごとひっくり返される危険があるため三つに切ったものを入れることが多いそうです。
はわわわわわ…!
めちゃめちゃ暴れるので蓋をしばらく押さえておかないといけません。
しばらくすると流石に動かなくなるので弱火で煮込みつつアクをこまめに取っていきます。
30分ほど煮込んでできあがり。ちなみに味付ですが調味料は一切必要ないそうです。
ターイユシンジはどんな味なのか
さて、出来上がったターイユシンジ、早速味見してみましょう。
……。
…苦い。
想像していたよりも泥臭いとかはなくて、魚の汁がよくでてるんですが、いかんせんニガナから出た苦みが汁に染み渡っていて後味がものすごく苦いです。公設市場で飲ませてもらったやつはここまで苦くなかったのでニガナの量が問題だったんでしょうか?
今回は全然高熱が出てるわけでもないのでその効用はよく分からなかったのですが、ちょっとだけ元気になった気がしました。
というわけでターイユシンジを作ってみたというお話でしたが、いかがだったでしょうか?本当にこれで合っていたのか今でも不安ですので、もしも読者の方でターイユシンジを飲んだ事があるという方がいらっしゃったら是非ともお話聞かせてください。
いずれはクーイユシンジにも挑戦してみたいと思います。