いちゃがりがりの固さの謎に迫る

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DEEokinawaで何度か取り上げられている、沖縄で一番固いといわれるお菓子「いちゃがりがり」。このお菓子はどのように、なぜ作られているのだろうか。今回はその謎に迫ってみた。

沖縄で最も固いお菓子「いちゃがりがり」

皆さんは「いちゃがりがり」という沖縄の駄菓子をご存じでしょうか。

いちゃがりがりは沖縄県内のスーパーコンビニなどで販売されている駄菓子で、細いイカの芯に小麦粉の衣がついたシンプルな味わいが魅力の揚げ菓子です。そして、このいちゃがりがりの特長はなんといっても「固い」こと。DEEokinawaでもその固さに惚れ込んで

様々な企画を行ってきました。記事を見た方からの反響でも「固すぎて歯が欠けそうになった」「いちゃがりがりはマジで固い」など固さに関するご意見を多々頂きました。

そうなると「なぜこんな固いお菓子を作ったのか」「どうやったらここまで固くなるのか」「作っている人は何者なのか」あたりが気になる所だと思います。そこで今回はついにいちゃがりがりの製造を行っている新里食品さんに行ってきましたのでいちゃがりがりとその固さの謎についてその真相を詳らかにしていきたいと思います。

 

ここがいちゃがりがり工場だ

というわけでやってきたのは宜野座村惣慶にある新里食品。

そしてこちらが、いちゃがりがり職人の新里敏郎さん。まずは基本的ないちゃがりがりについての疑問について質問してみました。

 

― 「いちゃがりがり」はどれくらい昔からあるお菓子なのですか?

そうですね。もう47年くらいですね。もともとは浦添市の屋富祖で、うちのお袋が作っていてね。宜野座に来たのは13-14年くらい前のことかな。

― 「いちゃがりがり」のネーミングは?

そのままだよ(笑)。いちゃ(いか)をがりがりするから、「いちゃがりがり」。このネーミングは僕がつけました。

― 「いちゃがりがり」って固いじゃないですか。なぜあんな固いお菓子が生まれたんですか?

話はそんなに詳しく聞いていなかったんだが、最初はスルメのゲソを天ぷらみたいに揚げて売っていたんだよ。そのときは4,5日するとカビして(カビが生えて)売り物にならないということで返品が多かったらしい。どうしたらいいのかと試行錯誤した結果、固くつくれば保存が利くということで固く作るようになったということだね。

 

というわけでまだ冒頭ですが、衝撃的な事実が判明。

「いちゃがりがりはもともと柔らかかった(天ぷら)」
「保存を効かせるために固くなった」

あの固さにも理由がきちんとあったのです。

 

いちゃがりがりのできるまで

続いて工場の中を見せて頂けることに。新里食品ではいちゃがりがりの他に塩せんべいや砂糖粉菓子なども作っているそうです。手前にずらっと並んだのがいちゃがりがり。左奥は塩せんべいの山、そして真ん中あたりがいちゃがりがりの製造ラインです。

それではいちゃがりがりのできるまでを順を追って見ていきましょう。

こちらは衣のタネ
細く切られたスルメ

いちゃがりがりの材料は小麦粉・水・塩でつくった衣と芯となるスルメ。

まずはスルメを衣に乗せます。小麦粉を練った生地は、かなりの粘りがあります。

スルメに生地を巻き付けて
油に投入していく

基本的な作業は細く切ったスルメに生地を巻き付けて油に入れていく形なのですが、単純なようでものすごい難しい作業なのだそうです。新里さんも跡を継いでこの仕事を始めて、見よう見まねでやってみたそうですが、まず生地が指から離れなくて困ったのだとか。

新里さんが巻き付けた衣。きちんと棒状になってます。

いちゃがりがりの芯になっているスルメは、もともとイカゲソの天ぷらだったころの名残で入れているらしいのですが、これまた意味があって衣を棒状に巻く際になにか芯がないと整形できないのだそうです。

油に入れた生地はまずは低温でじっくり30分。

その後、高温の油で30分揚げます。異なる温度で二度揚げするのがいちゃがりがりを固くするコツなのだそうです。あまり長く揚げていると当然焦げてしまうので、固さを保ちつつ、焦げないように油から上げるというタイミングが難しいのだとか。

約一時間かけて揚げあがり。この一連の作業は流れ作業ではなく基本1人で行うため、かなり長時間の立ち仕事。毎日7-8時間かけて約4000本のいちゃがりがりが作られます。

生地の固さや、油の温度、油から上げるタイミングなどは全て感覚で、その日に応じて細かく調整をしているとのこと。

揚げ上がったいちゃがりがりを冷やす
パッケージに詰める

揚げ上がったいちゃがりがりは油を切って、あら熱を取って、パッケージに詰めて商品になります。いちゃがりがりは上の写真の袋にはいった量販店用の商品と、駄菓子屋などに卸す100本入りのものがあるそうです。

ちなみに工場ではいちゃがりがりのバラ売りも行っていて、できたてのいちゃがりがりを1本10円で購入できるとのこと。できたてを食べさせてもらいましたが、スーパーなどで販売されているものより、サクサクです。…固さは変わりませんけど。

 

いちゃがりがりの固さにかける想い

作業の合間に新里さんにいちゃがりがり(主に固さ)についてお話を伺いました。

― いちゃがりがりって固いじゃないですか。固すぎる!みたいなクレームは入らないんですか?

いや。固いというクレームはないですね。むしろもっと固くしたらいいんじゃないか、みたいな意見はありますよ(笑)。この固さで顎が鍛えられる、ということで「虫歯の日」には宜野座村の学校給食で出されたりもしてますよ。

やってくる子ども達
1本5円。安い。

この工場でもいちゃがりがりの規格外商品を1本5円で売っていて、子ども達が毎日買いに来ます。

―パッケージにも「カタイ!」って書いてありますよね

もともとは一銭町や(駄菓子屋)に商品を卸していたのでパッケージなどはなかったんですが、スーパー、コンビニに卸すためにパッケージを作ったんですよ。そのときにパッケージに「日本一カタイ!」って書こうと思ったんですが、印刷屋さんに「それは無理」といわれて(笑)。じゃあ「すごくカタイ!」とかにしようと思ったんですが、結局「カタイ!」に落ち着きました。

―この固さは機械ではだせないんでしょうか?機械を使って量産化みたいなことは?

もうずっと47年くらいは製法も変えずに、材料もほぼ同じものをつかっているからね。ここから変えようとは思わないかな。他にもごまだったり何か別の材料を入れてみたらどうか、という意見もあるんだけどずっと同じものをつくることに意味があるのかな、と。

―最後に一つ。いちゃがりがりですが、ぶっちゃけ新里さんも固いと思って作ってますよね?

いや?自分はそんなに固いとは思わんね。もう、子どもの頃から食べてるから、そういうものだと思っているよ。

 

新里さんは全く固いと思っていない…!

・・・・

・・・

・・

ならば、固いと思っていない新里さんと、「いちゃがりがり早食い対決」だ!


(これTVの展開です。)

というわけで見て頂いた方もいるかもしれませんが、こちらの記事は先日放送された「ウチナー紀聞」という番組で放送された内容の一部なのです。そして、放送されずにお蔵入りになった部分もあるので、来週はそのあたりを後編としてお届けしたいと思います。

ご期待ください!

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