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沖縄の古い人生ゲームで遊んでみる
先日、沖縄県立図書館にて郷土資料を調べる用事があったのですが、その際にものすごい気になるものを見つけたんです。
- 「琉球の文化」という雑誌みたいな本
- こちらが誌面。複写してきた
それは1970年に刊行されている「琉球の文化」という雑誌なのですが、そこの投稿コーナーみたいな所に「沖縄の双六「聖人上」」なる記事が掲載されていたのです。
その記事によれば
・沖縄独特の双六(すごろく)に聖人上(シージンアガルー)というものがある
・日清戦争前に沖縄の歴史学者「東恩納寛惇」が遊んだ記憶があるらしい
・この記事を書いている著者(大正生まれ)はそんな双六があったこと自体知らなかった
・1700年年代に作られたものだと推測されるらしい
とのこと(「琉球の文化 第三号」 1973 琉球文化社 刊)。これはまぁやってみる価値があるんじゃないでしょうか。
- 県立図書館の貴重資料書庫
- 聖人上あった
この聖人上の原本は東恩納寛惇文庫の中に収録されており、現在は沖縄県立図書館の「貴重資料デジタル書庫」より閲覧が可能です。
これがA4用紙に印刷された聖人上のマス(「沖縄県立図書館 貴重資料デジタル書庫」より)。次項で一体どんなものなのか見ていきましょう。
これが聖人上だ
聖人上のスタートは「生」。ここからサイコロを振って、どんどん出世していって(各コマに書かれているのは役職らしい)最終的に最上部の「聖人」を目指します。
生の下に「死罪」という文字が見えますが、サイコロの目が悪いと最悪3ターンくらいでゲームオーバーになってしまうようです。
こちらがマスの上の方、ゴールの聖人のまわりには「賢人」「亜聖」「智者」などなんかもう役職でもないようなものが並んでいます。マスの下の方はあんまり役職が分からないものが多いのですが上の方は「按司」とか「泊地頭」とか割と聞いたことのある役職が並んでいるようです。
- 普通のサイコロにシールを貼る
- これがサイコロ
先に「サイコロを振って」とありましたが、聖人上で使うサイコロは「忠」「考」「徳」「仁」「悪」「盗」の6文字がそれぞれ書かれていたようなので、シールでそれぞれの文字を貼ってみました。
これで準備は完了。聖人上がいかなるものか、早速遊んでみましょう。
実際に遊んでみる
それでは実際に遊んでみましょう。対戦相手はmiooon氏。
コマは以前作ったピーナッツ人形を使いました。黒(パーントゥ)=たろう、黄(ミルク)=miooonです。それではゲームスタート!
ゲーム序盤
- ゲームスタート。第一投目
- 1発目は「盗」
いきなり「生」→「盗人」。先が思いやられます。
miooon氏は「考」を出し「御路地當」に。
- 二投目。「盗人」→「村佐事」に昇進
- 再び「考」を出したmiooonは動けず
長いので端折りながら紹介していきますが、スタートの「生」のマス以外は進める目が3つしか無いため、別のサイコロの目が出た場合はそこから動けません(公式ルールは不明ですがそういうルールにしておきました)。
そのためしばらくどちらも動けなかったり、という状況もしばしば起こります。
(miooon「銭御蔵大屋子」に出世)
また、最初の方は少し出世をしても
(「悪」が出ただけでさくっと「流罪」に)
サイコロの目ひとつで、すぐ死罪と隣り合わせに。
全然展開が読めません。
ゲーム中盤
(「宮古御蔵大屋子」に出世)
しかし、ゲーム中盤になってだんだん上の方(奉行クラスよりちょっと上)になるとちょっと悪い目(「悪」とか「盗」)が出ても、1マス戻るのみ。「流罪」とかに一気に戻ることはありません。
この時代では偉い人は悪いことしてもちょっと降格するだけで済むんですかね?ゲームだから?
ゲーム終盤
(たろう「仁者」、mioon「唐勢頭」)
ゲーム終盤になり、さらに上の方に行くと、もう戻ることもありません。ただ目が出なくて停滞するのみ。
そしてついにゴール手前(賢人)に…
そして
いやっほーい!!ヒャッハー!聖人なった!
というわけで結果はmiooon氏=「三司官」、たろう=「聖人」で終了。マスがマスだけに全然時間が読めませんでしたが二人だと大体30分程度で1ゲームができます。
歴史が分かればもっと面白いのかも
というわけで沖縄の1700年代の双六、聖人上は如何だったでしょうか。ちょっと出世しても「悪」や「盗」が出るとすぐ流刑とか「盗人」とかになってしまうところや、ある程度まで出世したらあとはエスカレーターな感じは割と人生ゲームみたいで楽しめます。
が、全然役職が分かりません。
歴史に詳しい方が、解説付きで商品とか出したら結構売れるのではないかと思うのですがいかがでしょうか?