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大山の田芋(ターンム)畑
宜野湾市大山は海と米軍基地で挟まれた土地。真ん中には国道58号線が通り、国道のまわりには軍払い下げの家具屋さんや外人住宅が並びます。
一見するとアメリカ風な地域ですが、58号を海側におりて行くと青々とした畑にぶつかります。
どーんと広がる緑色。
心がスカッと晴れる光景っていうのはこういう光景ですよね。
この広大な畑は大山の田芋(ターンム)畑。味が良いと評判な田芋は大山の特産品でもあります。
しかし、この田芋畑が年々縮小していることはご存知でしょうか。
大山田芋生産組合員の宮城さんにお話を伺いました。
サンキューファームの宮城優さん
昔は一面が田芋畑だった
―大山の田芋畑の話を聞かせてもらえますか?
ここは端から端まで約40ヘクタールっていう面積があって、昔はほとんど田芋畑だった。
畑の面積は昔から変わってないんだけど、耕作面積はたぶんもう30%あるかないか。確実に半分はもう稼働してなくて放棄地になっている。
昭和43年に宜野湾市内の農地を全面宅地に変えましょうっていう条例が施行されたのを知ってる?
真栄原のウージ畑がなくなって、長田の畑がなくなって、野嵩もなくなって、新しいところでいくと伊佐や宇地泊の湿地地帯も埋められた。あの辺もここと同じように田芋畑だったんだよ。
今は宜野湾市の大きな農作地はここだけしか残ってない。
―大山田芋畑はどうしていまは30%しか稼働していないのでしょうか?
10年前ぐらいに軟腐病という病気が流行ったんだ。どんなか、っていうと芋がアイスクリーム状なって食べられる状態じゃないわけ。
ここは肥沃な土地で40年以上連作でずっとできていた土地。連作できるってことは、すごく肥えた土地ってことでしょ。
でもそれが、農薬や科学肥料の大量使用で地力が落ちたんだと思う。
それで病気が広がってしまって、農業から離れていく人が増えた。それで放棄地が増えてしまった。
畑をやっていたのが年配の人が多かった諦めちゃったんだろうね。
病気が広がる前までは70%ぐらいは稼働してたんだけどね。
世代交代もできてなかったし、ここは何かあっても補助がおりてくる土地ではないので。
だからダメなときにはダイレクトにきちゃう。
宮城さんは大山出身。子どもの頃から田芋畑を見てきています
魅力のある農業
ー現在大山で畑をやっている人としては宮城さんが一番若いのですか?
組合員としてはぼくが一番若い。僕は34歳ぐらいではじめたから。
だから僕が若い人に後ろ姿を見せていかないといけないと、と思ってる。
農業は収入もあって、魅力がある仕事ということを伝えていかないと。
難儀は買ってでもやりなさい、というでしょ。でも農業は難儀な仕事ではあるけどちゃんと収入もありますよ、っていうことを見せないと。
若い人は魅力のある農業じゃないとやらないでしょ。
それにこれからの時代は、農業がとても大切な仕事になるよ。
ー大山で農業をやる一番の魅力はなんですか?
ここは湧き水がすごいからね。
他の土地は水にお金が出るけど、ここは湧いてくるから。
向こうのほうのガー(井泉)には女湯と男湯がある。村人のお風呂場だったし社交場だったんだろうね。
後でガーを見に行くと農業をやられている方が水で農具を洗っておられました
水量はおじいさんの小さい頃から変わっていないそうです
これからの田芋畑
ー農薬で地力がなくなってしまったということですが、回復傾向にはあるのでしょうか?
地力を回復させるには微生物が増えればいいんだよね。微生物が増えればどんどん生態系が回復してくる。
僕は小さい頃からここが遊び場だったからわかるんだけど、今はほとんどいないわけ。
一番珍しい田ウナギっていうのもいて、それはここで生まれてここで死ぬんだけど、昔は田んぼに足を入れるとブニュブニュっていっぱい足にあたったぐらい。
これはトンボ
ぼくの畑は化学肥料は使ってないくて自然栽培。生き物が増えていってるっていう調査もでてる。
僕もわかるけど、一番はカエルだね。自分が農業をはじめたときはいなかったよ。今はチラチラ見る。
田ウナギも最近は稀に見るよ。今年にはいって3回ぐらいは見た。
ーこのまま田芋畑を残すことは可能なんでしょうか?
いま宜野湾市は保全する方向で動いているんだけど、あとは土地を持っている人が残したいかどうかだね。
だから自分としてはイベントをして人を呼んで、いろんな人に知ってもらいたいと動いている。
全面残すことは難しいのかもしれないけど、もっと若い人を呼ぶためには生産から加工そして流通まで担えるようにならないと。
収入が増えれば若い人もそうだけど、土地を持っている地元の人も考えてくれるだろうと思ってます。
稲作の田植えをしよう
ということで、インタビューでも言われていたように、宮城さんの会社サンキューファームでは、那覇の浮島ガーデンさんと一緒に定期的に人を呼ぶイベントとして田んぼや畑の体験会などをおこなっています。
私も田植えがあると聞いたので参加させてもらいました。
宮城さんによると、大山は戦前は稲作地だったそうです。
しかし米の自由化で米の価格が値下がりし収入が減ったため、稲作の端っこで自分たちのお正月用に植えていた田芋を収入源として植え始めたとか。
今まで畑の上から緑の絨毯がすごくきれいで気持ち良いなーと眺めていた大山の田芋畑ですが、生産者の方に話を聞かせてもらい、そして自分も畑に入ったことで、なんだか一層身近に感じられる存在になりました。
予想以上に畑と一体になった
畑が広がる景色がずっと見られますように。
宮城さん、これからも頑張ってください!
サンキューファーム
沖縄県宜野湾市大山5-34
http://taimo39farm.ti-da.net/
島やさい料理&オーガニックワイン 浮島ガーデン
沖縄県那覇市松尾2-12-3
098-943-2100
http://ukishima-garden.com/main/