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6年に一度!保栄茂の巻ち棒(マチ棒)
沖縄難読地名の上位に挙げられる、豊見城市の「保栄茂(びん)」。
目立った観光名所なども無い、サトウキビ畑に囲まれた人口877名の静かな集落です。
そんな保栄茂の集落で、6年に一度の大豊年祭、卯(う)の年と酉(とり)の年にのみ行われる伝統行事・巻ち棒(マチ棒)が行われるというので観に行ってきました。
華やかなりし奉納舞踊
本来は十五夜に行われる豊年祭ですが、今年は台風接近のため1週間延期し9月24日(土)〜25日(日)での開催。
会場の保栄茂馬場(ウマイー)と呼ばれる芝生広場です。
会場に到着してみると、道ズネーイは終わっており、勇壮な衣装を身にまとった男たちがの巻ち棒の前に行われる奉納舞踊のスタンバイ中でした。
勇壮な・・・。えっと。
思わず目がいってしまうこの勇壮なコミカルな衣装は、「稲摺節・山原女」という演目。
衣装がコミカルなら踊りもコミカル。
最近のDEEの記事、「赤田みるくウンケー」や「志多伯の獅子加那志33年忌豊年祭」でもミルク様が登場しているのですが、各地域によってミルク様のお顔は千差万別。
保栄茂のミルク様はなんだか色白なポルトガル人のようなお顔立ちでした。
いよいよ現る棒の渦
奉納舞踊が終わると、いよいよまつりのクライマックスとなる、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する伝統行事、巻ち棒(マチ棒)。
下は小学6年から上は61歳まで、160人余りの男性たちが参加しているそうです。
ホラ貝の音が開始の合図。
観客席ぎりぎり、馬場の端いっぱいまで使って全体で大きな円陣を形成。
男たちはウー(東)棒とミー(西)棒のふたつのかたまりに分かれ、六尺棒や三尺棒、鑓、長刀、サイ等を手に持ち、ヒチンザシー(組棒)が披露されます。
ヒチンザシーが終わると、銅鑼の囃子にのせ「ヒヤッ」「ヒヤッ」というかけ声とともに再度隊列を成し、ウー棒とミー棒それぞれ2つの渦が形成されます。
その隊列形成の美しさは、大空を雄々しく旋回する鷹の群れに似ているところから「タカ巻ち」とも称されるそう。
ウー棒とミー棒、それぞれでしばらく渦巻いていたかと思うと、やがてまたかけ声が変わりミー棒の巻ちが解かれてウー棒に合流。ひとつの大きな渦が形成されました。簡単そうに見えて、実はぴったりと呼吸が合わなければできない技。
隙間無くがっちりと巻かれた渦は、うごめく巨大な生き物のようにも見えます。
保栄茂の男たちの魂のうねり。
ひとつの大きな渦になった後は、やがて逆巻ち(逆回転)をし、「エイ!」というかけ声とともに徐々に渦巻きが解かれ、元の馬場を囲む大きな円陣へと戻っていくのです。
祭りも最高潮を迎え、観客席からは拍手喝采!
次回は6年後の酉の年に
巻ち棒が終わるとすっかり夕暮れ。
豊年祭ををさかいに季節は夏から秋へ。サトウキビ畑にはとんぼがたくさん飛んでいました。
豊年祭自体は毎年開催されますが、次回の巻ち棒は6年後の酉の年。
今回かわいらしい演舞を披露していた子どもたちも青年となり、棒を持って勇壮に馬場を駆けまわったり、ミルク節で艶やかな舞いを披露するのでしょうか。
貴重な文化財として、これからも地域の方々によって守り伝えられていくことを願ってやみません。
6年後の巻き棒も、是非また観に来たいと思います。