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【大人の社会科見学】株式会社 日本バイオテック「海ん道」〜Uminchi〜
真っ白な建物が目印
糸満市真栄里。ウージ畑の中に真っ白な建物がある。日本バイオテック「海ん道」〜Uminchi〜だ。
海ん道では、海ぶどうの養殖・販売をはじめ、海ぶどうを使った加工品の販売もしている。
手作りの海ん道(うみんち)ハウス。現在も増築中。
この白い大きな建物だが、なんと!3年かけて自分たちで建てたそうだ。現在もあちこち工事中とのこと。
他にも、海ぶどうの養殖場やオフィスなど、敷地内のほとんどが手作りだそう。
基本的にこの建物はオープン。2階部分にはフリースペースがあり勉強会や展示会に、またキッチンもあるのでパーティーに利用することも可能だそう。
目の前は海なので、ビーチパーティー的なこともいいですね。いずれは宿泊もできるように工事中とのことだ。
ピクトグラムかわいい。
1階のちょっと低い天井の通路を抜けると海ぶどうの養殖場がある。
海ぶどうラボ
海ぶどうの養殖場も手作りだ。
実は、取材をしようとするたび台風が来たため、2度延期になり、3度目の正直で取材することができた。
海沿いに建っているため、台風の被害は大きい。台風通過後のこの日も所々に台風の被害がみえた。
海ぶどうは海藻だ。育成には海水が絶対必要。
目の前の海は遠浅なので、200mと400mの位置からパイプで海水を引いて海ぶどうの養殖に利用している。潮の干満で調整しながらひいている。
しかし台風がくると、パイプが壊れてしまうことも少なくないとのこと。
手作りの海ぶどうラボ。
海ぶどうの栽培方法はというと
1.苗作り
2.植え付け
3.育成
4.摘み取り
5.リハビリ
6.えび処理
7.リハビリ
8.目視チェック
9.出荷
これが基本的な工程。
海ぶどうの苗が入っている水槽。
海ぶどうの苗(種類)は多い。養殖場の数だけ苗の種類もあるそう。
海ぶどうの苗。というか海ぶどう。
苗の植え付け
1に続いて2.植え付けの工程。
植え付けは、2枚のネットの間に海ぶどうを広げて挟む。
植え付ける場所は網状のネット。
先程の水槽から苗をごっそりと!
植え付けのコツを聞くと「ふぁーっと置く感じで」とのこと。ふぁーっとした感じ、何となくわかります。
中央を薄く敷き、端を多めに盛る。端を多めに盛るのは、隙間からアーサや藻の侵入を防ぐため。
端は少し多めに盛る。
もんじゃ焼きの土手みたいな感じだろうか。
結束バンドで固定するのは、海ぶどうが成長して網がふくらまないようにするため。
こうすることにより、成長した海ぶどうが、網の目から伸びて均一の大きさになりやすい。
網がふくらんでしまうと、網の中で成長してしまい、光合成がうまくできずに品質の悪い海ぶどうになってしまうそう。
透明度の低い海で養殖された輸入物の海ぶどうは、粒が大きすぎて色も悪いらしい。粒は大きければいいものではない。
並べ終わった海ぶどうを槽の中へ。
育成
続いて3.育成。
海から引いてきた海水が入った360センチ×180センチ×60センチ(=4t)の大きな水槽に、苗を入れて育成させていく。
夏場は20日くらいで育ち、多いときは十毛作!くらいできるので、失敗や試行錯誤などがあってもリカバリーができる。
冬場は2ヶ月くらいかかるらしいが、夏場より管理は楽とのこと。
光合成の進み具合や、紫外線に当てすぎないための調整が難しい。
ここで40槽以上。さらに事務所の裏にも水槽がある。
満潮時をみて、海水をひくためタイマーをセット。水槽内の海水は、1日1回半循環させている。
植え付けて約20日の海ぶどう。
こんもり!
日の当たり具合や水温を、遮光率70%のネットで調整したり、海ぶどうと水面の距離を上げたり下げたりして微調整。
曇り具合や風をよんで1時間単位での調整が必要。こうして案内してくださっている合間にも絶えず各水槽をチェックされていました。
摘み取りからリハビリ
4.摘み取りからリハビリまで。
摘み取りでは、商品になる物と苗になる物に分けられる。
朝から夕方までおばちゃん達が選別していく。これが速いらしい。多い時では、1日3名であの大きな水槽にある海ぶどうを1槽半くらい摘み取って選別する。まさに熟練の技。
商品になる出来のいい海ぶどうは真っすぐ伸びている。
ちょっと枝分かれが多い海ぶどうなどは再び苗として利用される。
摘み取って
1本1本手作業で選別。
刈り取られた海ぶどうは水槽でリハビリ。
5.リハビリ
リハビリという言葉が出てきているがなんぞや?という人も多いと思う。海ぶどうは摘み取ったりすると、切り口から水分が抜けてしぼんでしまう。しかし海水の中に戻すと自己再生で傷口を修復するのだ。海ん道ではこれをリハビリと呼んでいる。
海ぶどうは人の口に入るまで光合成を行っているそうだ。
おばちゃんたちが主力。
もう使えない海ぶどうは落とす。
エビ?
6.エビ処理 7.リハビリ
二酸化窒素を海水に入れて海ぶどうを洗う。するとエビが逃げていくらしい。
エビ処理をした海ぶどうは再びリハビリへ。
その後、目視チェックをして梱包、出荷されていく。
海ぶどうを使った商品も
案内していただいた油田知規さん。
ー 海ぶどうを作るのはこんなにも手間ひまかけた行程なのですね。
ここは遠浅で不利な条件のなか自然を相手に育てていくことは大変ですが、施設の維持やノウハウ管理を徹底させ、ビジネスの軸として安定した海ぶどう生産を続けていくことが大切ですね。
ー 自然相手と言えば、台風の影響も大きかったようですが...
こうして手塩にかけて育ててきた海ぶどうが、どんなに対策をしても一瞬でやられてしまった時は、商売上の損失というだけではなく、大事に育ててきたモノに対するやり切れない想いもあります。 なので尚更、自然の影響を最小限の抑えるノウハウが大切なのです。
ー こうして大切に育てられた海ぶどうですが、少し形を変えて食べてもらおうと企画されたのが...
はい、海ぶどうアイスです。
認知度アップ、販路拡大、消費期限の短さなどの課題を克服すべく、アイスにしてみました。
海ぶどうがそのまま入ったアイス「海ぶどう愛っす」。
つぶつぶの食感がある!
しっかり試食させていただきました。ほのかな塩味とプチプチの食感が楽しめますよ!
5月から販売を始めた「海ぶどうちんすこう」
ー どうして海ぶどうのちんすこうを販売することに?
アイスの営業をかけていく中で、輸送の大変さや店舗での冷凍庫の設置などの問題があるため、なかなか難しい。
常温保存がしやすいものをと考えたら、ちんすこうがいいのではということなりました。
このちんすこうは「新垣カミ菓子店」とのコラボで作ることができました。
海ぶどうで薄く緑に色づいたちんすこうは、無添加・無着色です。手作りなので大量生産でさばく目的ではなく、
普通のちんすこうより少し値段は高いですが、本物の美味しさを共感してくれる方に届けたいと思って作っています。
ー 突然の訪問にも関わらず案内していただき、ありがとうございました!
取材をしてみるまで、海ぶどうの養殖がここまで大変だとは思っていなかった。
少しの環境の変化で品質が変わってしまう海ぶどうの管理はとても大変。沖縄特有のスコールがあると、夜中でも飛び起きて塩分濃度のチェックに向かう。24時間体制の管理だ。
こんなに手間ひまかけて作られている海ぶどう、じっくり味わって食べてみてはいかがでしょうか。
賑やかな敷地内
敷地内にはいろいろな動物たちも。
ポニーとヤギが、雑草の処理をしてくれるので助かりますとのことだ。
この子達、本当によく食べる。取材中もずっと食べっぱなしだった。
よく食べてたまに脱走してしまうポニー。
よく食べるヤギさん。
よく寝る犬達。
最近聞いた話しだと、また犬が増えたとのこと。一段と賑やかに。
プレゼント?!
海ん道では海ぶどうを使ったレシピも募集しています。
オススメの海ぶどうレシピがありましたら、下記のリンクから「海ぶどうちんすこう食べたい!」と書いてDEE宛に教えてくださいませ。
美味しい海ぶどうレシピを送ってくださった方には、この海ぶどうちんすこうをプレゼント!してくれるかもしれません。
たくさんのレシピお待ちしております。