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當山家のシーミーにお邪魔してきた
今年もシーミーの季節がやってきた!
シーミーとは中国の暦法にある二十四節季の一つ「清明(シーミー)」の季節に行われる祖先祭で、旧暦3月の吉日を選び、一門そろって墓前で先祖の霊を祭る行事のこと。元々は中国から伝来し沖縄独自の雰囲気で発展していった年中行事のひとつで、いわゆる「お墓参り」とは思えないほど賑やかで楽しげなその様子は、お墓の前のピクニックとも称されます。
シーミーの季節になると、高速道路の電光掲示板にはシーミー渋滞という文字が表示されるほど、沖縄県民にとって盆や正月と同等の重要な行事となっているのです。
そしてスーパーのチラシには重箱・オードブルやウチカビ・線香などのシーミー用品が並ぶ。
そんなシーミーは県外出身の私にとってはかなり縁遠い、いわば憧れの行事なわけですが、なんと今回友人の紹介で、とあるご家族のシーミーにおじゃまさせていただくことになりました!わー!!
當山家のシーミーへ
今回取材にご協力いただいたのは當山さんご一家。
時刻は午後三時頃、本家に當山一族が集まり始めました。真昼間にシーミーやると暑いので、夕方ぐらいからがちょうどいいんだそうです。
こちらが一家の大黒柱、當山 次(つぐ)さん。
「シーミーはね、あの世の運動会だよ!」 ...おおぅ、ピクニックを超えて運動会ですか?
普段はなかなか集まれない家族や親戚一同が顔を揃え、子や孫、家族の成長過程を見られるシーミー。
毎年とても楽しみにしているそうです。
この日はシーミーの季節に入って第一週の日曜日。「神御清明祭(カミウシーミー)」と言って、この日にシーミーをやるのは早いほうだそうです。家族単位でやるのは第二週目以降が多く、混雑を避けるため、また離島の場合はスケジュールの都合上時期を遅らせたりすることも多く、「それが沖縄のファジーなところよね。ファジーでないと沖縄ではやっていけないよ。」と次さんは語ります。
- 立派なお仏壇がありました
- トートーメーにナベさんとカマさんが!(感動)
柱に刻まれた背丈の記録。いちばん上には長男・貴史さんの背丈と年齢がしっかり書き込まれているところに、當山家の仲の良さが表れていて微笑ましいです。
いざ當山家のお墓へ
お父さんの先導で、てくてく10分ほど歩きお墓のある場所へ。
「この巨大な亀甲墓のかたちは女性を表していて、生まれたところへ帰っていくんだよ。」
「このあたり一帯のお墓は、戦争時、防空壕がわりにも使われたんだよ。」
歩きながら、お墓にまつわるいろいろなことを教えていただきました。
そしてお墓に到着。
でかっ!!!!!
でかっ!!!!!
當山家のお墓(屋号「牧志」)は、敷地約500坪。200年以上の歴史があるそう。
めちゃめちゃでかくて立派です。
すごい家に取材に来てしまった...。ドキドキ。
- ブランコもあるよ!ヤッホー!
- それを横目に落ち葉を掃くしっかり者の三男坊
ここでひとつ、面白い話を伺いました。
周りにある他のお墓が南向きなのに対し、當山家のお墓だけ東向き。
これが何故なのか気になって以前ユタに見てもらったところ、どうやら勝連のほうを向いているのではないか?ということだったそうです。なんでも、當山家の先祖はあの阿麻和利の家系という可能性があり、先祖は勝連から読谷に流れてきたので、お墓も「元」である勝連の方角に向けて建てられたのではないかと推測しているんだそうです。
「まだ確かな証拠が無いから、これは僕のロマンなんだけどね」とニヤリと笑う次さん。
- ユンタクとブランコに興じる男性陣
- てきぱきとクワッチーの準備をする女性陣
昔は朝からクワッチーを手作りしていたそうですが、最近はスーパーやお惣菜屋さんに注文することが多いそうです。
まずは先祖のお墓にごあいさつ
あらかた準備が整ったところで、拝みの始まり。男性陣の出番です。
亀甲墓の一画に置かれたこの小さい祠は先祖の神様を祀ったもの。
まずはここに「これからシーミーをやりますよ」とご挨拶をするんだそうです。
- 線香とクワッチーを捧げます
- 取材してるからいつもより豪華にウチカビを燃やしているそうです
ウートートー。
一族のお墓にこのようなご先祖の祠を作っていない場合は、一度ご先祖のお墓まで行って挨拶してからシーミーを行う場合もあるそうです。
あの世の運動会のはじまりはじまり
そして本体の準備も整いました。
ぎゃー!美味しそう!!!!!
定番の重箱に加え、フルーツ、手作りのいなり、サラダ、ケーキと様々なものが並びます。重箱に入っているかまぼこやごぼうなどのクワッチーの種類は、7品や9品といった奇数と決められているそうです。さらにクワッチーそれぞれを入れる数も奇数にするんだとか。ほほー、摩訶不思議。
隙間にはウチカビが。
- それぞれが線香に願い事を託します
- ウートートー
さあ、いよいよ宴の始まりです。
夕方になり、ちょうど木影が太陽の光を遮ってくれる時間帯。
當山家はあまりお酒を飲む人がいないそうで、ひたすら食べる・食べる・食べる。
なんかすごいの出てきた!!!!!
そう、このゴージャスなお肉の山は當山家シーミーの名物であり定番。
當山家の娘さんと結婚したアメリカ人の旦那さんがバーベキューグリルを持ち込み、毎年お肉をたんまり焼いてくれるんだそうです。私たちもご相伴にあずかりましたが、めちゃめちゃ柔らかくて焼き加減も味付けも最高でした。
ああ、當山家のみなさま、そしてご先祖さま。こんな機会を与えてくださりありがとうございます・・・。思わずウートートー。
- ちびっこもたくさんいるのでワイワイガヤガヤ
- 「ほらほら!あんたたちもたくさん食べなさい!」
クワッチーが飛び交う中、なんと Tボーンステーキまで出てきました!!
- 楽しそうなみんなの様子を眺めて満足気なお父さん
- 毎年お肉が余るそうですが、今回は私たち取材陣ももりもり頂いたのできれいに無くなりました
いちゃりばちょーでー
「どうたった?これが我が家のシーミー。首里とかでは昔ながらの伝統のシーミーをやるところもあるけど、ウチはケーキ食べたりBBQやったりわりと現代風。まぜこぜ。アメリカーの旦那さんもいるし本土出身の嫁さんもいるからね。」
祖先とのつながり、そして自分のルーツを再認識する行事シーミー。
昔はムラ単位でも行っていたそうですが、時代は変わり核家族化が進む中で、次さんは親子・兄弟・いとこレベルでもしっかり横のつながりを持たせることを大事にしているそう。
「大きくなって街へ出ても、小さいころシーミーでお墓の前のブランコで一緒に遊んだね、といとこ同士話ができるさね。これが沖縄の "いちゃりばちょーでー" の精神。」
人と人とのつながりを大事にし、自然と周りに人が集まってくるような次さんの人柄は、息子さん・お孫さんへととどんどん受け継がれ、シーミーの季節にはこれから何十年先までもお墓の前の運動会が毎年繰り広げられていくのでしょうね。
當山家のみなさま、今回は本当に本当にありがとうございました!
そして、ごちそうさまでした!(取材が終わる頃にはおなかいっぱいで苦しかったです・笑)