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ハイケイをブエノチキンにする試み
県内北部に広がるハイケイ文化
名護のファーマーズマーケット。ママ鶏という名前で売られていた。
皆さんは「ハイケイ」をご存じでしょうか。
カタカナだとなんだか分かりにくいですが漢字に直すと「廃鶏」。
採卵のために育てられていた鶏がその役目を終えた後に食肉として処理したものをこう呼ぶのだそうで、成鶏とも言われるそうです。
国頭村のローカルスーパー。普通にハイケイが売られている。
実はこのハイケイ、沖縄県の北部では割とメジャーな食材で特にバーベキューの定番食材として広く認知されているのだそうです。特に国頭村ではハイケイを上手に焼ける「ハイケイマスター」なる人がおり、イベントなどで人々にハイケイをふるまっているのだとか。
僕も何度かハイケイを食べる機会があったのですが、地鶏を想像してもらうと早いかと思います。私たちが普段食べている若鶏の鶏肉と違って、肉のうまみはギュッと濃縮されている気がするのですがよくいえば歯ごたえがある、悪く言えばめちゃめちゃ肉が固いのです。
さて、そんなハイケイの魅力に取り憑かれた男がひとり。
ビールブロガーとして名を馳せているタカバシさんです(ルートビアの「ビア」をビールにしてみたいでもお世話になりました)。タカバシさんは東村で行われたバーベキューでハイケイを食べてからその魅力にトリつかれてうまいハイケイの食べ方を模索していたのだとか。
そこで出てきたのが県内の超有名なチキン丸焼き専門店「ブエノチキン」。
数々のTV番組でも取り上げられ最近は期間限定でポテトチップスにもなりました。県内だけでなく県外にも多数ファンがいるという老舗です。
そう。ハイケイを美味しく食べる方法。それは「ハイケイをブエノチキンにしたら美味しいのではないか」という試みです。「もうすでにブエノチキンとは調整しておいたから」とのことで、我々も一枚噛ませて頂きました。
ハイケイを用意しよう
というわけで、ハイケイをチキン丸焼きにすべくまずは材料となるハイケイの調達です。
タカバシさんはすでにハイケイにあてがあるらしく、八重瀬町のアグリハウスこちんだというファーマーズマーケットで名古屋コーチンのハイケイを見つけているとのこと。
どうせだったらこちらは他のハイケイを用意しようと思い、やってきたのは名護にある羽地の駅。以前ニューハーフという謎の食べものでもご紹介しました。
羽地は「養鶏業発祥の地」とよばれるくらい養鶏業が盛んな地域で、この羽地の駅ではハイケイを「羽地鶏」という名称でブランド化して販売しています。
約二年間卵を産んだ鶏だそうで、人間でいうと30~40代に相当するとのこと。気になるホールの羽地鶏の値段はなんと350円。めちゃめちゃ安いです。
ブエノに集うハイケイ
というわけでブエノチキンにハイケイを持った2人が集いました。用意したのは私やんばるたろうは名護の羽地鶏(350円)、タカバシさんはアグリ東風平の名古屋コーチンのハイケイ(1,000円)。
値段が3倍くらい違いますが、左が羽地鶏で右が名古屋コーチンのハイケイ。名古屋コーチンの方が一回り大きいようです。
しげしげとハイケイを見つめるのはブエノチキン店長のコウエイ店長と二代目の朝子さん。さっそく焼きましょう…とはならず、鶏肉の解凍に1日、秘伝のタレにつけ込みが2日かかるそうです。ハイケイを託しつつ、本日は解散です。
ハイケイのブエノチキンが焼き上がった
そして3日後。お店を訪れると…
グルグル回っていたのは名古屋コーチン。羽地鶏はすでに焼けていました。こうしてみるといつものブエノチキンと全く同じに見えますが、下処理の時に爪楊枝が全く刺さらなかったそう。かなり肉は固そうです。
ちなみにブエノチキンで使われているのは「やんばる若鶏」。秘伝のタレに2日間つけ込み、2時間程度焼かれるそうです。ハイケイの場合は肉が少ないからなのか1時間程度で焼き上がったそう。普段の若鶏はオーブンに入れると油が表面に浮いてきて焼けていくのだそうですが、ハイケイの場合は全然油が出てこずに本当にちゃんと焼けるかちょっとやきもきしたとのことでした。
チキンをハサミで切り分けます。普段は片手でじゃきじゃき切り分けられるのですが、ハイケイは固くて片手じゃ無理!とのことでした。個人的にはなんとなく秘伝のタレで柔らかくなったりするものかと思っていたのですがこの様子だとかなり固いようです。僕のアゴ、大丈夫だろうか。
ハイケイのブエノチキンはうまいのか
さて、実食です。写真の手前が羽地鶏、奥が名古屋コーチンになっています。ハイケイをブエノチキンにしてみましたが、気になるお味は…どうでしょうか。さっそく食べてみます。
固い…!
想像していたよりもずっと、肉に弾力があります。肉もそうですが、皮もすごい弾力。しかし食べて進めているうちに「あれ?このアリなのでは?」と思えてきました。アゴは疲れますが噛んでいるうちに肉のうまさが口の中に広がってきます。これは酒のつまみにいいやつなんじゃないでしょうか。
そして、皮の照りを見てください。若鶏のブエノチキンよりもこんがり焼けている気がします。羽地鶏の方はややパリパリ目で、名古屋コーチンはもっちりとした歯ごたえの皮はブエノチキン味でこれだけ出しても成立するんじゃないかと思いました。
肉もうまいのですが、足の腱みたいなやつが全然かみ切れませんでした。最初は箸で食べてたんですが、いつの間にかみんな手づかみで黙々とハイケイを噛みしめる感じに。
そして気になる羽地鶏と名古屋コーチンの味の違いですが、名古屋コーチンの方が肉の旨味が残っていて圧倒的にうまかったです。このあたりは普通の鶏とブランド地鶏の違いなのかもしれません。羽地鶏は全体的に脂が少なくて、石のような箇所がありました。
意見が分かれたのは首の部分。やんばる若鶏では処理がされていて普段のブエノチキンにはない部分です。羽地鶏の首は結構脂が乗っていて(食べるところがほとんど無いけど)割とおいしいと感じたのですが、名古屋コーチンの首を食べたタカバシさんはあまりおいしくなかったそう。
こちらは鶏のお尻部分(ぼんじり)。羽地鶏は小石のような食感だったのですが、名古屋コーチンはほどよく脂が乗っていてうまかったらしいです。
というわけでハイケイのブエノチキンを食べてみたわけですが、分かった事としては
・やっぱ固い
・でもこの固さはちょっとクセになるかもしれない
・普通においしいけど、これブエノチキンがうまいだけなのでは
という感じでした。毎回食べるなら普通の若鶏のブエノチキンがいいけど、10回に1回くらい食べてみたい味かもしれません。
ハイケイブエノチキンもアリなんじゃないだろうか
以上、ハイケイをブエノチキンにするという内容でしたがいかがだったでしょうか。
肉の固さだけが印象に残っていたのですがこの記事を書いている今現在、僕はなんとなくハイケイのブエノチキンがまた食べたくなっています。あの噛みごたえ、ちょっとクセになりそうです。
特別にお願いして作ってもらったものなのでハイケイのブエノチキンを食べることができる機会は今のところありませんが、タカバシさんは熱心に「商品化してはどうか?」「イベントで出したらどうか」と口説いていたので何かの機会でハイケイのブエノチキンが食べられる日がやってくるかもしれません。
最近けっこうハイケイを使った料理というのも目にするようになったのでそちらも試してみたいと思います。お誘い頂いたタカバシさん、ご協力頂いたブエノチキンの皆様、ありがとうございました!
タカバシさんのブログ
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取材協力
ブエノチキン浦添
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