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首里古式行列で、タイムスリップしてみた
「古式行列」とは、那覇三大祭りのひとつである「琉球王朝祭り」のメインアトラクション。毎年300名もの市民が参加し、多くの観光客や地元の人が沿道で見物します。本日はこの行列に参加したのでレポートします。
準備は、髪を伸ばすことから
何もない夜はご近所の居酒屋さんに行って寂しさを紛らわしています、チューリップ平岡です。
まだ夏真っ盛りのある夜、安くて美味しい、ゆいレール儀保駅から徒歩10秒の「うえち家」さんで飲んでいると、常連さんから「古式行列に参加してみない?」とお誘いが。
「基本は高校生だけど、あんたも高校生に見えるからさ〜!」
ありがたきお言葉。ということで、参加する運びとなりました。
平岡は髪が肩につかないくらい短かったので、当日まで髪を切らないという条件付き。役作りは大切ですよね。
他の事前の準備としては、足袋・タオル・白いVネックTシャツ・ハーフパンツを用意することでした。
成人式や卒業式から逃げてきた私は、足袋を履くのは七五三ぶり。もちろん買ったこともないので、琉球芸能家の友人にお店を教えてもらって購入しました。
かんぷーしてもらう
当日は、朝8時に首里高校で集合!
ほとんどが、制服やジャージ姿の高校生。大人のベテランさん達は、自主的な遅刻をして9時から10時ごろに集まるそう。
配役ごとに割り当てられた教室に行き、さっそく準備スタートです。とくに何の説明もなく、知り合いもいないので、空気を読んで行動します。
ちなみに私は、女子随行人の役でした。
まずは襦袢に着替えて、髪結いさんにかんぷーしてもらいます。
沖縄では髪を結ぶことを、「かんぷー」というそうですね。この使い方があっているのかはわかりませんが…。
うわ、髪の毛をぎゅぎゅっと縛り上げられている!痛そう。
私は毛質が細くて柔らかく、頭皮も弱いので、アップヘアにしてもらうのがとても苦手なのです。
とはいえ、ここまで来て逃げるわけにはいかないので……
まずは水で全体を湿らせて、椿油をたっぷり塗ります。
上に引き上げます。あ、痛い、イタタタ…。
ひとつにまとめる! オンザ眉毛の短い前髪がはらはらと落ちてきて、申し訳ないきもちでした。
ここでいかにもベテランの風格を漂わせる髪結いさんにバトンタッチ。「あーもうっ髪が短いねえ!」と言いながら、櫛やスプレー、固形のりのようなものを駆使して、まとめ上げてくださいました。
最後にぽんっとかつらをのせて、かんざしを刺して出来上がり! 上にも左右にも広がりがあって、小顔効果も期待できそうです。
バックスタイルはこちら。たわみ具合が絶妙です。
お化粧してもらう
かんぷーしてもらって、気分はすっかり琉球王朝時代。
次はお化粧です。
まずはベースメイク。ハケが冷たく、ひゃ!ってなります。
そしてまんべんなく叩き込んでいきます。
メイクも、仕上げはベテランの方にバトンタッチ。
アイライナーとマスカラで目をぱっちりさせます。
目の周りには暗い色のアイシャドウではなく、チークで赤みを入れます。火照ったように見える目元は、まさにトレンドの「おフェロ顔」。流行は繰り返しますね。
もみあげも、ペンシルで長めに書いていきます。あ、また小顔効果が期待できそう!
最後に紅を入れ、一段と女度がアップ。さっきまであどけなかったお顔が、立派な女子随行人になりました。
というか、写真を撮らせてくれた女の子のきれいなこと。惚れ惚れします。
そのあとで恐縮ですが、平岡で仕上がりをご覧ください。
今回誘ってくれた井上さんとも、パシャり。
もしかして、ひょっとすると、イケているのでは?と思い、東京に住む友人に写真を送り、「イケてる?」と聞いてみると、「うーん、基準がわかんない笑」とのお返事。たしかに!
いざ、出発!
着付けが大変なのかなーと思いきや、帯などはない琉装なのであっという間。
足元もひらひらで涼しげ。沖縄の暑い気候にピッタリです。
12時半になり、ようやく出発です。
ここまで準備に4時間半。自分の準備にかかっているのは30分ほどなので、ほとんど待ち時間です。ちなみに首里高校は、教室内でsoftbankの電波が入りません。
スタート地点は首里城歓会門。特別な儀式を終えた王様たちが首里城から降りてくるのを30分ほど待ち、ようやく始まります。
待ってました、王様!
その後ろには楽器のみなさん。
そして階級ごとに色の違う帽子をかぶったお役人さんたち。
最後に、私たち女子随行人が続きます。
ちょうど真ん中あたりにいるのが平岡です。
行列には、300人ほどが参加しています。それを取り巻く観衆も、ものすごい数。なかなか前に進まないわけです。
もう、前の人にぶつかってしまいそう……。
「話したり、歯を見せて笑ったりせず、女官になりきって微笑んで!」
と言われていましたが、あまりの進まなさと日差しの強さで、ついつい伏し目がちに。
ゴール地点はJAおきなわ首里城下町支店。普通に歩けば15分の首里城からJAおきなわまで、いったい何時間かけるんだろう……と不安がよぎります。
龍譚通りに出てからは、前後左右の間隔をあけて歩きます。
長い長い道のりの中で、いろいろなことを考えました。22年の人生を一通り振り返っていたかもしれません。
そうでもしていないと、うちかけを持ちあげている右腕の痛みに負けてしまいそうだからです。
こうなることは予想していたので、前日はよく寝て、朝からラジオ体操をして挑みましたが、やはり肩こりや腕筋がきついです。
だいたい1時間半かけてJAおきなわにたどり着き、古式行列は終了!
それなりの達成感と開放感を得られ、楽しい気分に。とはいえハイタッチをしたりする友人がいるわけでもないので、隣の人と微笑みを交わしました。
早足で来た道を帰りましたが、古式行列の後ろではK-POPで小学生が踊っていました。
写真を撮ってくれた友人によると、古式行列の前にはマーチング。
県立芸大からは楽しげなライブの音が聞こえたりと、龍譚通りはかなりカオスな状態でした。
琉球王朝時代にタイムスリップできたかはわかりませんが、あまりの非日常感に翌朝目が覚めた時には「夢だったっけな。」と思いました。もちろん、髪には椿油の香りが2、3日残っていたので、夢ではありません。
来年はあなたもタイムスリップ
基本的には地元の高校生や企業の人が参加しているようですが、中には海外からの留学生も。
はるばるキルギス共和国からいらしたそうです。
ご縁があれば、おそらく誰でも参加できる首里の古式行列。ぜひ来年はあなたも参加してみませんか?
首里振興会事務局
http://syuri-sinkoukai.com/index.html
- チューリップ平岡
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ニューヨーク生まれ、東京育ち、那覇在住。得意技は公私混同です。
Twitter:@amyhiraoka
Instagram:amyhiraoka