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【大人の社会科見学】松風ができるまで
みなさんは、松風(まちかじ・まつかぜ)というお菓子をご存知でしょうか?
派手なピンク色をしていて、結んである焼き菓子です。県内在住の方ならご存知なのではないでしょうか。
松風
松風は、結納、トゥシビーでは欠かせない祝い菓子。
触ってみるとせんべいのように固いけど、とても壊れやすく慎重に触らないと結び目から割れてしまいます。
固いのに結んである。どうやって作っているんだろう?と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
ということで今回は松風ができるまでを見学してきました。
座波菓子店
今回取材に協力していただいたのは、首里にある座波菓子店。
- 石嶺交差点近く
- 洋菓子も種類豊富。イートインもできる
創業は戦前。当時のご主人(初代)が、物がない時代にたったひとつの商品として飴玉を作り、おかみさんが売り歩いたのが始まり。
二代目社長。しゃべらない人だから、と聞いていたけどとても気さくな社長
現在は二代目の店主(社長)である座波朝進さんと、その息子さんである広光さんご夫婦を中心に切り盛りされています。
- くんぺん(光餅・薫餅)
- クンペンと描かれた紅型がかわいい
座波菓子店で有名なのは「くんぺん」という琉球菓子。首里では「くんぺん」は座波菓子店以外では買わないと言う人も多いそうです。
取材中も、来るお客さんのほとんどが買い求めてました。
くんぺんの作り方も気になりますが、まず最初に、松風を作る作業風景を見てみましょう。
材料を混ぜ合わせる
松風を作る二代目(社長)が作業をするのは、なんと朝4時から8時過ぎまで。は、早い!
さすがに早過ぎると辛いでしょ?というお心遣いで、8時からの取材となりました。
店舗の下にある工場
松風の材料は、水・砂糖・卵・食紅に小麦粉。
- 水・砂糖・卵・食紅を混ぜる。まだ赤い
- そこに小麦粉を入れさらに混ぜ合わせる
小麦粉が入ると、真っ赤だった液体がキレイなピンク色に。
派手なショッキングピンク!
型に流して焼く
- ヘラで焦げやカスを取り除いて
- 油を塗り広げる
おたまですくってお椀へ。お椀2.5杯分が丁度いいらしい。
おたま置き
これが一番使いやすいんだと思う。
- 鉄板に流し入れたら
- ヘラで均一に広げます。5mmくらいでしょうか
均一に広げた生地に、白ごまを振りかける。
焼き上がりのタイミングは手が覚えてる
そしてオーブンへ。約10分で焼き上がる。
途中、何度かオーブンを開けて固さをチェック。鉄板の向きを変えたりして、ムラ無く焼き上がるようにします。
荒火・軟火・極軟。オハヨータイマーってかわいい
切る
焼きあがった生地をオーブンから取り出す。
- 鉄板を立てて
- ペロッと剥がす
焼き立ての松風はまだスポンジみたいに柔かい。
ものすごく使い込まれている道具。
使い込まれている角材は定規代わり。端からクルクルと回して切っていくとピッタリ17枚。
冷める前に結ぶ
冷めてしまうと固くなってしまうので、熱いうちに結ぶ。
焼き立て(まだ柔かい)
↓
結ぶ
↓
冷めるとその形で固まる
松風はこうやって形つくられていたんですね。
- スルスルっと結んでいく
- 柔かいとはいえ割れやすいので優しく
松風は毎日は作らないそうです。11月と12月がよく出るとか。
冷ましてから包装して完成
冷めてから包装しないと結露してしまう
いつもなら、松風は冷めている時間(朝4時から作っているから)。
この日は取材のため、ホカホカな松風が包装待ちの状態。
ひとつひとつ丁寧に包装していきます
毎日9時に出勤してくる従業員さんたちも、松風を作っているのを見たのはこの日が初めてだったそう!
いつもなら、出勤してきた時間には社長は作業を終えているから。
包装されたものは店頭へ。
割れているものは絶対売らないそうです。
売れ筋商品のくんぺん
座波菓子店といえば、くんぺん!というくらい有名なくんぺん(他のお菓子も美味しいですよ)。
くんぺんは琉球王朝御用達のお菓子。現在でも冠婚葬祭には欠かせないもの。
- 衣
- ピーナッツ餡
くんぺんの餡は、ピーナッツの他に白あんなどを混ぜているお店も多いのですが、座波菓子店のくんぺんの餡は、ピーナッツと砂糖のみ。
工場で丁寧に焙煎したピーナッツをすりつぶし、砂糖と混ぜ合わせるシンプルな餡。余計なものが入っていないのでピーナッツ香りがスゴい。焼き過ぎると苦味が出るし、焼きが足りないと香りが出ないそうです。
くんぺん製造マシーン。衣で餡を包んで出てくる賢いやつ。工場長がテンポよく成型して鉄板に並べていきます。
くんぺんを並べた鉄板はオーブンへ。15分くらい待つと...
焼き立て
オーブンから出したばかりの焼き立てくんぺん。
焼きたてのくんぺんを頂いた...!一般では食べることができない特別なくんぺん。
売られているものはしっとりしているが、焼きたてのものはカリカリサクサク。
たまごボーロに似た味がした。ピーナッツ餡が香ばしい。
売られている状態のものよりも、チーチーカーカー度がスゴい。焼きたてで乾燥しているからなんだそう。
家だとオーブントースターなどで温めると似た感じになるかもしれません。お試しあれ。
おめでたいお菓子なので
松風は結納などには欠かせない、めでたいお菓子。
最近、とてもおめでたいことがあった人がいるので、無理を言って特別な松風を作っていただきました。
通常の太さの半分に切る。
携帯ストラップっぽい
これは昔作っていた別の結び方の松風。松の葉?をイメージしてるらしい。いま見ると新鮮!
- こんなして
- こんな感じでいいか?
「こんなの作ったこと無いから難しいな」と。無理言ってすいません。。
左が昔の結び方。右は松風を3つ繋げたもの
と、できあがったのは3つで繋がっている松風。なんとも縁起が良さそうではありませんか。
これを持って向かったのは
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房指輪と、松風の房指輪をはめるmiooon
昨日の記事の冒頭に「とあるイベント」と書いてあったのは「自分の結婚式」だったmiooon。
おめでたいmiooonのために、松風で作っていただいた房指輪松風をはめてもらいに。
できれば松風冠にしたり、松風ネックレスを作ってもらって、結婚式の時にプレゼントしようと思ったんだけど。
「この記事を見て注文がきても困るよ!」と社長が言っていたため非売品です。
バレンタインデーとホワイトデーにはハート形のくんぺん
どのように松風が作られているかおわかりになりましたか?個人的に疑問のひとつだったので、スッキリ。
職人さんたちとお話しして、まだまだ知らないことがたくさんある沖縄はおもしろいと再認識できた取材でした。
根強いファンがたくさんいる座波菓子店。首里という土地柄、旧暦で行事を行うところが多いそうです。
この日も十六日に向けて忙しそうでした。
バレンタインデー・ホワイトデーの日は、特別にハート型のくんぺんが販売されるそうです。
今年はチョコレート以外をあげたい女性、バレンタインのお返しに困っている男性は、ハート型のくんぺんとかいかがでしょうか。
座波菓子店のみなさま、ありがとうございました。