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旗頭であの人を応援したい
秋のお祭りシーズンまっただなかの沖縄。
沖縄本島中南部のお祭りでよく見かけるのが、巨大な旗のうえに様々な装飾を施した灯籠がのっている旗頭。
今週末は全島旗頭フェスティバルも開催されますね。
旗に書かれる文字や灯籠、装飾などは地域によって異なり個性いろいろです。
旗頭の総重量はおよそ50kgにもなるそうなのですが、旗頭の衣装である黒いムムヌチハンタに身を包んだ屈強な男たちが汗をほとばしらせながら巨大な旗頭を上下させる姿はとてもかっこいいものです。
そんな旗頭。見ているとなんだかとても勇気と元気が湧いてくるのは私だけではないはず。
先日、DEEokinawa編集部あてにとある依頼があったのですが、まさにそのシーンに旗頭がぴったり!
というわけで、今回なんとDEEokinawaオリジナル旗頭を作ってみようということに。
どうせやるなら本気で、が心情の我々。
まずは旗頭についてお勉強するため、西原町の嘉手苅区青年会の方に協力いただきお話を伺ってきました。
旗頭についてお勉強
お話を伺ったのは西原町嘉手苅青年会のまっちゃんさん。
県外出身ながら長年嘉手苅青年会に所属し、精力的にさまざまな活動を行なっている女性です。
旗頭の「頭」にあたるトゥールー(灯籠)の部分。台に載せられた状態で公民館の舞台上に置かれていました。
間近で見るとかなり大きい!
旗頭は通常、ふたつが対になっているそう。
手前の赤いトゥールーの模様は「ヒジャイグムン」と呼ばれるもので、琉球王府「尚家」の紋章。
嘉手苅区には、第二尚氏王統の始祖である金丸(のちの尚円王)が内間地頭に任ぜられたときの旧住宅跡である「内間御殿」があり尚家とゆかりがあるため、これを使用することができるのだそうです。
また、西原町はマンホールにも描かれているようにサガリバナ(さわふじ)が有名。
嘉手苅の旗頭のもうひとつはこのサガリバナがモチーフになっているそうです。なんだか宇宙とも交信できそう。
旗頭はもちろんすべて青年会メンバーの手作り。
みんなでベニヤを切ったり折り紙を貼ったり慣れない縫い物をしたりと、夜な夜な公民館に集まって一生懸命作ったものだそう。
いちど使うとけっこう傷んでしまうので、毎年補修したりダメージが大きいものは作り変えたりして代々受け継がれているのです。
- サンマーと呼ばれる部分
- すっかり色あせた昔の写真も
嘉手苅青年会の旗に書かれているのは「雄輝」と「瑞光」。
ただ、歴史が古くその詳しい意味はまっちゃんさんにも分からないそうです。
こんど嘉手苅区の長老さんに聞きに行ってみよう。
ひととおり旗頭についてお勉強をさせていただいたところで、まっちゃんさんにDEEオリジナル旗頭の設計図を見てもらいました。
まっちゃんさん「ふむふむ、なるほど。材料は全部メイクマンとかしゃりまで揃うはずよー。トゥールー(灯籠)の部分はダンボールで作ってもいいし。竹はどうせなら3〜4mあったほうが本格的でカッコイイよね!」
DEE「く、車に載りません・・・orz」
旗頭の基本的な構造や細かい部分の装飾など「こうしたらかっこいい!」という作り方をいろいろと教えていただきました。
まっちゃんさん、ご協力いただいた嘉手苅青年会の皆さん、ありがとうございました!
いざDEE旗頭の制作開始
メイクマンで竹、しゃりまで旗の部分に使う布を購入。
竹はさすがに3〜4mだと車に載らないので、1.5mを2本、1mを1本購入。これらをつなぎ合わせることに。
まずは旗に書く文字を出力して型紙を作り、布に転写。
構造的な難しい部分はNaokiがなにやら職人的な道具を使ってサクサクと組み立ててくれました。
その間に私は文字や縁取りを塗り塗り。事務所にそこはかとなく漂う内職感。
ええと、私たち何屋さんだっけ・・・。
- 小学校の家庭科以来(?)の縫い物
- こちらは図工の時間
「あっ・・・。」
旗を竹に通す前に竹を組み立ててしまい呆然とするふたり。
仕方無くせっかく縫った旗の耳の部分をいちどチョン切ることに。泣ける。
トゥールーの部分は、以前沖縄ちょうちんを作った技術を活かして立体的に。
仕上げにDEEマークを施します。
というわけで、構想1日、制作2日。DEEオリジナル旗頭の完成!
「わっしょーい!わっしょーい!
・・・・・・めっちゃグラグラしてるけど、大丈夫?これ。」
動かすと首の座っていない赤子のごとくガクガクと揺れるトゥールー。
強度に一抹の不安を抱きつつ、本番の日を迎えることに。
いよいよ応援の現場へ
最初の話に戻りますが、DEE編集部に届いたとある「依頼」。
そもそもの事の顛末を説明しましょう。
自治体共同利用型ポータルサイト「Okinavita(オキナヴィータ)」さん。
今回、那覇市が実施している「ハイサイ運動」のPR取材で、Okinavitaの島さんが無謀にも単身琉装で那覇市役所に乗り込むという話を聞き、以前琉装で運転免許センターへ乗り込み心が折れた経験を持つやんばるたろうの発案で、「それならDEEで全力で島さんを応援しようじゃないか」ということになったのでした。
で、応援 → 沖縄ならでは+元気と勇気が湧いてくるもの → 旗頭?
というわけで取材当日、完成したDEEオリジナル旗頭を持って島さんの応援に駆けつけました。
Naokiが考えてくれた支柱のアタッチメント構造のおかげで、軽自動車になんとか積み込むことができました。
ちなみにできるだけ市役所の業務に差支えが出ないよう集合時間は早朝8時。
眠い。出勤してくる市役所職員たちの視線が痛い。帰りたい。
- 現場で最終組立
- 旗頭衣装を着用
なんとこの旗頭衣装や、銅鑼(かに)、鉦子(しょーぐ)など旗頭用具一式を嘉手苅青年会の方のご好意でお借りすることができました。ありがとうございます!ありがとうございます!
ではいざ、はりきって島さんを応援し・・・
!!!
・・・なんと、予想以上に市役所仮庁舎の天井が低く、旗頭をまっすぐ立てることができないという事態に。
これは予想外の展開。
通りがかりの職員さん「これは旗頭、ですかね?」
DEE「ええ、まあ・・・。」
通りがかりの職員さん「ふーん、がんばってくださいね。」
DEE「はい・・・ありがとうございます・・・。」
「ハーイヤ!ハーイヤ!」
とりあえず、斜めのままですが応援っぽいことをしてみました。
トゥールーが天井にあたってクシャっとならないか気が気ではありませんでしたが。
というか完全に通路をふさいでしまってごめんなさい。
「こうなる予定だったのになァ・・・。」
島さんが手続きした書類が発行されるまで数分、待合室で一緒に待機。
- 「ちょっと、邪魔なんですけど。」
- 「大将、やってる?」
暇なので旗頭で遊んだりしているうちに、どうやら書類ができた模様。
無事、琉装で書類を受け取る事ができたようです。
私達も一生懸命応援した甲斐があったというものです。
それでは次なる取材先へ。
那覇市役所仮庁舎内で唯一旗頭がまっすぐ立てられたのは階段の踊り場でした。
DEE「ハーイヤ!ハーイヤ!」
島さん「あ、今はべつに応援要らないです。」
市役所職員さんたちの戸惑いつつも暖かく包んでくれようとする目線が逆に痛い。
針のむしろとはこういうことでしょうか。
次なる取材先の部屋に入室。
やはり斜めのままですが気にせずここでも島さんを全力で応援しましょう。
DEE「ハーイヤ!(カンカン)ハーイヤ!(カンカン)」
島さん「あの、ちょっと。話が聞こえないので静かに・・・」
そろそろ迷惑そうなのでじゅうぶん応援が届いたと思うので、旗頭隊はこれにて引き上げることに。
「島さん、琉装取材お疲れさまシタァーッ!」
そんな島さんの体当たり取材記事はこちらからご覧ください。
「那覇市ハイサイ運動触れてきました!」
というわけで、我々に応援しに来てほしいという方がいらっしゃいましたら是非DEE編集部までご連絡ください。
応援に駆けつけるかもしれませんし、駆けつけないかもしれません。