暑い沖縄でなぜ売れる?ホットフーズの怪
第5回目のテーマは「ホットフーズ」。レジ周辺で販売されているチキン、おでん、肉まんなどのホットフーズ。本土と比べ年中気温が高い沖縄ではさぞ苦戦しているのかと思いきや、なんと真夏でもかなりの売れ筋商品なのだとか。
普段何気なく利用しているローソン。ローソンは最も早く全ての都道府県展開したコンビニエンスストアとしても知られていますが、沖縄のローソンには実は色々秘密があるのをご存じでしょうか?
そこに横たわる深遠な「謎」にDEEokinawaが迫ります(しかも全6回)。
今回お話を伺った方
商品部 シニアマーチャンダイザー島尻さん
商品部 マーチャンダイザー 盛さん
第5回目のテーマは「ホットフーズ」。
レジ周辺で販売されているチキン、おでん、肉まんなどのホットフーズ。
本土と比べ年中気温が高い沖縄ではさぞ苦戦しているのかと思いきや、なんと真夏でもかなりの売れ筋商品なのだとか。その謎に迫ります。
(2012.11.16)
ウチナーンチュはとにかくチキン好き
——ホットフーズといってもいろいろありますが、どんなものが売れていますか?
(島尻さん)
やっぱりチキン!チキンは強いですねぇ。
その中でも今はLチキが全国で一番人気なんですが、実はこのLチキの親にあたるのが沖縄でしか販売されていないスパイシーチキンなんです。
スパイシーチキンが沖縄で売れているらしいよというのが評判になって、Lチキが開発されて全国で販売されるようになったんですね。
スパイシーチキンは今でも沖縄だけでしか販売していません。スパイシーチキンはずっとウチナーンチュなんです。
つまりこんな感じでしょうか?
——スパイシーチキンが沖縄だけというのは意外でした。
沖縄はそもそもチキンの文化がすごくあったというのがあるんですね。
そのなかでも特にドラム(チキン)がよく食べられていて。
行事などの集まりでもまずチキンが出てくるし、スーパーでも日常的にごくごく当たり前に並んでいる。
その後にコンビニが参入したので、まずはドラムを販売して、そのあとスパイシーチキンなどの販売を始めました。
本土では主に胸肉を食べるので、そうすると足ばっかり残るから、これが安く沖縄に流れてきたものが普及したという経緯もどうやらあるらしいんです。
あと、ドラムとスパイシーチキンでは客層が少し違うんですよね。
若い人はスパイシーチキンで、年配の方は骨付きドラム。昔から食べ慣れているほうがいいのでしょう。
沖縄で根強い人気のドラムチキン
もうお年寄りはドラムを食べるのが本当に上手で。歯を使って最後の骨の隙間からつかんだところの筋まで、もう丸裸にしますよ!
若い人が身を残さず食べているのを見ると、「あんた食べるの上手ね〜」って(笑)
——そんなに全国と沖縄ではチキンに対する評価が違うんですね!
(盛さん)
ちょこちょこと催事などで沖縄の商品を持って行く事もあるのですが、やっぱり全国ではそれほど売れないんですよね。毎回出戻りで。やっぱり沖縄は特別ですね。
他の地域でチキンといえばクリスマスなど期間が限定されるのですが、沖縄はもう年中。
沖縄に来た当初は、某店ののぼりに「卒業祝いにチキン」と書いてあって、なんだこれ?って思いました(笑)
段々暮らしてうちに、あ、そういうことかと。
人が集まるとチキンなんだな、と。
本部からも「(沖縄は)なんでこんなチキン食べるの?」と驚かれます。
からあげ君はステイタス
——チキン好きなウチナーンチュには、やはりからあげクンも人気ですか?
(島尻さん)
それが、実はからあげクンは沖縄では弱いんです。
ウチナーンチュの私たちからしたら、なぜからあげクンが人気なのか?と思うぐらいですよ(笑)
まあ、値段の関係もやっぱりあるんですよね。
沖縄ではずっとドラムは100円代で出していることもあって。
骨はないけど同じチキンなのに、と思うともう一枚100円をのせるのがなかなか難しい。
憧れてはいるんですよね、みんな。
あのパッケージ、あれはステイタスなんですよ。なんて上品なんだ!オシャレなんだ!って(笑)
ちょっと贅沢しようかな〜というときに手が伸びるものなんでしょうね。
ウチナーンチュの憧れからあげクン
もちろんからあげクンが嫌いな訳じゃないんですけどね。
セールのときにはやっぱり相当売れますから。
——そういえばからあげクンはレギュラー以外にいろんな味が登場して楽しいですよね。
(盛さん)
期間限定でけっこういろんな味を出してますね。
ミュージシャンのゆずとコラボした「ゆず味」や、このあいだは「はてな味」なんかもありましたね。
このはてな味、他の県ではけっこう売れたんですけど、沖縄の人にとってはもともとからあげクンが高嶺の花のなうえに「はてな味」ときたもんだからよけいに手が出ないのか、他県と比べるとあまり売れなかったんですよ(笑)
からあげクンはローソンのメインの商品でもあるので力を入れています。
このはてな味も、親子で食べて味を当てっこして楽しんでもらおうという企画で開発した商品なんですよ。
Lチキチーズは沖縄県民の夢
——Lチキにも時々バリエーションが登場していますよね。
(島尻さん)
そうですね、Lチキはフレーバーとして出しているのがあります。
今は辛口のLチキホットというのが出ています。
あと、沖縄ではチーズ系もめちゃくちゃ強いですよ。
以前Lチキチーズというのをやったのですが、とにかくよく売れて。
県民の夢が具現化したLチキチーズ
もともとチーズが人気の土地ではあるので、それをさらに大好物のチキンで挟むなんて夢のようだ、と(笑)
沖縄の人は味がこってりというか、はっきりしているやつを好む傾向がありますね。
あまりに沖縄だけズバ抜けていたので、最後は全国で余ったものを沖縄に集めて販売していました。
——チキンはどんなものと一緒に買われることが多いですか?
若い子はLチキとバンズが多いですね。70円なんですけど、挟んでバーガーにして食べるんです。
あとはコーヒーと一緒に買うとか。チキン+アルファですよね。
チキン単体でなく、おにぎりとチキン、冷やし中華とチキン、そばとチキンとか。
そばだけではちょっと満足感が足りないので、動物系の油分が欲しいというのでチキンを併せて買うケースが多いですね。
おでん=煮付け?
——これからの季節はおでんも人気ですね。
(島尻さん)
おでんは全国同時期に発売開始するんですが、本土のお盆が終わった8月半ばぐらいからなので沖縄はまだ30何度ある真夏なんですよね。
おでんは人気なので売れるんですけど、みんな汗かきながら食べてますよ!
8月半ばからだいたい3月末〜4月ぐらいまで販売しているんですが、昨年はたしか5店舗ぐらい年中販売していた店舗があったかな。
定番で通年おいてくれと言われるのはやっぱり病院内の店舗ですね。おでんは煮込んであってカロリーが低いので。
そういえば、コンビニのおでんは売れるんですけど、スーパーでおでんの具は売れないらしいんですよ。
ウチナーンチュはおでんは家で作るものとあんまり思っていないのかもしれません。
牛すじなんて沖縄で置いているお店探すの苦労しますよ。
——沖縄の文化におでんは無かったのですか?
いや、それがそうでもなくて。
どちらかというと煮付けに近いような感覚で食べられているのではないでしょうか。
最後にレタスとか葉っぱをのせるのが沖縄おでんの特徴ですね。
——沖縄のおでんは少しだしが甘い気がするのですが?
一部地域若干違うところもありますが、だしの味付けは基本的に全国統一です。
沖縄独自の具材としててびちやソーキがあるので、もしかしたらそれから豚の甘いだしが出ているのかもしれません。
あと、三角こんにゃくは沖縄だけだったんじゃないかな。他ではしらたきだけです。
とはいえ、大根・たまご・しらたきなどやっぱりスタンダードな具材がいちばん売れますね。
まあ、てびちが一番になることは絶対ないです(笑)
あと中高生で「うどん2玉で」って人がいたけど、それはもうおでんではない!(笑)
——過去に変わり種の具などはあったのですか?
全国販売ですが、ハンバーグとか、焼きおにぎりとかがありますね。
おにぎりは雑炊みたいなかんじで、だしをかけて食べます。
あと、トマトソース。
おでんにロールキャベツがあるので、それにトマトソースをかけてイタリアンっぽく。
これはそこそこ売れましたね。
暑い時期でもさっぱり食べられそう
中華まんではチーズ系が人気
——中華まんはどうでしょうか?
(盛さん)
中華まんもおでんとだいたい同時期に販売しています。
中華まんに関しては特に沖縄限定というのは無いのですが、売れたのは中にチーズが入った「贅沢チーズまん」という商品でした。
これも全国からズバ抜けて沖縄だけよく売れて。
本部からも「なんでですか?」と聞かれたのですが、「チーズだからじゃない?」と。(笑)
沖縄でチーズは強いです、とにかく。
あと和菓子があまり売れない土地なので、あんまんが売れにくいというのはあります。
でも「あんこや」シリーズが売れ出したのもあって、徐々に売れきてはいますね。
移住者が増えたり、沖縄以外の食べ物も手軽に食べられるようになったので、少しずつ県民の嗜好も変わってきているのでしょうね。
まとめ
というわけで、第5回は「ホットフーズ」についてでしたが、いかがだったでしょうか?
さて次回の「オキナワのコンビニの謎に迫る」第6回(最終回)は、これまでの特集から見えてきた沖縄コンビニの姿や沖縄独自キャンペーンなどの総集編をお届けします。
これを読めばあなたもローソン沖縄マスター!どうぞお楽しみに!