沖縄コンビニおにぎり事情にせまる
沖縄のコンビニでおにぎりを買うと必ずと言ってよいほど「温めますか?」と聞かれるのはなぜなのか。そして沖縄で売れているおにぎり、売れなくて姿を消してしまったおにぎりなど「おにぎり」から沖縄のコンビニの謎に迫ります。
普段何気なく使っているローソン。ローソンは最も早く都道府県全てに展開をしたコンビニエンスストアとしても知られていますが、沖縄のローソンには実は色々秘密があるのをご存じでしょうか?
そこに横たわる深遠な「謎」にDEEokinawaが迫ります(しかも全6回)。
今回お話を伺った方
商品課 シニアマーチャンダイザー島尻さん
商品課 マーチャンダイザー 盛さん
第2回目のテーマは「おにぎり」。ローソン沖縄でしか買えない沖縄限定おにぎりの紹介や、なぜコンビニでおにぎりを買うと必ずといってよいほど「温めますか?」と聞かれるのかについて明らかにしていきたいと思います。
(2012.9.28)
なぜ全てのおにぎりに「温めますか?」と聞くのか
——おにぎりを買うと必ず「温めますか?」と聞かれます。これはそのようなルールなのでしょうか?
(島尻さん)
マニュアルとしてはそういった事はないんですよ。なんとなく昔からそういう風だったと。いろんな説はあるんですが、よくわからんという所ですね。温めるか聞かないと、逆にお客さんから「これ(おにぎり)を温めて」と言われることも多いようですね。
ジューシーおにぎりセット。ジューシーおにぎり2個+コロッケの構成
(島尻さん)
おにぎり製品でいうと、おにぎりとコロッケがセットになったものが人気なのですが、あれも「おにぎりを温める」ということの一つの原因かも知れません。冷たいままでは絶対おいしくないですから。
私はサンエーで働いていたのですが、スーパーではお客さんがお総菜を触って温かいものから買っていくというのがあるんです。島豆腐なども触って温かいものから買って行かれたりするので、沖縄の人にはそういう習慣があるんじゃないかと思います。食べ物が傷みやすい気候ですので、温かいもの=作りたてという意識があるのかもしれませんね。そういう所も「おにぎりを温める」という行為に少しは影響しているんじゃないかと思います。
沖縄のローソンにしかないおにぎり、沖縄のローソンにはないおにぎり
——ローソン沖縄にしかないおにぎりはあるのでしょうか?
(島尻さん)
ポーク卵系のもの、あとは油味噌とじゅーしぃ、あとは青しそを使ったちょっとシンプルな商品が沖縄限定ですね。
沖縄といえばやはりポーク玉子おにぎり
- ポーク玉子(シーチキンマヨネーズ)
- ポーク玉子(油みそ)
- 味わいジューシーごはん
- 油みそおにぎり
(盛さん)
他のローソンでは取り扱っているけど沖縄では取り扱っていない商品や出してもあまり売れないという商品はありますね。全国的には「鶏五目」という炊き込みご飯系のおにぎりが売れているのですが、あれが沖縄では売れなくて、全国的のローソンでは定番なんですけど沖縄では今は扱っていませんね。じゅーしーと見分けがつきにくいからというのもあるんじゃないかと思います。
あと赤飯のおにぎりですね。それもあまり赤飯を食べるという習慣がないのか、個別にご要望は頂くのですがあまり売れないので取り扱いしていないですね。たらこ系も明太子はまだ出るんですが、たらこはなかなか売れないです。もともと食材が沖縄になかった、というのもあるのかもしれません。
かつてあった幻のスーチカーおにぎり
——商品の開発で没になったものや短命でなくなってしまったものはありますか?
(盛さん)
「スーチカーおにぎり」を出そうとしたんですよ。出したんですけど、そもそも自分は本土出身で本土の人間からすると割合シンプルな食べ物だと思ったんですが、いざ出そうと思って周りに聞いてみたら、まず「スーチカーってなに?」ていうところからはじまって、そもそもそこまでスーチカーに認知がなかったんです。実際できた商品を食べたみたらおいしいという意見だったんですが、そもそもスーチカーが伝わらなかったという商品だったので短命でしたね。
幻のスーチカーおにぎり。割とおいしそうに見えるのだが…
あとは「大根葉おにぎり」ですね。大根の葉を混ぜ込んだおにぎりだったんですが、沖縄で大根の葉は食べないことはないらしいんですが蓋を開けてみたら「わざわざ外で食べなくてもいい」みたいなのがあったんでしょうね。割と短かったです。
これが「大根葉ごはん」おにぎり。大根葉とポークが入ったおにぎりだったそうだ。
ポーク卵おにぎりが沖縄でしか販売できない理由!?
——おにぎり全般は沖縄で売れているのでしょうか?
(盛さん)
おにぎりとお弁当は全国のローソンの平均よりは下ですね。それはパラソルのお弁当屋さん(お昼に出張しているお弁当販売の形式)がたくさんあるのと、スーパーが意外ときちんとお弁当を作っている(内地ではスーパーでも工場配送のお弁当をおいてあるところも多いらしい)のでそのあたりがやはり強くて、コンビニには流れて行かない状況ですね。お弁当屋さんは職場まで出かけていって弁当販売などもしていますので、コンビニより便利ですよね。そういう環境が影響しているのだと思います。
(島尻さん)
ローソン沖縄でのおにぎりでいくと、売れ筋商品はシーチキン、鮭、そしてポーク卵おにぎりですね。シーチキン、鮭は全国も同じですが、やはりポーク卵が沖縄では強いですね。
——ポーク卵おにぎりは出せば内地でも売れるんじゃないでしょうか?
このボリューム感と味があればヒットするのでは?
(盛さん)
沖縄フェアなどでは出したりしているんですが、ポーク卵おにぎりはつくるのにかなり手間暇かかるんです。また本土はポークが沖縄に比べて高いので沖縄の値段ではつくれないですね。なのでフェアなどで作るのはいいんですが、一般的なおにぎりとしては出せないんですよ。
コンビニのおにぎり事情は深い。
というわけで、第二回は「おにぎり」についてでしたが、いかがだったでしょうか?個人的には「そういえば沖縄でたらこおにぎりを見かけない」という点が一番カルチャーショックでした。あんなに地元で食べてたのに…!
次回の「オキナワのコンビニの謎に迫る」第三回は引き続きお二人に「沖縄の紙パック飲料」についておうかがいします。お楽しみに!